◆終了した講演会◆H 30 5 20

今回の講演は、群馬県県立博物館の学芸係長をしている深澤 敦仁先生でした。

 

最新の考古学的成果を踏まえて、

えっ、そんなことがあったのと、思わせるほどの、

興味津々たる説明でした。

 

なんとヤマダ電機の4階会場はほぼ満員でした。

 

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(人、人、人でびっしり詰まった講演会場)

 

先生は、冒頭に、言いました。

卑弥呼の邪馬台国はどこにあったか、という問題には触れません。

 

卑弥呼の時代、いったい、この東国社会はどういう状態であったか、

ここに焦点を当て話しを進めると言いました。

 

東国社会というのは、先生によれば、当然、今の群馬県あたりを指す言葉です。

 

群馬の古墳の話から始まりました。

西暦300年ごろの前橋天神山古墳や前橋八幡山古墳から始まり、

西暦700年ごろの宝塔山古墳、蛇穴山古墳までを概観しました。

 

そして邪馬台国の説明に入ります。

 

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(深澤先生のパワーポイント画像より)

 

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((深澤先生のパワーポイント画像より)

 

深澤先生の話の要約:

 

◆1.卑弥呼が魏に使いを送ったとき、

銅鏡100枚を賜ったとのことです。

その銅鏡とは、正始元年(魏の年号)の銘文をもつ三角縁神獣鏡です。

 

群馬県高崎の柴崎蟹沢古墳から正始元年の銅鏡が出土しています。

 

奈良県桜井市にある桜井茶臼山古墳から銅鏡の破片が出、

現代の三次元計測によると、

それが、柴崎蟹沢古墳出土の銅鏡にぴったりと当てはまります。

 

当時の奈良と東国群馬との関係を暗示しています。

 

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 ((深澤先生のパワーポイント画像より)

 

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 (深澤先生のパワーポイント画像より)

 

 

◆2.空間と時間の設定

弥生時代の後期、群馬の山間部、山麓部当たりでは、樽式土器を使用していました。。

とくに利根郡、吾妻郡、甘楽多野郡あたりです。

 

300520深澤資料樽式土器-5.jpg

(深澤先生のパワーポイント画像より)

 

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 (深澤先生のパワーポイント画像より)

 

弥生時代の後期後半は、この4枚の画像が示すように、

北陸、丹後等の文化の影響を色濃く受けています。

 

◆石田川式土器の発見

昭和22年の台風、昭和24年の台風と相次いだ災害があり、

 昭和27年から群馬県の石田川と米沢川で、高さ3mの堤防構築工事が始まります。

 

多くの土器が出土しました。

 

当時、藪塚町で今井旅館を経営していた今井新次氏と群馬大学の学生であった松島栄治氏の二人が、

群馬大学の尾崎喜佐雄教授の指導を仰ぎながら、調査を開始しました。

 

石田川からの出土にちなんで「石田川式土器」と命名されました。

 

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 (深澤先生のパワーポイント画像より)

 

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 (深澤先生のパワーポイント画像より)

 

 石田川式土器の特徴として、口縁部にS字状に屈曲したものがあります。

胴部は大きくはらんでいます。

土器表面は櫛状の工具で装飾されています。

 

これら石田川式土器のオリジンは、東海地方と言われています。

東海地方西部にあった土器の文化が、関東地方へ押し寄せてきました。

当然、物の流入は、人の移動を伴って入ってきました。

 

なぜ移動してきたのか、

この頃、邪馬台国と狗奴国の戦争に終止符が打たれ、

難民や棄民が移動してきたのか、その辺は定かではありません。

あるいは政治的な亡命に近い形だったのか、その辺も定かではありません。

 

 

 

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 (深澤先生のパワーポイント画像より)

 

元島名将軍塚古墳をはじめ、多くの遺跡がこの群馬県平野部に出来上がります。

東海地方からこの群馬県東毛地域へと移動した人々が作り上げたものに違いありません。

 

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 (深澤先生のパワーポイント画像より)

 

 

 

 

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(太田市教育委員会 文化財課PDFよりの図)

 

◆在地化

西暦200年代半ばからこの群馬の地域へ移動してきた人々は、

 

在地化を成し遂げ、地元に溶け込んでいったと思われます。

 

先生を囲んでの懇親会

 

 250人を超える聴衆を前にして、

先生、長時間の講演、お疲れ様でした。

懇親会では、お酒を召し上がっていただき、

当会の人たちと和やかなムードの中で話が弾みました。

 

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(理事長 結城順子と深澤先生)

 

 

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(当会へいつも参加してくださる奈良大学学友会の人たちと)

 

 

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(当会の会員たちと)

 

先生、ほんとうに長時間の御講義、ありがとうございました。

多くの人たちは、先生の今回の講演に感銘を受けたました。

またの機会には、是非、当会「歴史と文化を学ぶ会」でご講演お願い申し上げます。