猫同士の相性「性別」は関係ない?

性別による組み合わせは、個体差が大きく、また不妊・去勢手術の影響によっても変わるので一概には言えませんが、一般的に異性同士のオス×メスや、子育てを助け合うこともあるメス×メスは比較的うまくいきやすいと思われています。


Gender differences in the social behavior of the neutered indoor-only domestic cat(去勢避妊済み室内飼育の猫の社会行動における性差異)という論文では、2匹のオス、2匹のメス、または1匹のオスと1匹のメスのいずれかからなる60の世帯を観察しました。猫は6ヶ月から8歳であり、完全室内飼育でした。各世帯のペアは、飼い主が家の中にいない時間を見計らい、1頭につき10時間の行動観察を行いました。行動を以下の5つに分類しました。(攻撃行動以外は親和行動)

  • 親和的な接近:一方の猫が他方の猫の60cm以内に近づく。
  • アログルーミング:一方の猫が他方の猫の頭や体を舐める。
  • アロラビング:頭や体を他方の猫に擦り付ける。
  • 匂いかぎ:鼻先を他方の猫の鼻先4cm以内近づけて息を吸い込む。
  • 攻撃行動:毛を逆立てる、威嚇する、うなる、猫パンチ、噛み付く、追いかける


仮説の抜粋

  • メスはオスよりも親和行動(擦りつけ、舐める、社会的な匂い嗅ぎ、友好的な接近)の頻度が高いと推測し、異なる性別ペア間で親和行動の頻度に違いがあると予想した。
  • オスはメスに対して親和行動を示すと予想したが、他のオスに対してはしないと予想した。さらに、オス/メスペア間での親和行動がメス/メスペアよりも頻繁であると予想し、メスは他のメスよりもオスに対してより多くの親和行動を示すと予想した。
  • メス/メスペアの猫がオス/オスペアやオス/メスペアよりも近接時間が長いと予想した。
  • オス/メスペアがオス/オスペアよりも近接時間が長いと予想した。
  • 多くの哺乳類にとって、オスがより攻撃的な性別であるのは主にオス同士の競争のためです。家庭猫の攻撃に関する知識が限られているため、オスはメスよりも攻撃のレベルが高いと予想した。
  • オスがより高い攻撃率を示すことを予想したため、オス/オスの同居猫はメス/メスまたはオス/メスよりも攻撃が多く見られると予想した。


結果の抜粋

  • 一緒に暮らしている期間と攻撃行動の頻度との間には負の相関関係が認められた(性別関係なく同居期間が長いほどケンカはすくない)。
  • 一緒に暮らしている期間と親和行動との間に関係性は見られなかった(性別関係なく同居期間が長いほど仲が良いわけではない)。
  • オス猫同士のペアにおいては「親和的接近」「アログルーミング」「アロラビング」が高い頻度で確認された。
  • 攻撃行動の頻度は猫1頭あたりの使用可能なスペースや猫の体重差とは無関係だった。さらに、資源(トイレ・エサ・ベッド)の近くで攻撃行動が観察される頻度は、資源とは全く無関係な場所で攻撃行動が観察される頻度と変わりなかった。
  • メス猫同士のペアにおいては他の組み合わせと比べて「攻撃行動」が高い頻度で確認された。


アメリカの研究ですが、日本の一般的な猫の飼育環境はこれに近いのではないでしょうか?避妊去勢をし、完全室内飼育であるご家庭が多いと思います。最後のメス猫同士のペアの「攻撃行動」が頻度が高いのは予想外でした。他にも年齢差や頭数、兄弟姉妹か否か?などの要素も絡んでくるので一概には予想できませんが、今までの常識とは異なるものでしたので、新しく猫を飼育する時の参考にはなるかもしれません。