ブログ
猫にも“認知症”がある?高齢猫に見られる行動の変化
猫にも高齢化に伴い「認知機能不全(猫の認知症)」が見られることがあります。夜鳴きや見当識障害(トイレの失敗、うろうろする)、飼い主の認識が曖昧になる、睡眠サイクルの乱れなどが代表的な症状です。原因は脳内の神経細胞の老化や炎症と考えられており、完全な治療法はまだ確立されていませんが、早期の気づきと対策が進行を遅らせる鍵となります。環境の変化を避け、適度な刺激やコミュニケーション、脳の健康を支えるサプリメントや療法食の活用が推奨されています。猫の行動の「ちょっとした変化」に気づくことが、健康寿命を延ばす第一歩です。
猫のSFTS感染、国内での報告増加に注意
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)はマダニを介して感染するウイルス性疾患で、猫から人に感染することもある人獣共通感染症です。かつては西日本を中心に報告されていましたが、近年では関東以北でも猫の感染例が確認されています。感染した猫は発熱、元気消失、出血傾向、黄疸などを示すことがありますが、無症状で飼い主に感染させるケースも。特に野外に出る猫や保護猫では注意が必要です。予防には完全室内飼育とマダニ予防薬の定期的な使用が重要です。飼い主が咬まれたり引っかかれた場合は、体調に注意し必要に応じて医療機関を受診しましょう。
猫のSFTSから身を守るために――飼い主が今できる3つのこと
① マダニ予防を徹底しよう
SFTSウイルスは主にマダニを通じて猫や人に感染します。
特に草むらや山道などに出入りする猫は、マダニに刺されるリスクが高くなります。
💡おすすめ対策
-
月1回のスポットタイプのマダニ駆除薬(例:レボリューションなど)を投与しましょう。
-
完全室内飼育を心がけましょう。
② 猫の体調変化を見逃さない
SFTSに感染した猫は、以下のような症状を示すことがあります。
-
発熱
-
元気がない
-
食欲低下
-
嘔吐・下痢
-
出血傾向(歯茎や皮膚から)
-
黄疸(白目や皮膚が黄色っぽくなる)
💡こんな時はすぐに受診を!
これらの症状が見られたら、迷わずお電話で動物病院へ相談してください。他の猫や人への感染をさせないためにも、隔離した状況での診察や検査が必要となります。
「最近草むらに入った」「野良猫と接触があった」など、SFTSのリスクがある情報も、獣医師に伝えてください。適切な感染防護のもとで診察が行われます。
③ 猫の体液には触れないように注意
SFTSはマダニからの感染だけでなく、感染した猫の唾液・血液・排泄物などの体液を通じて人にうつることもあるとされています。
特に感染している猫は、病状が進むと体から出血したり、よだれが多くなったりすることがあります。
💡家庭でできる予防行動
-
具合が悪そうな猫には素手で触れず、手袋やティッシュを使って対応しましょう。
-
万が一、引っかき傷や咬み傷ができたら、すぐに流水でよく洗い、医療機関へ。
-
トイレや食器の掃除後は必ず手洗いを徹底しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 完全室内飼いでもSFTSの心配はありますか?
A1. リスクは低いですが、外からマダニが持ち込まれることもあります。予防薬の使用をおすすめします。
Q2. SFTSのワクチンはありますか?
A2. 現在、人にも猫にもSFTSのワクチンはありません。予防が最も重要です。
Q3. 猫が感染していたら家族も病院に行くべき?
A3. 体液に触れた場合や発熱などがあれば、早めに医療機関へご相談ください。
Q4. 猫は治りますか?
A4. 回復例もありますが致死率が高いため、予防が最も重要です。
Q5. 以前マダニに刺されたのですが大丈夫?
A5. 無症状であれば経過観察で大丈夫ですが、不安であれば医師に相談してください。
Q6. SFTSの検査はどのように行われますか?
A6. 血液検査と症状で評価し、必要に応じてPCR検査を行います。
Q7. どの地域に多いのですか?
A7. 九州・四国・中国・近畿地方で多いですが、都市近郊でも報告例があります。
Q8. 犬や他の動物にも感染しますか?
A8. 犬も感染することがあります。他の小動物もマダニ予防が重要です。
おわりに
SFTSは「まだ珍しい病気」かもしれませんが、致死率が高く、対応を間違えると大きなリスクになり得ます。
でも、正しい知識とちょっとした対策で、猫も人も安心して暮らせる環境を作ることができます。
私たち動物病院も、日々の診療の中で感染症のリスクに備え、慎重な対応を行っています。
だからこそ、飼い主さんからの情報提供や予防へのご協力が何よりも力になります。
大切な猫と、あなた自身、そして動物医療に関わる人たちを守るために、今日からこの3つを心がけてみてくださいね。
猫由来SFTS(重症熱性血小板減少症候群)、獣医師への感染も
近年、日本では猫を介して獣医師がSFTSに感染し、死亡するという痛ましい事例が確認されています。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、主にマダニが媒介するウイルス感染症ですが、感染した猫の血液や体液(唾液・涙・排泄物)に直接触れることでも人にうつる可能性があります。
特に西日本(九州・中国・四国・近畿地方)では、猫のSFTS発症例が多く、獣医師や動物看護師でも実際に感染したケースがあります。2025年6月には、三重県で獣医師が猫の診療後に発症し、残念ながら亡くなったことが報告されました(国内初の猫→人感染の疑い)。SFTSの致死率は人で10~30%、猫では約60%と高く、決して他人事ではありません。
飼い主さんができること
-
外に出る猫にはマダニ予防を忘れずに:レボリューションなどの農林水産省承認薬を定期的に使用しましょう。
-
帰宅後のケアも大事:草むらから帰ってきたら抱き上げる前にブラッシングや身体チェックを。
-
異変を感じたら早めに受診を:高熱、元気・食欲低下、嘔吐、下痢などが見られたら、来院前に動物病院へ電話相談してください。SFTSの疑いを伝えると、獣医師やスタッフも適切な感染対策ができます。
愛猫の健康を守るだけでなく、あなたや動物病院スタッフの命をも守る“思いやりのケア”がいま求められています。
猫の口腔とウイルスの関係:FIV、FeLV、カリシウイルス、ヘルペスウイルスが歯に与える影響
要約: 猫の口腔内の健康に関わるウイルス感染症(FIV、FeLV、カリシウイルス、ヘルペスウイルス)と歯科疾患の関連について解説します。これらのウイルスがどのように口腔内の問題を引き起こすのか、感染予防や管理方法も含めて詳しく説明します。
1. エイズ(FIV)と白血病(FeLV)による口腔への影響
エイズ(FIV)と口腔疾患:FIV(猫免疫不全ウイルス)は、猫の免疫系を攻撃するウイルスで、人間でいう「エイズ」に似た病状を引き起こします。FIVに感染すると、猫の免疫力が低下し、口腔内の細菌が増殖しやすくなるため、歯肉炎や歯周病が悪化しやすくなります。FIV陽性の猫は細菌感染に対する抵抗力が弱く、通常であれば軽度で済む感染症も重症化することがあるため、口腔ケアが非常に重要です。
白血病(FeLV)と口腔疾患:FeLV(猫白血病ウイルス)は、猫の免疫細胞に影響を与え、免疫力を著しく低下させるウイルスです。FeLV感染により、口腔内の感染症が慢性化しやすくなり、歯肉炎や口内炎が発生しやすくなります。歯肉が腫れたり出血しやすくなることが多く、痛みや不快感が慢性的に続くため、FeLV感染猫には特に口腔の健康管理が必要です。
FIVとFeLV感染猫のケア:FIVやFeLVに感染している猫には、以下のような対応を行うことで口腔内の健康をサポートできます。
- 定期的な歯科検診: FIVやFeLV感染猫は、定期的な歯科検診を受けることで、口腔内のトラブルを早期発見・早期治療することが重要です。
- 口腔の清潔維持: 歯磨きやデンタルケア用品を使用し、口腔内を清潔に保ちましょう。これにより、細菌の増殖を防ぎ、歯肉炎や歯周病の進行を抑えられます。
- 栄養とストレス管理: 栄養バランスの良い食事やストレスを避けた生活環境を整えることで、猫の免疫力を維持することも効果的です。
2. カリシウイルスとヘルペスウイルスによる口腔への影響
カリシウイルスと口内炎:カリシウイルスは、猫の口内に潰瘍や口内炎を引き起こしやすいウイルスです。感染すると、猫は口腔内や舌に痛みを感じ、食べ物を避けたりよだれが増えることが多くなります。口腔内に炎症が起きると、食欲不振や痛みを伴うため、日常生活にも支障をきたす可能性があります。カリシウイルスの感染が確認された猫には、特に食事や痛みの管理が重要です。
ヘルペスウイルスと歯周病のリスク:ヘルペスウイルスは猫の上気道に感染することが多いですが、口腔内にも影響を及ぼします。ヘルペスウイルスに感染した猫は、慢性的に歯肉炎や歯周病を引き起こす可能性があり、口腔内に痛みを伴うことがあります。感染が長引くと、歯肉や歯周組織がダメージを受け、歯が抜ける原因になることもあります。
カリシとヘルペス感染猫のケア:カリシウイルスやヘルペスウイルスに感染した猫のケアには、以下の対策が有効です。
- 予防接種: カリシウイルスやヘルペスウイルスにはワクチンがあるため、定期的な予防接種により重症化のリスクを減らすことができます。
- 柔らかい食事の提供: 口内炎や痛みがある猫には、消化しやすく食べやすい柔らかい食事を提供しましょう。
- 定期的な口腔ケア: カリシやヘルペス感染猫は、口腔内が炎症しやすいため、清潔を保つことが重要です。症状が重い場合は、獣医師による痛みの管理や治療を受けると良いでしょう。


