NEW ARRIVAL(Literature) Ⅱ
井上ひさし
「ボローニャ紀行」 2008年
井上さんの博識には驚かされます。
はい、私も行きたくなりました。
「イタリアの銀行法でも最終利益の49%以上を、地域の文化や
スポーツに還元するように定めています。つまり純益の半分は銀行が
取っていいが、あと半分は公共へ戻しなさいということになっているんですよ」
という一文には驚いた。日本とは大違いだ!
最近のイタリアの凋落ぶりはひとえにアホなベルルスコーニの失策らしい・・・
幸田露伴
「五重塔」 1927年 昭和2年
いやあ、日本語が凄いですねえ~
日本語ってこんなに品格があるといいますか上品で
崇高な言語なんですねえ、と感じました。
岩波の緑版で全編にわたって、ふりがなだらけです。
幸田露伴、絶頂期の作品らしいです。
不器用なの大工さんの内面を描ききります。
三度目でやっと完読できました、旧日本語ですので
忍耐がいりました。
Donnie Eichar
「死に山」 2018年
1959年、冷戦下ソビィエトで起こった、世界的未解決遭難怪死事件
「ディアドロフ峠事件」を解き明かそうとする、アメリカ人著者。その衝撃
の全貌と真相を描く、ノンフィクションです。
いやぁ、読み進めるのが楽しいような、結末の近づくのがもったいないような
気持ちで読みました。著者なりの結論がきっちり書きこまれています。
米澤穂信
「満願」 2014年
初めて読みました、米澤さん。
大満足感、久し振りに味わいました。
六編、全て脱帽。
2015年の「このミス」大賞もうなずけます。
が、ミステリーか、といわれるとどうでしょう?
山本周五郎賞も受賞した作品ですが、山周かな?
とも思ってしまいます。
しかしそんなこと どうでもよくなる読み物です!
水上勉
「京の川」 1971年 (昭和46年)
京都の芸能文化と自然美をつぶさに書いてます。
あまり小説の素材になりそうにない「石」が多く語られます。
伊吹有喜
「ミッドナイト・バス」 2016年
あ~、よかった、最後は読者の望む方向に帰ります。
長距離バスに乗ったら、思い出しそうです。
有島武雄
「或る女」 1919年(大正8年)
日本文学の代表作のひとつ、なのでしょうが、
くどいですねえ、有島先生。いやあ、疲れます。
言葉を紡ぎ出す凄さは感じます、が、完読まで
長いこと長いこと・・・
実在した女性がモデルです。国木田独歩の彼女でした。
メンドクサイ女性です。
梶尾真治
「黄泉がえり」 2000年
ゾンビ~ものです。
というか、「よみがえり」と読みます。
えー、ファンタジー・ホラーとでも言いますでしょうか。
不思議な感じの読み物です。
阿刀田高
「東京ホテル物語」 1988年
1979年、「ナポレオン狂」で直木賞。
12編の短編物です。
忙しい折、合間を縫って書きました!
って読後感がムンムンするのはどうした訳でしょう。う~む。
何か他の長編ものの横に置いて、それに疲れたら、一遍ずつ
拾い読みするって感じで読みました。
安生正
「生存者ゼロ」 2014年
この方、初めて読みました。
第11回の「このミス」大賞作。
メディカルサスペンスというジャンルだそうです。
文中の全く頼りない政府が、まさに、今の政府のようで
イライラ感、半端じゃないです。いっそのこと、その頼りない政府のおかげで
日本が絶滅するっていう、ストーリーもありだったのでは・・・
横山秀夫
「顔」 2002年
相変わらず、楽しく読ませます、横山さん!
今回は指名手配犯の似顔絵を描く女性警官のお話。
アーサー・ヘイリー
「最後の診断」 1959年
登場人物が多くて、最初は困りましたが、途中からテンポアップ。
今から60年も前の読み物ですが、全く違和感がありません。
アメリカを舞台にした「白い巨塔」といったところでしょうか。
病院における「病理」という部署の存在を初めて知りました。
はい、名著です。が、長編です。
北村薫
「玻璃の天」 2007年
平成21年に直木賞を受賞している方の作品です。
何やら三部作の一部らしいので、残りのふた作も
読まなければならないでしょう。 というくらい、 読後感、
納得。 凄いなあ・・・・とため息の一冊! 脱帽!!!
司馬遼太郎
「北斗の人」 1970年
北辰一刀流の創始者、千葉周作の生涯を描く。
登場する三人の女性がそれぞれ、魅力的。
木村紅美
「雪子さんの足音」 2018年
2018年の直木賞候補作。
途中からホラーめいた展開になったりして、ちょっと変わった読み物でした。
合わせて、「島の夜」、「まっぷたつ先生」 も読ませていただきました。
先日、店にコーヒーを飲みに来ていただきました、ありがとうございます!
実家が盛岡との事、応援してます~
平岩弓枝
「春の砂漠 上下」 1991年
その昔、「お宿かわせみ」をよく読みました。
久しぶりの平岩弓枝さんです。確か、長谷川伸の弟子
だったように記憶しています。
モロッコの地図を片手に読みました。
寝食を忘れて読ませます。
伊坂幸太郎
「死神の精度」 2008年
妙なタイトルですが、読むと、なるほど~ となります。
まず、設定の発想に驚きませねえ。短編が数話入っていますが
最後にはきっちり話を繋げて終わります。納得の筆力!恐れ入ります。
提供 たつやくん
黒川博行
「後妻業」 2012年
直木賞受賞作 「破門」の 前作と思われます。
大竹しのぶ主演で映画化もされたようです。
過去に似たような事件があったように思います。
たしか、木嶋〇〇という女性が毒を盛って?老人を次々に殺害した
事件だったように記憶しています。
男を色仕掛けで殺す女が、一度だけ、男のテクニックに溺れ、
だまされそうになる逸話が効いてます。
三浦綾子
「泥流地帯」 「続 泥流地帯」 1977年
大正15年の十勝岳噴火の惨事を、開拓民が
力強く生き抜く様を、淡い恋物語とともに描きます。
しかし、自然災害は、そんな人間の努力などお構いなしに
次々やってきます。 去年も今年も・・・
池井戸潤
「下町ロケット ガウディ計画」 2015年
池井戸さんですから、外しません!
楽しく読ませていただきました。(提供 よしこさん)
半村良
「男あそび」 1985年
いやあ、エロいですねえ。しかし、よく出来た話ばかり。
読み物として、サイコーですねえ。 一気読み!
デュマ・フィス
「椿姫」 1848年
新庄嘉章 訳
四度目でしょうか? これ好きですねえ。
古本で買いましたが、文字通りもうボロボロです。
モデルになった娼婦が実在したのだそうです。
田舎に住んでいると、オペラなど見る機会がないのですが
いつかは、このオペラを見てみたいです。
山本一力
「べんけい飛脚」 2014年
「号泣必至」の帯に惹かれて買いました。号泣したい気分でした。
が、号泣できませんでした。
でも、楽しく読めました。飛脚に何かアクシデントを作るのは多分大変なんだろうなあと痛感。
何しろ、文(ふみ)を無事に届けるという結末がありますから、アクシデントにも手加減が必要になりますからねえ。
それでも、もう少し走っている部分にページを割いてほしかったなあ。スンマセン。
米原万里
「ロシアは今日も荒れ模様」 1998年
マレーシアに持って行った一冊。
異国の地で爆笑させていただきました。
ロシアの小話、相当、気が利いてます。
もう少し米原さんの本を読みたかったなあ。RIP。
水上 勉
「西陣の女」 1968年
主人公の「刈田紋」の美しさに惹かれます。筆力に参りました。
最後は失踪してしまうのが惜しい感じがします。ハッピーエンディング
が欲しかったです。西陣織の詳細が細部にわたって描かれています。脱帽!
松本清張
「砂の器」 1961年
54年前の作品です。高周波を浴びせて殺人する、という辺りは
時代を感じさせますが、ストーリーは全く以て、脱帽!
さすが、松本清張。
近所の古本屋で¥100で購入、3日楽しみました。
モーパッサン
「脂肪の塊」 1880年
以前は新潮版、青柳瑞穂訳で読みましたが
今回は岩波版、高山鉄男訳、挿絵入りです。
いつ読んでも「お前は大丈夫か?」と
問いかけられているようでわが身に沁みます。
ズバリ私の一番好きな本です。
この本、読み終わると、すぐ人にあげます。
今回はきっちゃん宅に行きました。
「女の一生」もまた引っ張り出して読んでみます。
谷崎潤一郎
「細雪」 昭和24年
20年振りぐらい? で読みました。
20年前は四女の妙子の生き方が好きだったように思いますが
今読むと三女の雪子に惹かれます。歳のせい?
谷崎潤一郎、恐るべし、当たり前か。
原田マハ
「キネマの神様」 2011年
ちょうど今日の新聞に「スクリーン」を発行している
出版社の倒産が伝えられていました。現実は
この物語のようにはいかないんですねえ。
一気に読みました。
ブライアン・フリーマントル
「片腕を亡くした男」 2009年
上下巻あります。二重スパイもの、難しい!
書いてる人はコンガらないのでしょうか?
途中で犯人はだいたいはわかりそうなものですが、
犯人?黒幕はビックリ仰天の人物でした。
やられました。
井上ひさし
「東京セブンローズ」 1999年
いやぁ、大作です。何度も挫けそうになりました。
17年かけて書いたそうです、恐れ入ります。
表紙がいいっす。
ピエール・ルメートル
「その女アレックス」 橘明美訳 2011
2015年 本屋大賞 空前絶後の七冠! だそうです。
ミステリーものです。結構、グロイっす。展開は面白いのですが
いかんせん、残酷&グロ。繊細にしてセンシティブなワタクシメには
読後感、船酔い状態。
柴田錬三郎
「遊太郎巷談」
面白いんですが、時々、途中に作者である柴練さん自身が
出てくるのは・・・どうなんでしょう?
プッツァーティー
「七人の使者 神を見た犬 他十三篇」 1958年
確立された物語作りで、どの15編を読んでも一定のおどろおどろしい
緊張感が漂います。人生訓といっては大袈裟でしょうか?いつの世にもある、
生への恐れのようなものをビシビシ感じさせます。
ストレーガ賞受賞作