よりみち日記&身近な法律
「精神保健弁護士」という呼称を始めて知った。南日本新聞(6月21日付け)によると、これは精神科病院の入院患者の元へ出向き、退院希望などの相談に無料で応じる当番弁護士のこと。この度、最後の空白地だった愛媛県でも運用が始まったと言うから、鹿児島県ではすでに始まっているのだろう。何故この当番弁護士が必要なのかというと、医療上は必要ないのに入院している(させられている)患者(社会的入院)が全国で約7万人(厚生労働省発表)も居るからだ。厚生労働省によると、精神科の全国入院患者は23年時点で約27万人。うち、15万人が1年以上の長期入院。社会的入院はその半数に近い。日本は病床数、平均入院期間とも国際的に群を抜く。厚労省は社会的入院患者の解消を04年度から10年間を目処に目指してきたが、4万人減にとどまっているという。
当番弁護士は、経済的に余裕が無いといった人を対象にした日弁連の「法律援助事業」の1つ。弁護士が支払う会費を主な財源とし、公費は入っていない。全国各地の弁護士会で約3,000人が登録しているとみられる。
疾病のために家族との関係が悪化したり、入院したまま年を取って孤立したりしたりしている患者は多い。人権保障のために弁護士が果たせる役割は大きいが、行政への退院請求が認められるには壁が立ちはだかる。審査会で退院請求が認められる割合は、2024年度の全国平均で5.3%。「退院の受け皿があれば患者の大半は退院できるはず」と北海道の当番弁護士は話す。患者が相談する際の流れは、①地元の弁護士会に電話する ②当番弁護士が病院に出向き、面会する ③患者の希望を病院に伝える。精神科の入院患者は退院や処遇改善を都道府県や政令指定都市に請求でき、それぞれの「精神医療審査会」が審査する。日本の精神医療は長期入院や身体拘束の多さなど国際的に遅れが指摘されており、相談相手が居ない患者も多いと見られている。今後、人権擁護の進展が期待される。
