薬食同源
|
秋の食養生の基本は、喉や肺を潤す食べ物 |
![]() |
実りの秋は、私たちの食欲も増進して、おいしい食事を満喫できる季節です。
しっかりと栄養を摂って、寒い冬に備える体作りをしましょう。
まずは、夏の冷たい飲食で弱った胃腸を整えることが大事。
山芋や、食物繊維が豊富なさつまいも、かぼちゃ、キノコ類を摂りましょう。
そして、良質の油とタンパク質を豊富に含むサンマ、鯖、鮭などの旬の魚を摂って、夏に消耗したエネルギーを回復させましょう。
また、秋は空気が乾燥する季節。
喉の粘膜も乾燥して喉に痛みを感じたり、風邪を引きやすくなります。
気道や肺を潤す食材として特におすすめなのは、レンコン、梨です。
さらに、油脂で詰まりやすい肺や大腸のリンパ管を掃除してくれる大根、玉ねぎ、白ネギ、生姜など白い色をした野菜の自然な辛みを活用しましょう。
調理法は、炒め物、揚げものよりも、汁物や煮物など、水分をたっぷり含むメニューが適しています。
おやつも蒸したものや寒天や葛などで作った水気を含むものがおすすめです。
|
短い旬を存分に楽しみたい 栗 |
![]() |
初夏に花が咲き秋に実る栗。
茹でたり、炊き込みご飯やおこわにしたり、お菓子にしたりと多彩な顔を持つ魅力的な食材です。
栗は果物に分類されていますが、ビタミンC、カリウム、食物繊維が豊富なところは果物、ビタミンB群、マグネシウム、銅、亜鉛が豊富なところはナッツ類、そして、でんぷんが多いところは穀類の特徴をそれぞれ併せ持っています。
熱に弱いビタミンCですが、栗のはじゃがいもと同様、加熱しても壊れにくいので効率良く摂れます。
また、栗の渋皮には、赤ワインや緑茶に含まれる苦み成分と同じ「タンニン」が含まれています。
タンニンには強い抗酸化作用があり、老化や動脈硬化予防が期待できます。
渋皮は食べずに捨ててしまいがち。
そこで渋皮をつけたまま甘露煮にしたり、油で揚げて塩を振って食べるのがおすすめ。
ただし、栗は糖質が高めなため、食べ過ぎには注意しましょう。
特に間食で食べるときは5~6個を目安にどうぞ。
|
腸の砂おろし効果、こんにゃく
|
![]() |
こんにゃくの95%は水分で、残りはグルコマンナンという食物繊維です。
カロリーはゼロに近く、栄養価はほとんどありません。
が、昔から、こんにゃくは『腸の砂おろし』と言われるだけの力を秘めています。
人間の体にはグルコマンナンを消化する酵素がないため、そのまま胃や小腸を通過します。
大腸にきてから腸内細菌によって分解されますが、その時、大量の水が放出され、蠕動運動が活発になり、腸内の便や老廃物を体外に排出してくれます。
さらに、グルコマンナンにはコレステロールを吸着する作用もあります。
また、よく噛んで食べると「満腹中枢」が刺激され、腹八分目の食事で満足感が得られて、食べ過ぎを防げます。
コレステロール値や血糖値が高い人や太りやすい人は、いろんな料理にこんにゃくを取り入れるといいですね。
グルコマンナンのほかには、生芋こんにゃくにしか含まれませんが、セラミドという成分があり、肌のバリア機能を高める効果があります。
|
鮭はスーパーアンチエイジングフード
|
|
|
日本人が最も多く食べている魚は鮭だそう。
鮭は消化吸収の良いタンパク質に富み、ほどほどの脂があり、癖のない味が好まれるのでしょうか。
まず、鮭で注目すべき栄養素はアスタキサンチンです。
本来、鮭は白身魚ですが、アスタキサンチンの赤い色素を持つオキアミやエビなどをえさにしているので、
その身が赤やピンクになります。
アスタキサンチンは有害な活性酸素を除去する働きがあり、老化やがんの予防に役立ちます。
また、通常、イワシやサバなどの青み魚に多いEPAやDHAといったオメガ3脂肪酸も鮭には多く、
動脈硬化・高血圧・認知症予防効果もあります。
さらに、ビタミンDが多くてカルシウムの吸収を促してくれる嬉しい魚です。
ただし、お寿司などに使われる養殖物には注意。
特にチリ産のサーモンは避けましょう。
えさにトウモロコシ、大豆、植物油を使っているので、オメガ3脂肪酸は少量しか含まれていない上、
赤色の合成着色料が緑内障と同じ視野狭窄を引き起こすと言われています。
|
意外!柿はビタミンCの宝庫
|
![]() |
柿の実は、他の果物と同じように糖質を多く含んでいますが、特筆すべきは、ビタミンCが多いこと!イチゴやレモンに負けないくらい含んでいます。
「柿は酸っぱくないのになぜ?」と思われるでしょうが、実はプロビタミンCといって、体内に吸収されるとビタミンCに変わるものなのです。
大きめの柿一個で一日に必要なビタミンCが摂れます。
C以外のビタミンも豊富で、「柿が赤くなれば、医者が青くなる」ということわざがあるほど栄養分に富んだ果物です。
価格も安く、体調を崩しやすい季節の変わり目には有り難い食材です。
また、柿は二日酔いに効く言われますが、これは渋味成分のタンニンがアルコールの分解を早めてくれるからです。
ちなみに甘柿にもタンニンは含まれています。
ただ、水に溶けないので渋味を感じないだけ。果肉をよく見るとゴマのような黒い点が見えますが、これがタンニンです。
柿は実だけでなく、葉やヘタにも薬効があります。
葉は高血圧などの生活習慣病の予防として、ヘタはしゃっくりを止める特効薬として用いられます。
|
便秘予防、せきや痰にも良い 梨 |
8月の終わり頃、スイカからバトンタッチされるように店頭に並ぶ梨。
梨は90%近くが水分で、そのみずみずしさが、厳しい残暑で火照った体を冷ましてくれます。
また、あの清涼感のあるソルビトールという果糖がのどや気管を潤してくれるので、空気が乾燥してせきや痰がでやすい9月に最盛期を迎える梨は、まさに秋にふさわしい果物と言えます。
他には、疲労回復に役立つアスパラギン酸を微量ですが含んでいます。
また、あのザラザラした食感の石細胞が腸の蠕動運動を促してくれるので、便秘予防の効果があります。
さらに、タンパク質の消化を助ける酵素も含んでいるので、肉料理のデザートとしてもおすすめです。
美味しい梨の選び方は、「幸水」や「豊水」などは果皮が赤っぽいものを、「二十世紀」は黄味を帯びた緑色のものが良く、ザラザラの果皮がツルツルになった時が食べ頃だそう。
また、果糖を多く含む梨は冷やすと甘みが増して、さらに美味しくなります。
|
老化予防と便秘解消の強い味方、さつまいも |
さつまいもといえば、「食物繊維が豊富で便秘解消にいい」といった印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか?
まさにその通りで、イモ類の中では一番多くの不溶性食物繊維を含んでいます。
ところが、それだけではなくて、唯一さつまいもにしか含まれていないヤラピンという成分が便秘解消に一役買ってくれています。
ヤラピンは、切った時に断面に出てくる白い液体で、便を柔らかくする効果があります。
大腸がんの予防にも食べたい食材です。
さらに、風邪などの感染の予防やコラーゲンの生成を助けるビタミンC、血管の老化予防になるビタミンE、高血圧やむくみ予防になるカリウムも豊富です。
さつまいものビタミンCは加熱しても糊化したデンプンに守られ、壊れにくいのが特徴です。
ちなみに、さつまいもを加熱すると甘くなるのは、さつまいもに含まれるデンプンがベータアミラーゼという酵素によって分解され麦芽糖に変わるからで、ゆっくり加熱する石焼いもが、最も甘みが増すそう。
最後に…、皮や皮と実の間に有効成分が多いので、皮も一緒に食べることが大事です。
|
咳止めや夜尿症にも 銀杏(ギンナン) |
秋の味覚の名脇役といえば、あのもっちりとした食感と独特の風味を持つギンナンでしょうか。
葉が黄色に色づいて輝くイチョウには似合わないあの異様な臭いの実の中にヒスイ色のギンナンが入っているなんて…。
ところで、イチョウは実をつけない裸子植物の一つで、「実」と呼んでいるのは、本当は種で私たちが食べている部分は「胚乳」という部分だそうです。
胚乳は種が発芽するときに必要な養分となるものです。
なので、ギンナンにはタンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなどがバランス良く含まれています。
混ぜご飯や煮物に入れたりして、ギンナンを思いっきり味わいたいですね。
ギンナンには、肺を温めたり、膀胱の括約筋を強くする成分が含まれています。
なので、漢方では咳や痰に使ったり、冷え性の女性に多い頻尿や子どもの夜尿症に使われてきました。
薬効を期待するためには、焼いたギンナンを5~10個食べればよいとのこと。
ただし、食べ過ぎは禁物!
食べ過ぎると消化不良を起こしたり、嘔吐やめまい、痙攣などの中毒症状を起こします。
特に、子どもは3~5個までに止めておきましょう。
|
確かな強壮効果 ヤマイモ |
ヤマイモには色々な種類があります。
スーパーなどでよく見かける筒状のナガイモ、丸形でゴツゴツとしているツクネイモ(大和芋ともいう)、先端が扇のように広がるイチョウイモなどがあります。
ヤマイモの主成分はデンプン。
けれど、漢方では、皮を剥いて乾燥させたものを山薬(サンヤク)といい、滋養強壮の薬として重宝されるほど、栄養価の高いものなのです。
糖質分解酵素のアミラーゼが大根の3倍も含まれていて、弱った胃や腸の消化吸収を助けてくれます。
また、ネバネバ成分のムチンには胃の粘膜を保護する働きがある上に、タンパク質分解酵素が含まれていて、タンパク質の吸収や消化をも助けてくれます。
その他、活性酸素を除去するカタラーゼ、血中の脂質の酸化を防ぐサポニン、動脈硬化の予防になるコリンなども多く含んでいます。
イモ類で生食できるのはヤマイモだけ。
消化の働きを期待するためにも、とろろなど生で食べるのが一番!
ヤマイモの蔓に出来る丸くコロコロとした小さな実がムカゴ。
ヤマイモと同じ栄養があります。
簡単で美味しいムカゴご飯がおすすめ。
|
蕎麦は日本が誇る長寿食 |
![]() |
近年、ソバの健康効果が注目されていますが、その理由は、ソバにはポリフェノールの一種の「ルチン」が含まれているからです。
ルチンは血管の弾力性を保って、動脈硬化の進行を遅らせる効果があります。
このルチンは単独よりもビタミンCと一緒に摂ると効果がさらに高まるそう。
ビタミンCが豊富な大根おろしと一緒に食べる福井の「おろし蕎麦」は味覚だけではなく、栄養の面でも理にかなったものなのですね。
さらに、ソバにはビタミンB1・B2、タンパク質が、米や小麦に比べて多く含まれていることも魅力です。
また、ソバを茹でた後の茹で汁には水溶性のビタミンやルチンがたっぷりと含まれています。
捨てずに飲みましょう。
本来、ソバは陰性食品に属し、体を冷やす傾向にあります。
冷たいソバを食べた後に蕎麦湯を飲めば体を温めてくれるので、冷え性の人はお代わりしてでも飲みたい健康飲料です。
ソバは1年に2回(夏と秋)収穫しますが、福井のソバは秋ソバで11月頃に出荷されるそう。
香り高い新ソバが楽しみですね。
|
夏バテの追放にもおすすめ サンマ |
![]() |
秋が旬で刀のような形から、漢字で「秋刀魚」と書くサンマは、8月中旬から群れで北海道から東北の三陸沖、常磐沖、房総沖へと南下してきます。
旬は産卵前の9月~10月で、この時期のものが一番脂が乗って美味しくなります。
サンマはあの脂気が身上。
サンマのような青魚の脂には、コレステロールを減らし血栓を防ぐ作用のあるEPAや脳細胞の成長を促して脳を活性化してくれるDHAが豊富に含まれています。
動脈硬化やボケ予防になるわけです。
そして、もう一つの注目すべき特徴は、タンパク価が高いこと。
つまり、人が体内で合成できない必須アミノ酸の種類と量がともに多いのです。
他には、貧血の予防になる鉄とビタミンB12が多いことや、カルシウムの吸収を高めるビタミンDが多いことなどがあげられます。
このように、サンマには体によい栄養素がたっぷり含まれています。
秋のサンマは夏の疲れを取り、寒い冬を乗り切るための体づくりに役立ちます。
また、サンマといえば塩焼きが絶品ですが、大根おろしを添えていただきましょう。
大根に含まれる酵素が消化を助けてくれます。
|
低カロリーなのに栄養満点のキノコ |
![]() |
秋の味覚といえばキノコ。
低カロリーなのにビタミンB群やCの他各種ミネラルを含む栄養満点の食材です。
キノコの特徴は第一に食物繊維が多いこと。
腸で水分をたっぷり吸収して膨らみ、腸のぜん動運動を活発にして便通をよくしてくれます。
第二にビタミンDのもとになる成分を含むこと。
ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を高め、骨の発育を促進したり、骨粗しょう症を予防してくれます。
ちなみにビタミンDの量は30分間天日に干すと10倍にも増えるそうです。
使う前にしばらくでも太陽に当てましょう。
味と香りの成分も増えて、さらに美味しくなりますよ。
第三に免疫力を高めるβ-グルカンという成分を含むこと。
特にアガリクス茸や舞茸には多く、抗がん作用が注目されています。
その他にも、血中のコレステロールや中性脂肪を減らしたり、血圧を下げる作用があることもわかってきました。
今では様々なキノコが栽培されて一年中出回っています。
味噌汁などに入れて日常的に摂りましょう。
|
肉・魚料理のデザートに! イチジク |
![]() |
イチジクは実の中に多数の小さな花をつけますが、外からは見えないことから、「無花果」と書きます。
昔は食用より薬用として用いられていましたが、現在では生食することが多くなり、マーケットでも夏の終わりから秋の終わりまで並んでいますね。
へたの切り口から出てくる白い液はフィシンというタンパク質分解酵素。
お肉や魚料理との相性が良く、食後に食べると消化を助けます。
また食物繊維をはじめ、ビタミンB1、B2、C、カルシウム、鉄などのミネラルを含みます。
中でも食物繊維のペクチンは腸の活動を活発にさせて便通を整えたり、コレステロールの吸収をおさえます。
油っぽいものを食べた後のデザートにぴったりです。
お尻の部分が裂けそうになり、へたのところまで赤褐色に染まると食べ頃です。
未熟なイチジクは胃を痛めることがあるので注意しましょう。
|
ゴマは小粒ながら栄養価の高い長寿食
~毎日大さじ1杯(約10g)を摂りましょう~ |
![]() |
ゴマは春に種をまいて秋に収穫するゴマ科の一年草。
「不老長寿の薬」ともいわれるゴマの小さな粒の中にはさまざまな有効成分が含まれています。
動脈硬化を防ぐリノール酸やオレイン酸、疲労回復のビタミンB群、若返りのビタミンE、貧血に効く鉄、強壮作用の亜鉛、骨や歯を強くするカルシウム、便秘を解消する食物繊維など。
また最近強力な抗酸化作用のあるゴマリグナン(セサミンなど)が見つかっています。
わずか大さじ1杯のゴマで、ほうれん草4分の1束の鉄分が、牛乳120CC分のカルシウムが、ゴボウ20gの食物繊維が摂れます。
ご飯やおひたしなどにいりごまをふりかけたり、お味噌汁や麺類にはすりごまを入れるなどして毎日ゴマをいただきましょう。
またゴマ油もおおいに利用しましょう。













