大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive13
「そういう大事なことは最初に言ってほしいよね。ってことはあの石を守ればいいってこと。でもそれなら日本にいる俺なんか関係なさそうだけど。」
「今はね。でもこれから新しくあなたにやってもらうことになる『ダイブ』を体得したらそういうわけにはいかなくなるの。それを危惧したおじいちゃんに頼まれてわたしがきてるってわけ。」
「つまり・・・・その・・・・深刻ってこと。」
心配そうに小さくうなずく紅美に覚悟を決めて言った。
「わかった。つまりこういうことだ。俺が頑張らないと、さくらも村長や村の人も・・・紅美も大変なことになるってことだな。よし、そういうことならやってやろうじゃない。でもらーめんに『ダイブ』するってどうやって潜るの。」
ちょっと安心した顔になった彼女はまた先生の顔に戻り
「それはまず基礎を体得してから、それにはもう一つクリアーしなければならない課題があるの、『ダイブ』のための装備が必要なの。どうしてかはわからないけど体を小さくして『ダイブ』すると体感温度が数倍に上がるの。一族の中でも何人も失敗して命を落としたの。だからそれを克服するための装備を開発しないといけないの。」
「ちょっと待って、それってそのための耐熱スーツを作るってこと?それって材料工学だぜ。俺の好きな化学が役に立つってことじゃない。でもまだ高校生でそんな高度なことは・・・でもその関係の学部のある大学にいって関連企業に入ればあるいは・・・・・霊的パワーと科学の力の融合って俺じゃなきゃできそうもないかも。それで御先祖も俺に力を貸してくれてるのかな。今からほかの勉強もしないと間に合いそうにないな。これはどえらいことになってきたぞ。もー、もっと早くいってくれよー。そんなこと言ってもしょうがないか。紅美始めようか。」
(ふふ、おじいちゃんやご先祖様たちもあながち間違ってなかったのかな。でも油断は禁物ね。目を離さないようにしなくっちゃ。)
まずは基礎練習なんだけど覚えることいっぱいだし、霊力を融合して動くとこれが結構体力を消耗するんだよね。なんていうのかどんどん垂れ流しちゃうような感じで、すぐ空っぽになっちゃう感じ。この蛇口全開状態を絞ったり開けたりするのが難しいんだよ。集中してないとすぐ漏れちゃうんだよね。しかも少しだけ開けてそれを手だけに集中させるとか。要するに力を思うようにコントロールする修行。これが基礎練習で手のひらに集中させると訓練次第であの有名なかめはめ波みたいないわゆる発頸(ハッケイ)を打つことができるらしい。手に集中させるだけで一苦労でちょっと動いただけで意識がそっちに行って失敗。これの繰り返しなんだけどこれだけですんげ―腹減るんだよね。漫画と違って無限に力が湧いて出てくるわけじゃないからそうなるのが当然だけどね。だから中国に行ってからものすげー食べる量が増えた。食べるばかりじゃ悪いので調理の手伝いをしていたら見よう見まねで中華料理を作れるようになり、意外にもみんなに大うけだった。紅美は12歳の時からこの修行をしている大先輩だ。大先輩の教えは厳しく、解らないだろうとやっているふりをするとすぐ叱られる。紅美曰く『やっているうちに力の動きが見えるようになる』らしい。だからさぼるとすぐばれる。そしてどうやらこの一連の動きは太極拳の源流の一つで相手の気を読めるようになるらしい。練習をしいてる俺の手に触れるだけで体調から思考などがある程度分かるらしい。体術だけは小さいころからやっているらしいんだけど気の訓練は12になるまで止められていたという。子供には危険な技なのだろう。気の練習も一段落して今度は体術、紅美の動きの型と同じことをするのだけど、呼吸まであわせるのでこれが大変。しかも呼吸のイメージまで。息を吸うときに太陽の力を吸い込むように、そしてその力が体中をめぐるようイメージして。全身をめぐったその力をへその下、いわゆる丹田に収め息を吐くと同時に力を外に出す。それを繰り返す。とその時、玄関の扉が開き
「藍、何やってんだ、おまえ。その人だれだよ。」
ジミーだった。もうそんな時間かと思いながら紅美と顔を見合わせる。なんて説明したらいいのか戸惑っていると紅美が、
「ニーハオ、私、隣に越してきた紅美と言います。あいさつ代わりのに私の国の太極拳を教えていたんです。あなたは?」
「あ、はじめまして俺は、ジミー・ブラウン。藍の幼馴染で高校の同級生です。藍よりは頭は良いです。」
「いらねーこと言ってんなよ、地味―な茶色君。早かったな。もう3時か。あがれよ。」
「じゃあ、私はこれで失礼します。」
と言いながら俺に近寄り小声で
「さぼるんじゃないわよ、明日も来るからね。」
とにらみを利かせて帰っていった。やっと解放されたと思ったら急に腹が減ってきた。そういえば朝はパンだけだった。
「ジミー腹減ってない?なんか食うか。俺作るけど。」
「おー、食う食う。なにつくるの。」
「炒飯でいいか。残り物ぶっこんだ奴だけど。」

