日記
戦後の視覚障害者数
戦後、身体障害者福祉法が昭和24年12月に公布されるまでの間、この法をGHQに納得してもらうまで
様々な紆余屈折の過程を歩んだといわれています。戦争で負傷した兵隊を救済する色合いが強くなることにGHQが難色を示したのだろうと思います。GHQが目指す占領政策の一つが軍隊の解散でしたから、軍隊色を再び標榜するような政策を認めない、という姿勢は強かったのではないかと。この辺りのことは、経緯をしっかりと調べていきたいなと思います。
ともあれ、身体障害者福祉法を策定するにあたって、1949年(昭和24)、国は障害者数の実態調査した結果を11月に公表しているのです。調査自体は数年前だと思われます。それによれば、全盲が34,312人、強い弱視が261,041人としています。他の障害は、表記の順序通りに記載すると、聾唖が83,501人、強い難聴が114,790人、盲聾唖が4,800人、強い難聴強い弱視が56,690人、四肢不自由が214,399人、結核20,166人、頭部障害10,279人という人数を発表しています。総数が799,978人。現在の身体障害者総数430万人以上(1,000人中34人)に比べるとかなり少ない人数を公表していますが、注目は視覚障害の数え方と人数です。当時から弱視を含めている点と、人数が全盲と弱視を合わせて約30万人。当時の身体障害の内訳のなかでは1位の人数になっているわけです。現在の印象とはかなり異なりますね。視覚障害は、内訳ではむしろ少数派ですからね。
当時調査して公表した視覚障害者数と現在の視覚障害者数の差幅が、他の障害と比べて小さいように思えます。当時、盲人福祉法の制定を目指す中で、GHQの意向として視覚障害のみならずで考えていくべきとの流れがあって身体障害者福祉法になっていった、むしろ牽引したのは視覚障害であったということに頷ける感じです。
まだ詳しく資料を整理していませんが、戦後の経緯にふれておきたいと思いますね。
今日も暑かった。皆さんもお疲れ様でしした。
また明日 by 永瀬 賢
身体障害者福祉法 昭和29年改正案
昭和24年に公布された身体障害者福祉法は、26,27,28年と改正をしながら29年の改正で別表 身体障害の範囲で、
視力障害を視覚障害に表記を改めます。
昭和24年公布の身体障害者福祉法 別表
視力障害
1 両眼の視力(万国式試視力表により、測定したものをいい、屈伸異常のある者については矯正視力について測定したものをいう。以下同じ。)が0.1以下で症状の固定したもの
2 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下で症状の固定したもの
↓
↓
身体障害者福祉法の一部を改正する法律案 昭和29年2月
別表を次のように改める
別表(身体障害の範囲)
一 左に揚げる視覚障害で、永続するもの
1 両眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常がある者については、きよう正(矯正のこと)視力について測ったものをいう。以下同じ。)がそれぞれ0.1以下のもの
2 一眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもの
3 両眼の視野がそれぞれ一0度以内のもの
4両眼による視野の二分の一以上が欠けているもの
この改正案で、視力障害から視覚障害に表記を改め、範囲として視力の他に視野を定めています。
また、24年公布時は、屈伸異常と書いてあった箇所を屈折異常と改正しているのも、気になるところではあります。
視覚障害が、視力と視野で判定を受けるように明記されたのが5年後だったことになります。
この後もさらに改正を続けていくことになるわけですが、
それはまた次回ということで。
また明日。 by 永瀬 賢
身体障害者福祉法の公布
身体障害者福祉法は、昭和24年12月26日に公布されました。当時の内閣総理大臣は吉田茂です。
当初は、全54条で構成されていました。
第1条 法の目的
第2条 更生への努力
第3条 差別的取扱の禁止
第4条 身体障害者
第5条 施設
第6条 身体障害者福祉審議会
第7条 身体障害者福祉審議会委員
第8条 命令への委任
第9条 身体障害者福祉司
第10条 身体障害者福祉司
第11条 更生相談所
第12条 市町村長
第13条 指導啓発
第14条 調査
第15条 身体障害者手帳
第16条 身体障害者手帳の返還
第17条 身体障害者手帳の返還
第18条 診査、更生相談
第19条 収容等
第20条 安全つえ、補装具
第21条 費用徴収等
第22条 売店の設置
第23条 売店の設置
第24条 専売品販売の許可
第25条 製作品の販売
第26条 製作品購買委員会
第27条 施設の設置
第28条 施設の基準
第29条 身体障害者更生指導施設
第30条 中途失明者更生施設
第31条 身体障害者収容授産施設
第32条 義肢用具製作施設
第33条 点字図書館
第34条 点字出版施設
第35条 都道府県の支弁
第36条 国の負担
第37条 市町村の支弁等
第38条 施設の届出
第39条 監督
第40条 認可の取消等
第41条 認可の取消等
第42条 訴願
第43条 租税その他公課の非課税
第44条 租税その他公課の非課税
第45条 差押の禁止
第46条 罰則
第47条 罰則
第48条 罰則
第49条 施行期日
第50条 国有鉄道運賃法の一部改正
第51条 地方財政法の一部改正
第52条 厚生省設置法の一部改正
第53条 総理府設置法の一部改正
第54条 経過規定
その後、昭和26,27,28,29,31,33,37,38,39,40,41,42,43,44,47,48,49,53,54,58,59,60,61年
平成元、2,4,5,6,9,11,1214,16,17,18,19,20,22,23,24,26,28,29,30年
令和4年
と、改正を繰り返しながら現行制度では49条構成になっています。改正するたびに附則で改正法の施行日や経過措置などを記しますので、これだけ改正があると、49もの条文よりも附則のほうがページ数が長くなっています。
昭和24年当時の身体障害者福祉法を見てみると、第4条に身体障害者を定義づけています。これは改正され続けた現行法でも同じ4条に定義づけされていますが、本文が少し違っています。
昭和24年 4条 この法律において「身体障害者」とは、別表に揚げる身体上の障害のため職業能力が損傷されている18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう。
現行法 4条 この法律において、「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある18歳以上の者であつて、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう。
職業能力が損傷されているという一文があったのですね。明治時代から職業に就くことのできない者のことを障害とみなす考え方を、戦後も踏襲していた、と考えることができるのではないかと思います。
別表に揚げる、の別表がいわゆる身体障害者手帳の障害程度等級表の大元になるわけです。
視覚障害の箇所を抜粋してみますと、
別表(身体障害の範囲)
視力障害
1 両眼の視力(万国式試視力表により、測定したものをいい、屈伸異常のある者については矯正視力について測定したものをいう。以下同じ。)が0.1以下で症状の固定したもの
2 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下で症状の固定したもの
まず、視覚障害という用語はまだ用いられていませんでした。「視力障害」ですから視野の狭まりは考慮されていなかったということですね。
当時、この基準で、目の不自由な方が何人くらい手帳を取得されたのでしょうね。
また、この規定の範囲がどの時点でどういう改正を経て今の等級表になってきたのか、を調べていきたいなとも思っています。
今日はここまで。
by 永瀬 賢
幸福度
今日もなんだかんだで
日記つけるのが夕方になってしまいました。
HDI
Human Development Index
という国の豊かさをはかる尺度をご存知でしょうか。
これ、日本語では人間開発指数と訳されていて、ちょっと意味をわかりにくいものにしている気がしてならないのですが。
経済指標だけで国の豊かさを比較するのではなく、医療や教育などの充実度を加味してその国の豊かさを比較する、という国際指標のひとつです。
日本は、2021年調べでは190国中19位でした。1980年は10位、1990年は8位、2000年は15位、2013年は17位と、小さく後退しながら、踏みとどまっている感じです。
因みに、ノルウェー、オーストラリア、スイスあたりが上位に安定してきましたが、2021年調べでは1位アイスランド 2位 ノルウェー 3位 デンマークという結果になりました。他の資料ではスイス、ノルウェー、アイスランドの順位になっているものもあって、ちょっとあやふやですが。
ロシアやウクライナは50位よりも後退しています。
この順位がですね。世界幸福度ランキングという世論調査結果では、2019年調べで日本は156国中、58位という結果になっています。こちらの1位はフィンランドで、ノルウェー、デンマークと続きます。
HDIの順位とここまで違いがでて後退している国って珍しく、
謙虚ともとれるかもしれないし、HDIではくみとれないなにかが幸福度と一致していないのかもしれませんし。
幸福度の比較って、なかなか難しいものですね。
もし、自然災害にみまわれるという尺度が加わったら、日本人の幸福度ってね。ところが、自然災害の多さを不幸一辺倒にはしていない日本人の自然や災害とのかかわりかた、がありますから、自然災害が多い国🟰幸福度低い、
とも言い切れないなにかが日本人にはあるように思えます。
来るものは来る、備えて憂いなく。のりきって自然と暮らす。ですね。
ではまた明日 by 永瀬 賢
マスク
こんにちは。
今日は
日記を書くタイミングを逸してしまい、
更新がこんな時間になってしまいました。
もう少したてば夕方です。
急な用事で
本日も電車移動になりました。
車内、15時くらいの混んでいない時間帯、学生さんが半分以上で、全員座れているくらい、空き席半分くらいな感じです。僕のいる車両には20人くらいの乗車。
そのうち、マスクを付けている乗客は7人くらいですね。マスクをつける人、つけない人の割合が逆転しています。夕方以降の混み合う時間帯だと、
まだマスク着用している人のほうが多いのでしょうか。
私も屋外を歩行で移動中などは
マスクを装着しない時間が増えました。
この数日の暑さ、特にマスク着用しての屋外歩行
はしんどいですね。
ご高齢の方々から6回目のワクチン接種をすませた、とのご報告をよくいただくようになりました。次回からは有料になりますね。
今回のコロナパンデミック、
視覚障害者が体温を測るのに音声体温計をもっていれば活用出来たろうし、ない方は欲しかった、今でも欲しい方はいらっしゃると思います。
この音声体温計、
身体障害者手帳1.2級の視覚障害者は
日常生活用具として申請でき、見積もり額の1割負担か所得によっては無料で給付を受けることができるのですが。
単身生活であるか、単身生活に準ずるという条件がついています。
この単身生活に準ずる、という一文、
ありがたくもあれば、くせものでもあり、
単身生活に準ずる、の該当範囲が行政によって、担当者によってばらつきを感じます。
単身生活ではないが、日中、誰もおられないような生活をされている視覚障害の方が音声体温計をお持ちでなかったら、
コロナに感染したときに
体温を計測できない、できなかった、
ということになってしまいます。
パルスオキシメーターで血中酸素濃度を計測するのもそうですし。
訪問訓練の現場では、スマホのOCRアプリを使い、撮影した数値を音声読み上げさせる方法など、いろいろと対応してきました。
今、音声機能付きのパルスオキシメーターは
世に登場しているのかな?ちょっと情報収集不足です。
単身生活に準ずるの解釈次第で
体温を測定できない状況に追い込まれた視覚障害の方とか、どれくらいいらっしゃったのか、ちょっと調べてみないといけないですね。
さて、
予報どおり
お天気はくだりざか、晴れ間少なく雲が覆ってきました。お昼は
今年初めて蝉のなきごえを聴いたけど、なきやんでいますね。
季節は常夏直前。
体調を整えてむかえたいですね。
ではまた明日 by 永瀬 賢