◆奈良大学学友会の主催した鎌倉見学会へ参加

◆ 平成31年4月7日(日)

奈良大学の学友会主催による第11回目の鎌倉見学です。

私たち「歴史と文化を学ぶ会」も数名ですが今年もまた参加しました。

春爛漫の桜の咲き匂う鎌倉の五山の寺に出向きました。

最初の訪問先は;

◆ 壽福金剛禅寺

IMG_6337.JPG

 

IMG_6338.JPG

 (壽福金剛禅寺)

 

ひっそりとしていて、鎌倉の山ふところに抱かれて、

あるか無きかのようなたたずまいです。

いいですね、自己主張がなく、

謙虚に自然の中に溶け込んでいる姿。

 

IMG_6347.JPG

(実朝と政子の墓と伝えられています。)

 

◆「やぐら」という言葉を初めて聞きました。

なんでもこのような山の崖に横穴式に墓穴を掘り、

五輪塔や墓石を安置した墓所のことです。

 

峻厳な山崖を背景にして、

多くの「やぐら」がありました。

鎌倉五山の第三位の寺ということで、

境内の中の墓地には、それとなく格式のある雰囲気が漂っていました。

そのおごそかな「やぐら」の一つに、

実朝と政子の墓と伝えられる五輪塔がひっそりと人目につかず安置されていました。

 

◆二十五坊跡

鶴丘八幡宮の境内で昼食をとった後、

鶴丘八幡宮の裏手にある「二十五坊跡」へ行きました。

なんでも昔は、この鶴丘八幡宮も神仏混交の時代には、

社僧という坊さんたちがいて、神社を治めていました。

その社僧さんたちの居場所がこの「二十五坊跡」だったそうです。

 

学友会の監事の方の説明もあまり聞かず、

うららかな春の日を楽しむかのように、

今回の遠足会に参加した沖田さんと色々なことをしゃべっていました。

 

沖田さん 二十五坊跡にて.JPG

(奈良大 学友会の沖田さん  二十五坊跡の沿道にて)

 

沖田さんは、現役時代は、冶金関係のお仕事で、

いきおい金属や鉄に多大の関心を寄せており、

したがって、お互い「鉄」に関してのことが話題になり、

彼、自分の持っている「鉄」に関する書物を私あて送ってくれることになりました。

「古代日本の鉄と社会」と銘打った書物で、

東京工業大学製鉄史研究会の人たちの労作です。

今から楽しみにしています。

 

◆建長寺へ

桜満開 建長寺境内.JPG

(建長寺にて)

桜が満開でした。

鎌倉五山の第一位という格式だそうで、

境内そのものどこか荘重な雰囲気のある寺院です。

 

建長寺方丈庭園.JPG

(建長寺 方丈庭園)

建長寺裏手には、素晴らしい庭園があります。

池も築山も家も、みな自然の中へ融合してしまったような感じです。

まるで「涅槃」のなかの静寂と平安が同時に具現されている美しさです。

 

境内にて 建長寺.JPG

(建長寺の境内にて、奈良大学 学友会の幹事さんたちと)

 

鐘楼 建長寺.JPG

(建長寺 国宝の梵鐘)

 

この梵鐘、高さが208.8cmほどあるそうで、

こんな大きな梵鐘、見たことがありません。

 

近くの立て札に、漱石が歌った俳句がありました。

 

「鐘つけば 銀杏ちるなり 建長寺」

 

立て札の説明文には、正岡子規の

「柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺」

上記の漱石の句を参考にして読まれたと。

 

句としての出来栄えは、圧倒的に子規の方が上ですね。

子規の体と、柿と、そして鐘、

なにかすべて一体化した世界が現出しています。

 

漱石の「銀杏」、「鐘」はやはり才人が技巧を弄して作った句、という印象をまぬかれません。

 

子規は、柿が大好きでした。

「柿に思ふ 奈良の旅籠の下女の顔」

「故郷や 祭りも過ぎて 柿の味」

「村一つ 渋柿勝に 見ゆるかな」

 

子規の弟子の河東 碧梧桐が、

「柿食ふて 居れば鐘鳴る 法隆寺」

となぜ歌わなかったのかと子規に問うと、

子規は「尤もの説である。併しかうなると、

稍々句法が弱くなる」と答えました。(子規歳時ー越智二良)

 

やはり子規は一直線ですね。

技巧を弄さない。

「禅寺の 渋柿食へば 渋かりき」

物に即して「生」を写す、これがほんとうの写生です。

 

建長寺の梵鐘から、だいぶ話が逸れてきました。

 

浄智寺へ

 

このお寺にも「やぐら」がありました。

鎌倉五山の第四位の格式とのこと。

この寺の境内の裏手には、「やぐら」の前にタヌキの置物がありました。

親タヌキの背丈は、1mを超えるほどです。

子タヌキもいて、ユーモラスな雰囲気を醸し出しています。

 

タヌキ 浄智寺にて.JPG

(浄智寺のタヌキ)

 

君たち人間様よ、

なにをあくせくしているの。

おいらを見習ったらいいじゃない........

 

私たち人間を超越したようなタヌキの群れです。

 

浄智寺から円覚寺へ

そして最後は江ノ電の北鎌倉駅までたどり着きました。

ここにて解散です。

 

江ノ電駅にて.JPG

奈良大学学友会の幹事の方々、

ほんとうに今日の楽しい一日、ありがとうございました。

歩いた歩数は、なんと15,000歩でした。

みなさん歩くことには慣れている方々ばかりでしたが、

さすがに午後最後のお別れの時には、いささか疲れ気味のようでもありました。

しかし、歳をとっても健脚で、

このように一日中歩く遠足研修でも難なくこなせるのは凄いことです。

皆様の今後の健脚と活躍を祈っています。

ー終わりー