NEW ARRIVALS (LITERATURE Ⅲ)

               菊池 寛

               

     「真珠夫人」 大正9年 1920年

 

      真珠夫人.jpg

 

      大正9~10年にかけて新聞に連載されました。

      30年ほど前に一度読んでました。(途中で思い出しました)

 

      

      貴族階級が残る大正の世、力強く生きようとする真珠夫人

の奮闘と苦悶、その夫人に弄ばれる男たちが描かれます。女性の地位向上

といったことが描かれていますが、100年後の今日になってもこの国では

同じことが語られています。

 

      その美貌を武器に男を弄び、ついには己の人生をも危ういものに

してしまう真珠夫人の末路は、納得させられる結末でした。

 

      当時の新聞連載では相当、評判を呼んだであろう内容です。

 

 

      600ページほどの大作ですが、全く、飽きることなく読めました。

 

      菊池寛本人が文学について思う事が登場人物の口を使って

語られている箇所があり、興味深く読みました。

 

  

 

 

     帚木蓬生

 

     「閉鎖病棟」 平成6年 1994年

 

     閉鎖病棟515YVMB0NXL._AC_UY218_SP_SAME_DOMAIN_ASSETS_257061_.jpg

     

     山本周五郎賞受賞作。

     

     精神科医が書いた、精神病院内で繰り広げられる人間模様の様々。

     終始一貫、緊張感が持続しています。冒頭の部分での謎が最後の方で

無理なく謎解き展開される辺りはうまいなあ、と感心。

 

     どんな事があろうとも「生きる」という事に前向きに対峙する

精神病入院患者の姿に感動させられる。

 

 

     

     

 

         奥田英朗

 

    「サウスバウンド」 2005年

 

    サウスバウンド.jpg     

 

    直木賞受賞後の一作目です。

 

    漫画を読んでいるかのような勢いで読ませます。

 

    一部は東京での暮らし、二部では西表島での暮らしが語られます。

    夢中になって読むこと請け合い !

 

 

 

 

 

    柚月 裕子

 

   「ウツボカズラの甘い息」 2015年

 

    ウツボカズラの甘い息.jpg

 

   著者は隣町、釜石の出身だそうです。実家は当地、宮古

でしたが、津波で流され、家族を失ったそうです。

 

 

   主婦をしながら、文章講座に通ってデビュー!その後は

ヒット作連発。

 

   途中まで、特に?という感じで進みますが、後半から一気に

スピードアップして、読者を引き込みます。かなり、ビックリな展開

になります。人気もうなずけます。

 

   500ページを超える作品ですが、五時間で一気読み、しました!

 

 

 

 

 

 

   ガブリエル・ゼヴィン

 

  「書店主フィクリーのものがたり」 小尾芙佐 訳  2014年

 

   書店主フィクリーの物語.jpg

 

   アメリカ人です。

 

   いったいこういう本はどういうジャンルになるのでしょう?

とても不思議な本ですねえ。

   本好きが本好きの為に書いたような本です。

   ストーリーも十分に楽しめますが、話の途中に出てくる本の数々、

気になってしょうがありません。探すことになるでしょう。

 

  30か国語に翻訳されているという事です。凄い!

 

 

 

 

   窪 美澄

 

  「晴天の迷いクジラ」 2012年

 

   晴天の迷いクジラ.jpg

 

   生きることをあきらめかけたそれぞれ違う3人が

偶然から、一緒に、迷い込んだクジラを見に出かけ、

自己再生していく話です。死を目前にしていたと思われた

クジラが大海に戻っていく姿と、もう一度人生に立ち向かう

三人三様の姿の描写がいいです。

 

 

 

 

 

   Mary Jo Putney

 

  「RAKE」1989年  中村藤見訳

 

  放蕩者に魅せられて.jpg

 

  アメリカ人作家。

  19世紀のイギリスを舞台に繰り広げられるラブロマンスです。

  アメリカ「米国ロマンス作家協会賞」を受賞した作品との事です。

  アメリカの有閑マダムが読む本か! と途中で思いましたが、いやいや

どうしてどうして、英国の階級貴族社会を背景になかなか読みごたえ十分な

展開でした。

 

  幻冬舎が海外ロマンス小説の発行に伴い、創刊号として発刊された

のが本書です。

 

  古本で購入しましたが、今まで知らなかった著者や作品の入り口に

なるのでやはり古本は有り難いです。

 

  訳者もGOOD JOB!

 

 

 

 

 

 

 

 

   朝井まかて

 

  「落花狼藉」 2019年

 

   落花狼藉.jpg

 

   一人の女性の生涯を通して、吉原の創世記を描いた小説。

 

  著者の物は初めて読みましたが、日本語が弾けるように生き生き

しています。くどくなく、読みやすいのに、格調高い文に思えました。最近

方々でお名前を見かける著者、なるほどなあと思わせる力作でした。

 

  また読みたい著者です。いい読書でした。

 

 

 

 

  

 

 

 

   

 

 

   半藤一利

 

  「ノモンハンの夏」 1998年

 

  ノモンハンの夏.jpg

 

  完読まで辛い道のりでした。

  作者の力みがひしひしと伝わってきて、煩わしいぐらいでした。

  

  関東軍・陸軍批判一辺倒に終始しますが、戦争とはそんなに一方的な悪者が

存在するのでしょうか?詳細で膨大な調査資料を基に書かれたはずですが

どうも、書き方が一方的に過ぎるように感じで、読後感が複雑です。

 

 

 

 

 

 

 

   北林一光

 

  「ファントム・ピークス」 2005年

 

  ファントムピークス61UfS9FpkLL._AC_UY218_.jpg

 

  面白い! 三時間で一気読み!

 

 

  吉村昭さんに「熊嵐」というノン・フィクションがありますが

こちらはフィクションです。本州にいるはずのないヒグマが生息していて

人を喰いまくる話です。冒頭ではその姿が見えませんが、徐々にその姿を現して

最後は人間と決闘します。予習なしに買った本ですので、まったく内容が分からず

結構、怖かったです。

 

  作者は45歳で亡くなられたそうです。もっと読みたかったですねえ。

 

 

 

 

 

 

   アベ・プレヴォ―

 

  「マノン・レスコー」 青柳瑞穂訳 1731年

 マノンレスコー.jpg

  

 

  はい、300年前のフランス、恋愛ものです。

  

 

  モーパッサンにしてもプレヴォ―にしてもこの手の

何度失敗しても懲りない、どうしようもない人間を描くのが

お好きのようです。私はマノン嬢の容姿の美しさが描き切れて

いないように思いました。が、私の読みが浅いのでしょう、何せ

フランス文学の一大傑作に数えられる書ですから。

 

 いつも思いますが、青柳瑞穂さんの訳はとても読みやすいです。

 

 

 

 

 

   吉行淳之助

 

  「コールガール」 1962年

 

  コールガール.jpg

 

  ドキュメンタリーのような文体で書いているので、ついつい著者

本人の体験談かと思ってしまうほど、著者の私生活は女性に

彩られていたらしいです。羨ましい~

 

  文中にも遊び心が効いていて、大笑いするシーンがあります。

こういうのをエスプリが効いているっていうのかな?

  脱力した作文になっていて読者をもリラックスさせる力があります。

 

  優れたエッセイが多い吉行さんですが、れっきとした1954年の芥川賞作家です!

 

 

 

 

  

  

 

 

   サン・ピエール (フランス人)

 

  「ポールとヴィルジニー」 田辺貞之助訳 1787年

 

  ポールとビルジニー.jpg 

 

  230年も前に書かれた作品です。

  かの、ナポレオン提督も愛読したとされています。

  ばさっといいますと、悲恋物語です。

  当時は現代よりは信仰心が篤かったのでしょう、

神に言及するくだりが長いです。

  過日、日本船籍のタンカーの座礁、重油漏れで大騒ぎになった

モーリシャス島を舞台にしています。島の自然が多く書き込まれ、特に

植物の話は微に入り細に入った内容です。作者のピエールさん、実は植物学者

でもあったそうです、ガッテンだ。

  号泣箇所あります。30年以上前に一度読んでいますが、内容を

全く忘れてしまっていて号泣させられました・・・

  

  フランス文学、金字塔の一冊。

 

 

 

 

        若竹千佐子

 

  「おらおらでひとりいぐも」 2017年

 

  おらおらでひとりいぐも.jpg  

 

  作者の出身地は隣町、遠野市。

  芥川賞受賞作品です。

  主婦、55歳で文章講座に通い始め、8年経て本作を発表。

  本作で63歳で芥川賞受賞。

 

  

  文中は「東北弁」として書かれている方言はまさしく当地、岩手県

のものです。ですので、すんなり読めます。

  最後まで途切れることなく続く浮遊感といいますか

絶えることのない雰囲気が読み手の心を離しません。お伽話を

読んでいるかのようなリラックス感があります。

 

 

 

 

 

 

 

   今野 敏

 

  「任侠浴場」  2018年

 

    任侠浴場.jpg

 

  さっき買ってきましたが、二時間で一気完読!

 

  潰れそうな銭湯をヤクザが復活させる物語です。

 

  いやぁ、今野さんの任侠シリーズは痛快です。理屈なしに面白い。

  一連の警察ものとは雰囲気を変え、この任侠ものは極極、読みやすく

書き込まれています。難しい言葉は一切排除し、形容詞すらも少ない。

場面が転換するシーンもほとんどなく、話が混乱する要素は皆無。時間を

忘れて読み耽ります。

  読み手も一気に読む内容ですが、作者の筆も相当に速いスピードで

書き上げているように思われます。

  

 

 「任侠病院」も実は同時購入してあります。こちらも楽しみです。

 

 

 

 

 

  村上龍

 

 「空港にて」    2005年

 

  空港にて.jpg

 

  8編の短編集。

  全編を通して、冷めた鋭い視線で観察された

文体で統一されている。

  どの物語も一読してふむふむ、ガッテンだとは頷けない内容で 

容易に読める言葉とは裏腹に難解な話ばかりです。一話一話、時間をかけて

またじっくり読み返したくなるような8編です。

 

 

 

 

  桐野夏生

 

 「ジオラマ」1998年

 

 ジオラマ.jpg

 

 桐野さん、続きます。短編集です。

 やはり、おどろおどろしく、グロイ、桐野ワールドです。

 ここから長編につながるんだなぁ、といった作品が散見されます。

 短編とはいえ、読み応え十分です。

 

 

 

 

  桐野夏生

 

 「残虐記」2004年

 

  残虐記.jpg

 

 再読。

 桐野さん、さすがです! 

 拉致監禁の犯罪に巻き込まれた少女の隠された内面を

鋭く描きます。

 桐野さん、外すことがないですねえ、脱帽!

 

 

 

 

 

  上野 瞭

  「砂の上のロビンソン」 1987年

  砂の上のロビンソン.jpg

 

 京都新聞に一年間連載されたものです。

 その後、TVドラマ化、映画化、舞台化されました。

 長編ですが、飽きさせることなく進みます。

 抽選に当たり、モデルハウスに住むことになった家族が

世間の嫉妬や中傷に巻き込まれ、家族が崩壊していく中で

逞しく再生していく物語です。

 最後のページで、チェルノブイリの原発事故を知らせるラジオの

臨時ニュースの描写が、怖い。

 

 

 

 

 

  Paul Auster

 

 「幽霊たち」  柴田元幸訳  1986年 (昭和59年)

 

paul auster.jpg

 

 いやぁ、こりゃまいったなあ、よく解らんぞ。

 登場人物は三人です。動きはほとんどありません。

 ストーリーは単純です。考えている、

想像している場面だけがひたすら続きます。

 

  これは80年代を代表するアメリカ文学作品だそうです。

 完全にお手上げです。次、読むことがあるのでしょうか?

 

 

 

 

 Jeffrey Archer

 

「大統領に知らせますか?」 永井淳訳 1977年 (昭和52年)

 

大統領に知らせますか.jpg

 

 

 いやぁ、良く出来てますねえ。後半は一気にスピードもアップ。

 犯人探しの面でも、見事に読者を欺きます。「やられたー」と叫びたくなる

ほどです。さすが売れっ子のJeffreyさんです。

 「大統領に知らせますか?」というセリフが三度(多分)出てきますが、

本文の最後もそれで終わっています。これがまた、強烈に機知にとんだ

ひとこと、思わず、ニヤリ・・・で終わります。好きだなあ、この終わり方。

 

 

 Jeffreyさんの本は長い物が多いですがこれはそれほどでもなく、一気に完読。

 

 

 

 

 

松本清張

 

「花実のない森」 1962年 (昭和37年)

 

花実のない森.jpg

 

  1962年物ですから時代錯誤が激しいです。会社に電話して

特定個人の話を聞くとか、東京の高級アパートを虱潰しに探すとか・・・

 それと、謎解きのヒントが簡単に見つかるところも、あれれっと思います。

 それでもストーリーはやはり面白いですねえ~ 犯人といますか主人公的な

女性が美貌で淫乱といった設定が大好きです。

 

 

 

 

 

 

五十嵐貴久

 

「安政五年の大脱走」  2005年 (平成17年)

 

 

安政五年の大脱走.jpg

 

 ひえ~、読むエンターテイメント感100%!

 大変楽しく読めました。脱走の仕方は途中から

分かってしまうのですが、それでも大満足。

 

 

 

 

 

山本周五郎

 

「さぶ」  1963年 (昭和38年)

 

周五郎 さぶ.jpg

 

 何十年か前の初読時にはどこかで涙腺が崩壊した箇所があったはずなんですが

今回はあれれ、いつのまにか俺の心は荒んじまったんですかねえ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Charles Dickens

 

「二都物語」 1859年 中野好夫訳

 

二都物語.jpg

 

 三度ほど挫折したディケンスの傑作です。が、ダメでした・・・

 完読はしましたが、途中でついていけなくなりました。登場人物も

繋がらなくなり、あらら・・・中野好夫さんの訳ですから、

読みやすいはずなんですがねえ。

 

 ですから、感想は書けません。いつの日かまた挑戦します。

 ギロチンの描写は怖いほどでした。

 

 それにしても1859年初版だっていうんだから凄い。160年も前の作品だ!

 

 

 

 

 

 

Raymond Chandler

 

「高い窓」 1942年 清水俊二訳

 

高い窓.jpg

 

 これも、コロナ休暇に読みました。これは2度目か。

 傑作、「長いお別れ」の11年前に書かれた作品です。

 「長いお別れ」と比較すると、少し浅い感じがしますが、

それは比較するから・・・ 十分に楽しめます。

 

 

 

 

Raymond Chandler

 

「長いお別れ」 1953年 清水俊二訳

 

長いお別れ.jpg

 

 

 コロナ休暇の折に読みました。4度目の完読か。

 やっとわかったような気がします。それにしても

訳が大変だったろうことは想像に難くありません。最近は

村上春樹氏の訳も出ていますが、この清水氏の訳で日本に

登場して、チャンドラー人気が出たわけですから、感謝ですねえ。

 

 フィリップ・マーロウ、かっこよすぎ。でも、けっこう殴られてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

W・S・モーム

 

「月と六ペンス」 中野好夫訳 1919年

 

モーム.jpg

 ゴーギャンの伝記として読んで良いとされる、

モームの代表作。完読4回目?5回目?です。

 ストリートテラー、モームがしっかり読めます。

 突き刺さる言葉、文章が良く出てきます。

 

 あと何回読むことになるのだろう。

 

 

 

 W・S・モーム

 

「人間の絆」  中野好夫訳 1915年

 

人間の絆 上.jpg人間の絆 下.jpg

 

  集中して読めました。 人生で二度目の完読。 モーム41歳の作品。

 

  何しろ長い! 人生の森羅万象がびっしり詰まってます。

 

  モームが自分の為に書いた作品といっています。 

 

 

 

 

 

池波正太郎

 

「あいびき」  1991年

 

あいびき.jpg

 

  短編が12作収められています。

  どれをとっても今一つの出来・・・に思えます。

 まあ、忙しい方でしたのでやっつけ仕事したのかな?という感じが臭います。

  しかし、どの作品も「女」を主人公として取り上げ、色々なタイプの女に仕上げています。

 その辺の幅はさすがだなあ~、と感心。

 

  山口瞳さんのあとがきがいいですねえ。

 

 

 

 

 

阿部牧郎

 

「それぞれの最終章」  1987年 (昭和62年)

 

それぞれの最終章 阿部牧郎.jpg

 

    私小説だそうです。

   

   抑制のきいた文体で最後まで行きます。

   昭和の文学といいますか、そんな感じが終始漂います。

  文章にも時代があるのだなと思わせます。

   特に大事件が起きたりするわけではないので、盛り上がりに欠ける

 感じがあり、私的にはもうひとつ・・・でした。 

 が、昭和62年度の直木賞です!

 

 

 

 

 

東山彰良

 

「流」   2015年

 

東山彰良.jpg

 

 蒋介石の国民党が台湾に逃れた後、混沌とした

時代を生きた国民党の兵士の子孫が大陸と台湾の間で

揺れ動きながら、己の先祖の姿を追い求め、探り当てる

物語、小説です。

 

 

 まさに「流」というタイトル通りの流転物語です。厳しい現実が

解き明かされいきます。まるで本当にあった話であるかのように

話は進み、ページをめくる指は止まりません。

 

 本書で直木賞受賞だそうです! うなづけます、うむ、うむ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

門井慶喜

 

「竹島」    2012年

 

竹島 門井.jpg

 

 

 竹島に関する歴史や現実に関する書ではなく、全くの小説です。

 

 

 竹島の領土問題が読みようによっては日韓どちらの国にもに有利に読めるように

書かれた謎の古文書を持ち出して、日韓両国に「ほれ、この記述を見れば貴国の領土に間違いはない」

といってその書を買い取らせようとする愉快で痛快な男の話です。

 

 

 

 

帚木蓬生

 

「逃亡」                  1997年

 

帚木逃亡 .jpg

 

 2000枚の長編です。

 戦中、戦後の憲兵の逃亡、流転が綴られています。

 登場人物に天皇批判させるところが響きます。

 処刑、拷問のシーンが詳細に語られるところはきつい読書になります。

 国家に追われる元憲兵の戦犯がどうなるのかは最後の最後まで

分かりません。相当な読み応えです。

 

 柴田錬三郎賞受賞作品です。

 

 

 

 

 

 

嵐山光三郎 

 

「文人悪妻」   2007年

 

文人悪妻.jpg

 

 作家の妻、愛人など53人を集めたエッセイ集。

 

 

 「隣家の人妻はあぶない」

 「淋しき美貌夫人」

 「譲渡された人妻」

 「流浪する淫乱妻」

 「情事の果ての人妻」

 など、日活ロマンポルノのタイトルかと勘違いするような作品が並びます。

 

 まったく以て面白い読み物です。登場する人物(作家)が酔狂ですから

それに係る愛人、妻、妾、はそれと同様かそれ以上にたくましく、したたか

だったのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

Javier Cercas (スペイン人)

 

「サラミスの兵士たち」    2008年  宇野和美 訳

 

サラミスの兵士たち41o-4yVEYoL__AC_UY218_.jpg

 

  10年振りぐらいの再読。

  前回は何が何だかわかりませんでしたが、

今回はこれは良いものかもしれないぞ、

という感じが読み進むうちに徐々にしてきました。

 小説なのかドキュなのか判然としない感じが

緊張感を持続させます。

 

 

  共和国陣営に義勇兵として参加したヘミングウェイを持ち出して

「道化野郎!」と吐き捨てるシーンにはビックリしました。

 

 

 

  24か国語に翻訳され、全世界で100万部売れたそうです!

 

 

 

 

 

 

 

堀田善衛

 

「バルセローナにて」  1989年

 

堀田善衛 バルセローナにて.jpg

 

 この方の博識には驚きます。

 

 若いころ堀田さんの「橋上幻像」 というのを読んだ際、

全く理解できなかったことが思い出されました。また挑戦したいとおもいます。

 そういえば「ゴア」という本も、積みっぱなしになっていたような気がします。

 

 コロナ禍、読書がはかどりますねえ、いいんでしょうか・・・

 

 

 

 

吉村昭

 

「桜田門外の変」  1990年

 

上桜田門外の変.jpg桜田門外の変 下.jpg

 

 50年も前に学校で習って、事件自体は聞いていましたが、中身は全く知らず、

これを読んで理解した次第です、とほほ。

 

 安政の大獄から桜田門外の変まで細かく記されていて、大変勉強になりました。

 殺された井伊大老ではなく、やる側水戸藩からの視線で書かれています。

 やり遂げた後の逃亡経路も克明に明かされていて、書く前の調査の苦労が

しのばれます。

 

 吉村作品はどれを読んでも大満足が得られますねえ。

 

 

 

 

 

 

 

小牟田康彦 編、訳、解説

 

「S・モームが薦めた米国短編」 2017年

 

モームが薦めた米国短編.jpg

 

 タイトルの通りです。モームが1930年代にアメリカで発表された短編小説の

中から、自身の薦める短編6編を選んだ書で、原著の初版は1943年です。

 原著には短編小説、評論、書簡、詩が153編詰め込まれていましたが、訳者が

短編小説6編を厳選し訳しました。

 

 スタインベック、フィツジェラルド、ヘミングウェイ、

フォークナー、バーコヴィッチ、ウォ―トンと、そうそうたるメンバーの

小品が並びます。どれもが凄味さえ覚える物語です。

 

 良いものを読んだなあ、という読後感。大満足。

 

 

 

 

司馬遼太郎

 

「愛蘭土紀行 Ⅰ & Ⅱ」  1993年

 

アイルランド 1.jpg2アイルランド .jpg

 

 「街道をゆく」 シリーズ全43巻 の第 31 & 32巻です。

 古書店で見つければ必ず買う、このシリーズ、どこからどれを読んでも

楽しめること請け合い。

 

 司馬さんがこのシリーズで海外を取り上げたのはほんの僅か。

 相当な入れ込みようだったのでしょう、二巻構成になっています。

 読み物として面白いのは勿論の事、歴史や国民性までよくわかる

物になっています。いつか行ってみたいと思わせる内容です。

 

 

 

 

 

楡 周平

 

「ターゲット」      2001年

 

楡周平.jpg

 

 コロナ禍真っ只中の現在にタイムリーな話でビックリしました。

 北朝鮮が日本の米軍基地7か所に細菌テロ、する話でした。

 

 楡さん、初めて読みましたが、この手の話にありがちな、

枝葉を広げていっていかにも込み入った犯罪を描こうとする

手法とは違って、幹の部分をただただ書き込みますねえ。ですので

幹が太くなる感じがします。

 

 長尺ものですが、一気に完読! 楽しみました。

 

 

 

 

角幡唯介

 

「冒険家、40歳の事情」  2016年

 

角幡唯介.jpg

 

 冒険家には文章が上手な方がたくさんいますねえ。

 角幡さんはもと新聞記者ですから、うまくて当たり前ですけど。

 内容も面白いです。途中で出てくる、2,3ページのエッセイも秀逸。

 いつまでも元気で冒険しながら楽しい話を聞かせていただきたいです。

                       提供 そんちょ豊沢

 

 

 

 

 

ギ・ド・モーパッサン

 

「女の一生」  1883年   新庄 嘉章訳

 

女の一生.jpg

 

 何度読んでも、主人公のアホさ加減に腹が立ちます。

 特に取り立てて、凄い事件が起きるわけではなく、話は淡々

と進みます。アメリカのsoup opera的 といっても過言ではないくらいです。

 捨てられた家政婦が最後は帰ってきて、没落した主人公の世話をする逆転

人生。そしてその家政婦にモーパッサンは最後の一行を語らせます。そこは

作者的にはしてやったり!だったのではないでしょうか。

 

 

 

 フランス文学史に燦然と輝く一冊。でも、読みやすいです!

 

 

 

 

 

 

 

姫野カオルコ

 

「受難」   1997年

 

受難 姫野カオルコ.jpg

 

 

 直木賞候補作でした。が、私にはどうも合いませんでしたねえ。

 女性器に人面瘡が出来て、その瘡に人格(男性)があって、そこからものを食べ、

しゃべるといった設定でもう興ざめしてしまいました。小説ですので

何でもアリなんでしょうが私にはダメでした。ただ、ふたりが交わす会話は楽しめました。

 女性器の呼称、オマン〇が連発されますが、それも、

なんだかな~といった感想しかないですねえ。 

 

 この方の著書をもう一冊読んでみたいと思います。これが極端な作品なのかどうか

知りたいと思いました。

 

 

 

 

 

島本理生

 

「ナラタージュ」   2005年

 

ナラタージュ.jpg

 

 

 書評が絶賛の嵐だったので読みました。

 若い女性が書いたの恋愛小説を読むというところに

抵抗がありましたが、そこは勇気をもって!

 

 あまり、登場人物に素直に感情移入できませんでしたね。

 登場人物全員それぞれ、なんか中途半端な思考と行動に思いました。

 もっと激しい憎悪とか、ぶっ壊れる感じが欲しかったです。

 

 後に、直木賞をとっています。おめでとうございます。

 

 

 

 

 

松本清張

 

「点と線」  昭和33年     1958年

 

点と線.jpg

 

  はい、これは何度読んだでしょう。5回か6回目ですが、

何度読んでも楽しめます。といいますか、ストーリーを忘れているので

何度読んでも楽しいのでしょう。

  

  ↓ の柴錬さんの作品といい、この作品といいもはや日本の古典です。

  これはアリバイを崩していく犯罪物語です。今では飛行機という手段が

あるので、これは・・・? と思わせるシーンがありますが、

そこは頭を切り替えて、自分も昭和33年に戻ります。さすれば何度読んでも

没頭できます。

 

  これは日本の推理小説の金字塔。

 

 

 

 

 

柴田錬三郎

 

「赤い影法師」    昭和35年 1960年

 

赤い影法師 2.jpg

 

 

 

 柴錬の代表作ですねえ、初めて読みましたが、おもしろい!

くのいちがまた色っぽい!忍者ものに「くのいち」は欠かせません。

 読むエンターテイメントですねえ。

 それにしても日本語がちょっと難しい。柴錬さんの言葉に対する姿勢が

感じられます。意味不明な日本語が続出。

 続編があるらしいですのでそちらもチェックしたいと思います。

 

 

 

 

William Faulkner

 

「八月の光」 加島祥造訳 1932年

 

八月の光 フォークナー.jpg

 

 アメリカ、ノーベル賞作家の長編。

 コロナ疎開中に思い切って読みました。

 想像していたほど難解ではなく、私の頭脳を以っても何とか

たどれる内容になっています。とはいっても、登場人物の持つ

人間性はなかなか複雑で、あそこまで書き落とすのはさすが、文豪。

 

 読み応え、相当ありますので、完読後の達成感大なり。

 

 

 

 

 

John Galsworthy  ゴールズワージー (イギリス人)

 

「林檎の木」 1916年

 

渡辺万里 訳

 

林檎の木.jpg

 

 1916年初版といいますから、今から100年以上も前の作品を

こうして読めるというのですから有難いものです。

 1932年にはノーベル文学賞を取ったゴールズワージーですが、

これを書いた当時は、第一次大戦真っ最中。

安穏として書き物ができる時代だったとは思えませんが、

芸術家、知識階級の人たちは特別だったのでしょうか。

 淡々としたリズムで書かれています。突飛な展開もありません。

風景描写も地味に水彩画的です。出自と階級の違いをやんわりと密かに

組み込んであるように感じました。

  99ページの小品です。初ゴールドワージーでした。

  

 二週間ほどあいだを空けて二度読んでみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Guillaume Musso  ギヨーム・ミュッソ

 

吉田恒雄 訳

 

「ブルックリンの少女」 2018年

 

ブルックリンの少女.jpg

 

 すご~い!  すっかり虜になってしまいました。

 フランス人です。自国で50万冊売ったそうです!

 アルザスの地図を脇に置きながら読みました。

 登場人物が増えてきて途中で訳が分からなくなりそうでしたが、

何とかぎりぎりついていけました。

 

 思わず、ギヨームさんの本、もう一冊ポチってしまいました。

 どうやら翻訳されていない著作もあるようです。読みたいですねえ。

 

 これ、傑作でしょう。              提供 よしこさん