大将のブログ 冒険小説「らーめんダイバー」
dive17
「内密に進めていた例のスーツ、明日には試作機ができるようです。あれができればまた石に一歩ちかづけますね。あれさえあれば人の不安、猜疑心、妬み、病などを誘発し薬も売れ、兵器も売れうちの会社はぼろもうけ。」
「おい灰田あんまりそう急ぐな、すでにあの四川の村は焼き払った。これであの石の秘密を知るものはもういないのだから。しかしあの村長ときたら最後まで口を割らなかったな。まあいい、こちらにもそれなりに手はある。これでスーツができればもうあの小僧にも用はない。何か理由をつけて首にしてしまえ。」
この声は黒田社長か?
「製造データなどはもうコピーしておきました。いやぁ、社長もやることが早いなぁ。スーツができそうだと言ったらすぐに村を襲っちゃうんだもんな。あとはあの僧侶の術さえあれば・・・まあ明日が楽しみだ。しかしまさかこの会社があの軍事と製薬の『ブラストン』とつながっているとはね・・・」
「あれは祖父が作った親父の会社だ。だが、いずれは俺がすべてをいただく。親父のやり方ではまだなまぬるい。ただし戦争なんか起こさせない。生産性が落ちるからな。ぬるま湯のような世界であの石を使い、穏やかな笑顔で優しく親切にきりきりと搾り取ってやる。病の前にはどんな金持ちでも、どんなに頭がいいやつでも、どんなに強いやつでも平等に無力だ。」
「社長を見ているとほんとに思いますよ。『悪魔は善人の顔をしてやってくる』ってやつをね。」
(ちょっと待てよ。紅美が言っていた敵ってうちの会社?なに、おれ敵のためにスーツ作っちゃったんじゃないの。四川の村を焼いたって!どうなってんだ。紅美は無事なのか。村長は、紅雷は。もしかしてさくらの病気もこいつらのせいなのか。それより今はここを出なきゃ。どうすりゃいいんだ、俺。)
来た道をそろそろと引き換えし自分の研究室に戻るとパソコンの履歴をすぐに調べた。まさに俺が出勤する直前に開けた跡がある。監視カメラを見るとロッカーも開けている映像が残っていた。何かあからさますぎないか。でも石のことも知ってるってことは、村か寺の関係者がかかわっているってことなのか。どうすればいい。でも幸いなことにもう一つのスーツの機能、人工知能のことはここには置いてない。もう会社用のスーツのことは仕方がない。対策を考えなきゃ。まずここはこのままにしておかないとかえって怪しまれる。このまま帰ろう。
帰る途中に紅美に」電話をしたが何度かけてもつながらない。黄さんにもかけたがつながらない。こうなったらしょうがない、俺の味方といえばこいつしかいない。今までできるだけ言わないできたがこんなに近くに敵がいたんだから、というか敵の中にいたんだからしょうがない。あいつにも事態を知ってもらっておかないと。さくらにはどうしよう。えーい、それもあいつに相談しよう。もう早く出ろよ。
「おー、藍さっきできたばかりで、今電話しようとしたとこだったよ。もう家に着いたか?」
「おおー。お前ってホント頼りになるな。もうつくからお前もすぐに来てくれ。大事な話があるんだ。お前にも、さくらにも関係のある話だ。」
「なんか怖いな、まあ急いでいくよ。」
興奮する俺に驚いているようだが、話を聞いたらそれどころじゃなくなることだろう。きっと紅美も許してくれると信じよう。ご先祖たち俺たちにご加護を。
家に着くとさくらがご飯を作っていた。ジミーも来ることを伝えると予想していたようで、慌てる様子もなく冷蔵庫から食材を出している。話は食べてからじゃないと、おそらく食欲がなくなってこれからのことも考えられんだろう。今まで打ち明けようかどうか何度も考えてきたが、話がこんなに大きな事態になるだなんて、もう俺だけの問題じゃなくなった。止めなきゃ、さくらみたいな子がたくさん出てしまう。これかあの村長の言っていた店主が警告していた話って。でも『黒石化学』だけじゃなく『ブラストン』だって、あんな世界的な軍需産業&製薬会社が敵だなんて。でかすぎるでしょ話が。
「お兄ちゃん?何深刻な顔してんの。ジミー来るなら着替えてきたら。もうご飯できるよ。」
「うんそうだな。」
ぼんやりと答えたその声はさくらの背中越しに届いたのだろうか。様子のおかしい兄に振り向くさくら。じっとさくらの顔を見つめ、やっと病気から解放されて楽しく生活できるようになったのにこんなことに巻き込んでいいのかという葛藤。武道が好きで正義感の強いさくらのこと、事情を話せば一緒に戦うというかもしれない。でも兄として、母を早くになくして幼いころから気丈に頑張っている妹をこれ以上辛い目に合わせたくない。早くに結婚していい旦那さんと幸せに暮らしてほしい。こんなに普通に暮らしている世界が俺の一言で一気に闇の世界とつながってしまう。何度も言葉を飲み呆然と立っている兄を見てさくらはなにかをかんじとったようで手を止めて、
「大事な話?があるの?」
「さくら・・・おまえ・・今困ったことないか、幸せか」
「うん。幸せだよ。急になによ。うーん、困ったことか・・・兄がずっと何か隠し事をしてることかな。」
ピンポーン~
「あ!ジミーだ。」
そういってはぐらかし玄関に行くとジミーを迎えた。泣きそうな目をしている俺を見て入るのをためらっているジミーを引っ張りあげた。
「さあ、とりあえず食べよう。いただきます。」
まずこいつに話してからだ。さくらに話すかどうかはそれからだ。怖い顔をして食べる間中ジミーを見ているものだからなかなか食も進まないようだ。
「お兄ちゃん、それじゃジミーが食べれないよ。もう、かわいそうに。」
「もう食べたよな、じゃあ俺の部屋に行こう。」
dive16
次の日、どうにも心配なので中国に行ってくるという紅美を見送り会社に行くと俺にスーツのプロジェクトを一任しっぱなしでお飾りのようにいる普段どこへ行っているのかわからない灰田課長が研究室にいた。
「あれ、課長おはようございます、珍しいですね。なんかあったんですか。こんな離れ小島の研究室に。」
実際、俺の研究室だけ古い別棟にあり、他は倉庫ばっかり。最初は俺の研究にはあんまり期待していないのかなぁとも思ったが、かえって一人のほうがやりやすいのでありがたかった。
「うーん、そろそろ試作機ができそうだとこの前言ってたからどうかなぁと思ってきたんだけど、どんな感じ。」
「あと2日くらいで試作機をお見せできると思います。できたらすぐに連絡します。」
(あれ、課長あんまり俺の研究に興味なさそうだったのに。ほかにいろんな研究も受け持ってるからなんか間違えてきたのかな。)
「課長、この研究がひと段落ついたらちょっとお休みをいただきたいのですが。身内が体の具合があまりよくないようで。遠方にいるものでまとめて休みをとりたいのですが。」
「あぁそうか。ずっと有給休暇もとっていなかったから今度の夏休みと一緒にとればいいよ。まあこれが完成してからだけどね。じゃあ楽しみにしているよ。」
「有難うございます。では急いで仕上げにかかります。」
後ろ姿にそういうとロッカーのカギを開けた。が、なぜかカギが開いていた。昨日閉め忘れたのだろう。会社用試作機を取り出しちょっと着てみた。なかなかいい出来だ。実はこっちはとっくにできあがっていた。黒石化学のロゴ『kuroisi』という文字が胸に銀色で入れてある真っ黒いスーツ。こっちは温度調節機能がメインのスーツで背中にバッテリーと、ナノマシーンのタンク、あと小型酸素ボンベを背負うことになる。黒石だけにすべてが黒だ。そして銀色のゴーグルに銀色のボンベとけっこうスタイリッシュに仕上げてみた。というのも何度か見かけた此処の社長『黒石銀次郎』にちなんでの色合いだ。自分でも常に黒スーツに銀色のネクタイ。そのせいか社の製品もすべてこのカラーリングだった。まあ依頼された企業のカラーにしてしまうのでこのモデルはこの試作機だけになるかもね。プロジェクト自体ほぼ俺一人でやっていたのでこの特殊な生地の製造もあまり大きなところには頼めず、黒石の元下請け企業の白馬化学繊維工業に依頼した。ここの社長、実は俺たちが通っている道場の師範なのだがいろいろあって黒石が大嫌い。本当はもう仕事は受けないと言っていたが、俺の頼みということでやってもらったのだ。師範にはもう一つお願いしてあった。それはもう俺の家に保管してあるのだが、あとはジミーが作っているゴーグルと接続したら完成することになる。これが完成したら一度中国の村長のところへ行ってこようと思い休みをとるつもりでいる。ようやく一つ大きな問題をクリアーすることができる。早く会社用のものを終わらせてしまわなくては。テストするために一度着てみると、なんだか今までの苦労の思い出が押し寄せてくる。何度やっても温度調節がうまくいかずやけどしたこと、繊維が途中で詰まってしまい爆発して掃除で大変だったこと、バッテリーが発熱して燃えたこともあった。大学在学中から数えると丸5年かかった。しかし会社もよくこんな小僧に任せっきりでやらせてくれたもんだよな。そんなことを考えながらゴーグルを装着しメインタンクとボンベをつけレギュレーターをくわえプールにダイブした。冷却プールにはられたエタノール80%の水溶液はマイナス60度を保つようにできており、ほとんどのものがカッチンコッチンの世界。遠洋マグロの凍結温度だ。その中に入ってスーツの性能をテストする。モーターの音が激しくするのをきくとちゃんと機能していると安心できる。ゴーグルのモニターには外部温度とナノマシーンの温度そして俺の体温と心拍数。バッテリーの残量が残り95%を示している。少し水槽の中で動いてみると確かに液体の抵抗はあるが寒さはみじんも感じない。30分してバッテリー残量も50%になったので一度上がり今度は隣の油のタンクへ。こちらは200度に。カラッと上がる温度だ。恐る恐る入るが、こちらも難なくクリアーした。自分で作って何度もテストしたが、全身入るときはやっぱり怖い。リフトに乗って入っているので緊急ボタンを押せばすぐ上がれるのだが、何が起こるかなんて予想できないから、入るときは結構な覚悟がいる。録画したテストシーンを見直しちょっと休憩した。疲れてちょっと寝てしまった。起きると薄暗くなっていて時計を見たら6時になっていた。明日にはプレゼンができることを課長に報告に行こうと少し離れた本館のほうへ行った。本館に来るのは久しぶりで何回来てもわからなくなってしまう。その上先日、部署の引っ越しがあったものだから迷ってもう一つ隣の特別棟のほうへ来てしまった。するとちょうどそこに課長がエレベーターに乗る姿を見たので追いかけた。しかし扉は閉まってしまい次のエレベーターを待つことになった。13階で止まったのを見て後を追った。なぜか10階でエレベーターが止まってしまい仕方なく階段で上がった。13階に着くと暗い通路の奥に一つだけ明かりのついた部屋があった。なんだか怪しげな感じがしたので息を殺し、足音を立てないようにして近づくと中から課長の声がした。
第5歩
包丁もだいぶ慣れてきたでしょうか。いろいろ切ってみるとなかなか自分の手のようにうまく操作できないことに苛立ったことでしょう。最初はそんなものです。でも、楽しいでしょ。なんかちょっとできるとうれしいでしょ。「技術」っていうと大げさですが「できた」ってそういうこと。自転車に乗れた、スケートで、スキーで、バイクで・・・・みんな同じだと思います。バイクに乗って一つカーブをうまく曲がれただけでわくわくするあの感じ。あなたが今まで楽しかったとおもったものと同じでしょ。この先にもっといっぱいのわくわくがまっていますよ。
ここで一つ私事ですが、調理師になるのにどうして中華を選んだのかという話をしましょう。こう見えても(見えないか?)最初は洋食のあの山高コック帽にあこがれた一人でした。僕らの時代には(昭和50年ごろ)はテレビで洋食があふれ「料理天国」なる番組(辻調理師学園監修)では毎週豪華な料理が紹介されていました。小学校の頃の調理実習でフレンチドレッシングサラダとスクランブルエッグを習ってから家で何度も作りました。その後母の料理本を見てはいろいろ作りました。前の日に材料を言って買ってきてもらい土曜日に昼からタコ焼きを焼きまくったり(その日は晩飯もタコ焼きでした。)、野菜をみじん切りにしてルーからカレーを作ったり、家族にはいい迷惑だったかもね。中学からコックにあこがれていましたが高校に進み2年生の時のこと、担任の先生に頼んであの料理天国の監修をしていた大阪阿倍野辻調理師学園の資料を取り寄せてもらい夏休みに体験入学に行きました。自分でホテルも予約し行き方も調べ、いざ大阪へ。そして体験入学に行ってみるとその日の体験は中華でした。それも餃子の皮伸ばしでした。テレビで見たことはあったもののいざやってみるとこれがおもしろい。教えてくれたのは入学後副担任だった中華の先生でした。太っちょ眼鏡という何ともイメージどおりの人(今では自分も)でした。山高帽子ではなく、きのこのようにぺたんと頭をつぶした感じの中華のコック帽でした。しかし実に面白かった。体験というかもうそのまま餃子屋でバイトしたいぐらいにおもしろかった。そしてついにこの時がやってきた。私が中華に決めた一言を聞く時が。面白くて何度も皮を伸ばしていたその時、先ほどの先生が、「自分うまいなー、どうだ中華に来ないか」。その一言で決めてしまった。私の人生の選択はそんなものでした。とはいえ後々よく考えて、私はお米から離れられないことと、自国以外の料理をやってみたいという理由で方向を決めた。と、まあこんな感じでした。
そんな私の始まりにちなみ、皆さんに最初に教える料理は『餃子』です。あの時のわくわくをみんなにも味わっていただきたく、この料理を選びました。
では餃子について、最近では日本でも水餃子が認知されてきましたが、中国ではほぼ水餃子がメインです。焼き餃子がないわけではありません。広州の町にも焼き餃子売ってました。でも日本ほど中華料理屋に行ったら必ず餃子、なんて店はありません。もともと餃子など小麦粉を使った皮や麺を使うものを『麺点心』といいます。だかららーめんも、饅頭も餃子も全部『麺点心』ということです。基本中国では点心屋と料理屋は別ものです。ちゃんとした料理屋に行って餃子とか言わないでね。中国人にしてみたら餃子でご飯を食べる「餃子定食」なんてものは、ありえない。なんともかわいそうな人が食べるものと思われるでしょう。点心とはそれ自体が主食、おかずにするなんてありえない。日本人がお金持ちの国と思っていたのにショックでしょう。ネパールのモモ、イタリアのラヴィオリ、ロシアのペリメニ、ポーランド、北米のピエロギなど世界に広がりを見せるこの料理の本質はおにぎりと一緒、主食でおかずを包むということ。という意味合いから主食と主食の餃子定食は中国にはない。そのせいなのか満州国のイメージが強いせいなのか日本発の餃子の王将は売れずに撤退しました。日本の餃子は日式餃子などと表記され皮の薄いもの、対する海外のものは皮の厚いものが主流。そりゃそうですよねコメの少ないおにぎりなんて日本人でも食べないでしょ。まあ一部の人の反対意見もあるでしょうが皮を美味しく食べるための餃子である。
ということで皮作りにこだわった餃子の作り方を教えましょう。
ながくなりましたので作り方は第6歩で紹介します。
dive 15
「そうだ、紅美、そろそろ俺の研究が成果を上げそうなんだ。あとはジミーが作っている人工知能が完成すれば試作品が完成するんだが。なんか最近変な噂を聞くんだよなー。どうもスーツの秘密を狙っているやつらがいるっていう。会社のセキュリティーは完璧だからそんなに心配はしてないのだけど。明日ジミーにも聞いてみよう。さあ練習、練習」
そういいながら
ジミーの開発している人工知能の試作品を俺の試作品のスーツにつないで作ってみたのだが、これがまたジミーらしいものになっていやがる。スーツにつけるゴーグルスタイルにしてあるのだが、ゴーグルのスクリーンにマシーンの状態が一目でわかるようになっている。そこまでは良しとしよう、だが、すげーしゃべるんだよね。俺がちょっと
「やっぱ人工知能と言えばナイトライダーのキッド。」
といったのが間違いだった。siriにしてもらうべきだった。なんか結構な割合で突っ込んでくるんだよね。
「じゃあ、俺流のキッドにしといてやるよ。」
なんて言葉を信じた俺が悪かった。
なんか俺の考えてることも読むようになってんだよね、っていうか嫌味まで言うんだよ。心拍、血圧、発汗、目の動きなどあらゆることを感知して管理されてるって感じ。この前なんかスーツ着てゴーグルつけてテストしてるときに窓越しにかわいい子を見ていたら、急にブザーが鳴り
「それ以上は法に触れる恐れがあります。」
「まだ何にもしてねーだろうが。」
「いやいやいやいや・・・・・」
「先の先まで読みすぎなんだよ。」
「今のは28%アウトだったからー」
「妄想ぐらいいいでしょ。」
「そのニヤニヤがやべーっつってんの!」
「うぅうう、そこはすみませんでした。気を付けます。」
「わかりゃいいんだよ、わかりゃ。」
「ぐすん・・・」
「・・・・・さっきはちょっと・・・・」
「なんだよ今度は、どーしたんだよ。」
「だってーー今ちょっと『ジミーに言ってプログラム替えたろか』って思ったでしょ・・・」
「あーも―めんどくさい。ちょっと思っただけだよ。お前って本当に微妙なのな。まあ人間なんてそんなもんだ。思っていても抑制できるのが人間のすごいところなんだぜ。」
「それって自分で自分を・・・・あなたの中には何人もいるってことですか。」
(おっ、ちょっと俺のことすげーと思ってるんじゃねえの、それならそうしとこうか、)
「まあ、そんな感じだ。」
「・・・・一度病院に行って精密検査したほうがいいんじゃないですか。」
「ちげーよ、そういうんじゃねーよ。も―わかんねーかな。」
「はは、ちょっとからかっただけですよ。わかりやすい人だなー」
「なにー!」
「ちょっとスリープしまーす・・・・」
「おいこらちょっと待て、お前・・・」
てな感じなんだよね。でもいざって時には役に立つから替えれないんだよね。この前なんて研究所でテストしていたら横に置いておいたコーヒーがこぼれて俺にかかりそうになったんだ。アッと思うが早いか、手からナノマシーンが出て扇状に広がり俺を守ったんだ。間一髪。まあスーツ着ていたから大丈夫なんだけど。これが敵からの攻撃であったらと思うと心強いよね。そんなところも全部ひっくるめてまさに『ジミーブラウン』あいつそのもの。あいつがスーツに入って俺を守ってくれているみたいだ。だから何とも言えない安心感がある。いつも思う、なんであいつあんなに頭がよくて見た目もハーフでそこそこもてるのに、いつも俺と一緒にいてくれるんだろう。彼女でも作ればいいのに、いつも俺の家に来て俺の馬鹿話に突っ込んでくれる。さくらもいつもこのお兄様じゃなく、ジミーになんでも相談してやがる。まるでうちの長男みたいだ。俺も頼りにしているからしょうがないか。ようやく明日「キッド」が完成するらしいしほんと頼りになるやつだ。
dive16nに続く・・・・
dive14
「・・・・・・大丈夫か?・・・まかせるけど・・・」
昨日の干物の鯖を焼いた残り、サラダの残りのレタスと茹でたブロッコリー、ついでにかまぼこの切れ端を入れてまとめに少しオイスターソースを入れてジャジャジャジャーンってな感じで作ってみた。残りめしで超大盛にしてやった。こわごわ食べたジミーは
「なんだこれ、チョーうめーじゃん。お前いつからこんな技持ってたの。店レベルだって、これ」
「あのさー、俺勉強することにしたから。そんで日本工科大行くから。」
「え、おいおい、いきなり何言ってんだよ。おめーが遊ぶ計画たてるからこいって言っといて、きたら勉強って何言ってんだよ。大体日工大ってトップクラスだぜ。俺でも難しいのにおまえじゃぁ。」
「だからお前も一緒に行こう。ということで俺に勉強教えてくれ。よし決まり。日工大行くぞー。」
「まじかよ、でもお前言い出したら聞かねーしなー。まあ、それも面白そうだからそういう遊びってことで、いいか。俺もどこ行くか決めてなかったけど、あそこだったら目標にするだけでもいいかもな。でもなんで日工大なんだ。」
「あそこだったら研究費もいっぱい出るらしいし、いっぱい実験させてもらえそうだしな。」
「じゃあ早速計画でも立てるか。」
結局ジミーまで巻き込んでしまったが、こいつの頭の良さはおりがみ付きだから、塾に行くより毎日一緒にいるから俺の弱点もわかるだろう。そんな話をしていたらさくらが帰ってきた。
「さくらちゃん、ほんとによくなったんだね。びっくりしたよ。もう大丈夫なの.。」
「おかげさまで、道場にも行ってきたの。久しぶりですっきりした。」
「へー、あっそうそう、藍、どうしちゃったの?急に勉強して日工大行くって言ってるよ。まあ俺も道ずれにする気でいるらしいけど。」
「勉強?でもお兄ちゃん一人じゃダメそうだけどジミーが一緒なら案外いけるんじゃない。ジミーお願いね。」
「さくらちゃんに頼まれたんじゃ断れないな。じゃあがんばるね。じゃあ帰って日工大のことしらべてみるわ。じゃあね」
二学期が始まるとチョーガリベン君になった俺を見て先生もびっくりしていた。学年上位のジミーに教えてもらっていることもあってじわじわと学力も上がっていった。そして家に帰ると体術と気の訓練。毎日へとへとになるまでやった。ありがたいことに黄さんと紅美が町内に中華料理店を開きちょくちょく差し入れをしてくれるので、ご飯を作る時間が節約でき、腹も満たされ訓練と勉強に集中できた。
こうして毎日を過ごし、ぎりぎりだったが日工大に入りそこに研究依頼していた企業黒石化学に入社することになり、大学の研究を引き続き会社ですることになった。火災が起きた時や寒冷地、はたまた水の中に消防士やレンジャーが温度変化また物理的衝撃に耐えられるスーツを作りたいということで研究費を出してくれていた。なんともありがたいことに俺の研究にピッタリの申し出。俺の研究とはあるチューブ状の炭化ケイ素連続繊維で密に織り込んだ生地を作り、炭素繊維のチューブの中を液状のナノマシーンを流し込み、そのナノマシーンを電気信号で操り温度を管理するシステム。簡単に言うと床暖房の原理をスーツの生地に、中を流れるお湯をナノマシーンにしてどんな温度にも対応して中の人を守るという画期的なシステム。生地になる炭素繊維は衝撃に強い硬さと、しなやかさを兼ね備えた特殊なもので、中を流れるナノマシーンは形状を電気信号で変えられ、生地のチューブから出していろいろな道具にも変形させられる。ターミネーター2に出てきた液体金属でできたT-1000がチューブの中を通っているとイメージするとわかりやすいかな?まあ、あそこまで万能じゃないけどね。これを制御するための人工知能を作っているのが俺の相棒ジミー。こいつが入った会社は黒石化学の系列会社黒石サイバネティクス、人工知能で義肢を制御しようというシステムを開発している。そのAIをナノマシーン制御に利用できないかと相談したところ秘密裏にやってくれることになった。なぜ秘密にしたかというとこれが悪用されたらえらいことになると二人が思ったからだ。これを兵士が着用したら、無敵に近いからだ。だから会社には表向きのナノマシーン温度制御プログラムを作ってくれるということにして、変形などのプログラムは二人で会社が終わってから開発していた。俺はもしものことを考え会社にはジミーとはここにきて初めて会ったということにしていた。それは紅美のアドバイスによるものだった。何かあってジミーまで巻き込まれないようにという配慮によるものだ。その頃になると紅美による俺の修行もだいぶ進んでいた。呼吸法による力の制御、体術のほうも紅美を時折追い詰めるようになった。霊力を使う術も少し教わったがどうやら最終的には俺が小さくなるらしい。コナン君みたいにじゃなく、最小身長5ミリぐらいまでだっていうんだから、昔あったミクロマンかピコタンな感じ。それでラーメンの中に飛び込むらしい。んなわけないと思っていたが紅美がやって見せてくれた。でも彼女でも30センチが精いっぱいだった。不思議なことに身に着けているものも一緒に小さくなる。俺はスケベ心でこれは服だけ残して小さくなるのではと期待していたのだが見事に裏切られた。二つの理由でびっくりしている俺を見
「私は霊力が弱いから今はこれくらいまでしかできない。でも選ばれたあなたならきっとできるようになるわ。」
と、まじめに言うからあんまりふざけたことを言えなくなる。教えてもらうとこれは術というよりは自分を取り巻くものをギュッと圧縮することをイメージして手を合わせ体の中の駆け巡る力を一気に発するとできるというまさに念力みたいなもの。何かで言ってたっけ、魔法使はは血で飛ぶって。あれとおんなじ感じ。LEE先生もいってたな『Don`think .Feel!』。感じがつかめるまで何度もやってみるがどうもよくわからない。紅美も何かのきっかけでできるようになるっていうだけでこれだけはどうにもならないと言っていた。練習を続けていると紅美が心配そうな顔をして
「昨日久しぶりにおじいちゃんに電話したんだけどつながらなかったのよね。なんかあったのかなぁ。ちょっと前に黄が報告がてら村に行くっていうから伝言頼んでおいたのに何の返事もなくて・・・」
「黄さんもいろいろよるところがあるって言ってたから、2,3日かかるんじゃない。」
「そうかなぁ、なんかあったんじゃないかな。心配だなー」
dive15に続く・・・・

