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2021-12-30 21:41:00

企業の食品ロス対策は必須。外食・小売・食品メーカーの事例

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近年、大きな社会問題となっている食品ロス。10月は食品ロス削減推進法で定められた「食品ロス削減月間」で、10月30日は「食品ロス削減の日」です。さらに10月16日は、国連が定めた「世界食糧デー」でもあります。この時期だからこそ、いま一度真剣に考えたい食品ロスについて、その課題や食関連企業の取り組み事例をご紹介します。

食品ロスとは

食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のこと。捨てられる理由は、家庭での食べ残しのほか、売れ残りや賞味期限切れ、パッケージに傷や汚れがあるため店頭に並べられないなど、外食や小売、食品メーカーによる事業由来のものも多くあります。

日本では、平成28年度に年間643万トンの食品ロスが発生しており、これは国民1人あたり1日ごはん茶碗1杯分、1年で51kgもの食品を廃棄しているという計算になります。食品ロスは、SDGs(Sustainable Development Goals)の持続可能な開発目標12「つくる責任つかう責任」の中でも重視されている項目で、企業と生活者両者が取り組まなければならない課題のひとつです。

食品ロスはなぜ発生するのか

食品ロスは大きく分けて家庭系と事業系の2種類があります。年間643万トンもの食品ロスの内訳は、家庭由来が約291万トン、事業由来が約352万トンとおよそ半々。

事業由来の食品ロスは、売れ残りや食べ残し、食品の賞味期限切れ、パッケージの傷や汚れなどが主な理由で、近年メディアでも取り上げられる恵方巻きの大量廃棄などのように、食の需要と供給のバランスが崩れていることが原因と考えられます。加えて、家庭由来の食品ロスの理由に、食品の消費・賞味期限切れがあることから、購入と消費のスピードが合っていないことが課題といえるでしょう。

食品ロスによって起こる問題

食品ロスは、もったいないだけでなく、社会・環境・経済的にも大きな問題を引き起こします。

例えば、食料不足問題。世界中で生産されている食料は先進国に集まり、平等に行き渡っていないのが現状です。世界の飢餓人口は最大8億1100万にのぼるといわれ、世界の人口の約1割、10人に1人が飢えに苦しんでいます。このまま気候変動をはじめとする環境問題が改善されなければ、人口の増加にともない、食料が足りなくなることが予想されています。

食品ロスは廃棄処分する際に温室効果ガスするため、地球環境へ大きな負荷をかけています。温室効果ガスが増えて地球温暖化が進むと、気候変動によってこれまでなかったような異常気象や自然災害が発生。この影響を受けて作物が育たなくなったり、動物たちの生態系も崩れていったりすることも考えられます。

経済面における損失も莫大なものです。最終的に捨てられてしまうものであっても、すでに生産、流通においては、ヒト・モノ・カネの多くのコストがかかっています。食品ロスが発生すれば、その全てがムダになっているのです。


参考:公益財団法人 日本ユニセフ協会HP
https://www.unicef.or.jp/news/2021/0140.html



食品ロスをなくすためにできること

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食品ロスをなくすためには、一般家庭、事業者がそれぞれに取り組んでいくことが重要です。


一般家庭でできる食品ロス対策

家庭で出る食品ロスの多くが、賞味・消費期限切れで廃棄する「直接廃棄」、食べきれずに廃棄する「食べ残し」、皮や葉など食べられるところを廃棄する「過剰廃棄」の3つだといわれます。

買い物では自宅のストックを把握した上で、食べきれる量を購入し、食材は余ったら冷凍。普段捨てている食材も調理次第で活用するなど、小さな意識と行動が食品ロス削減につながります。


食業界が取り組む食品ロス対策

事業者側でも食品メーカー・小売・外食それぞれが工夫を求められています。

食品メーカーでは、賞味期限の表示を工夫したり、パッケージに傷や汚れがあるだけで品質に問題がないものをアウトレット商品として販売するなど、さまざまな取り組みが始まっています。

スーパーやデパ地下などの小売では、消費期限の近い商品を値引きして販売していましたが、食品ロス削減の動きが広まるにつれ、その範囲はコンビニやカフェへと拡大。

食品ロスが発生しそうな飲食店や中食とユーザーをマッチングする新たなサービス「TABETE」なども注目を集めています。

食業界の食品ロス対策

食業界で取り組んでいる事例をご紹介します。


食品メーカーの食品ロス対策

味の素
2017年より、賞味期限の表示を年月日から年月に変更。賞味期間の延長により、食品ロス削減や物流効率化への貢献しました。
▶︎https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2018_07_04.html

ニチレイフーズ
冷凍食品メーカーとして、冷凍保存の情報発信やフードバンクとの提携を実施しています
▶︎https://www.nichirei.co.jp/food_loss/4-1/

ニッスイ(日本水産株式会社)
賞味期限の表示を年月日から年月に変更したり、フードバンクへの寄付などを実施。従業員でフードロス部会を発足し、食品ロス削減を目指しています。
▶︎https://nissui.disclosure.site/ja/themes/140


小売の食品ロス対策

イオン
廃食油や魚のアラ、天かすのリサイクルのほか、お客さまへの食品保存容器や使い切りレシピの提案を強化。食品ロス削減の認知と意識を高めるさまざまな取り組みを推進しています。
▶︎https://www.aeon.info/sustainability/haikibutsu/

ローソン
消費期限の迫っているものから購入してもらうため、手前から取る「てまえどり」を促す取り組みをスタートさせました。
▶︎https://www.lawson.co.jp/company/activity/topics/detail_jin/1432029_9112.html
▶︎https://www.lawson.co.jp/company/activity/environment/preservation/waste/

エコイート
エコイートは、廃棄予定の飲料や食品を、買取または無償で引き取り販売している食品ロス削減ショップです。安全かつおいしく食べられる食品のみを陳列し、食品ロス削減に貢献しています。
▶︎https://www.mottainai-shokuhin-center.org/store/

無印良品
無印良品では店舗によって自治体やNPO団体と提携し、家庭で余っている食品を回収して必要な人に届けるフードドライブの取り組みをおこなっています。
▶︎https://ryohin-keikaku.jp/news/2021_0812.html


外食の食品ロス対策

スターバックス コーヒー ジャパン
スターバックスでは全国の店舗で、食品ロス削減のためのプロジェクトを始動。ドーナツやケーキ、サンドイッチなどのフードケース内の商品を閉店3時間前を目処に割引価格で販売しています。
▶︎https://foodclip.cookpad.com/10881/

ARMANI / RISTORANTE
ラグジュアリーブランド、アルマーニが手がけるレストランでは、形が理由で廃棄される農作物や、コロナ禍で出荷先を失った高級食材など、食品ロスの対象となっていた食材を使ったフードロスメニューを提供しています。
▶︎https://www.armani.com/ja-jp/experience/armani-restaurant/armani-ristorante-tokyo-ginza

ロイヤルホストとデニーズ
ロイヤルホストとデニーズは、店で食べきれなかった料理を100%植物由来の新素材容器に入れて持ち帰れる取り組みを共同で開始。食品ロス削減・リサイクル推進におけるモデル事業「mottECO(モッテコ)」に採択されています。
▶︎https://www.royal-holdings.co.jp/release/210518_RHD.pdf

世界的な問題となっている食品ロス、今後の未来

食品ロスは、私たちの生活の最も身近な課題です。食は私たちが生きることそのものだからこそ、最優先に、そして永遠に向き合っていかなければならない課題といえます。

今後も、企業や流通はさまざまなアイデアや技術を駆使して、取り組んでいくことが求められます。さらに生活者一人ひとりが、日々の食生活でしっかりと向き合い、工夫し、出来ることから始めていく。そうした地道な行動にこそ、解決の糸口はあるのではないでしょうか。



writing support:Miyuki Yajima

 


2021-12-30 21:37:00

[ホールフーズ2022]食のトレンド予測 トップ10

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食トレンド

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今後の食トレンドを予測する中で、環境意識や食嗜好が多様化されている諸外国の動向は大きなヒントになります。オーガニック&ナチュラルを専門にアメリカで500店舗を展開するスーパーマーケット「Whole Foods」が、今回で7回目となる年次予想トップトレンド10を発表しました。記事内容を原文和訳でお届けします。

食トレンド

2021年10月18日、テキサスのオースティンを本拠地とする自然食品小売大手のホールフーズマーケットは、グローバルバイヤーと食の専門家による「2022年食トレンド予測トップ10」を発表しました。第7回目の迎える今回は、ノンアルスピリッツや 柚子、 削減・減量主義、機能性飲料などが食トレンドの中で大きな影響力をもつと予想されています。

また、2021年で予測したフードロスを活用したアップサイクル商品、アルコール入りコンブチャなどは2022年も進化を続けながら、定番となることでしょう。

トレンド委員会は、新しい食のトレンドにアンテナを張り巡らせるスタッフや、エリアおよびグローバルバイヤー、食の専門家を含む50を超えるホールフーズマーケットチームで構成。メンバーの日々の製品の調達や消費者の嗜好研究から得た数十年に渡る知見をもとに、毎年トレンドを予測しています。

ホールフーズ マーケットのCMO
ソーニャ・ガフシ・オブリスク氏のコメント:
「昨年は世界中の人々がパンデミックの中、自宅で過ごす時間が長くなったことで、食料品の消費習慣の変化を目の当たりにしました。食品業界がニューノーマルにゆっくりと馴染んでいくとともに、生活者は健康効果を謳う機能性炭酸飲料のような付加価値の高い商品を好み、都市型農業や土壌に良いプロセスで栽培されたウェルビーイングな商品を手に取るようになるでしょう。私たちはこれらのトレンドが店舗の棚やお皿の上に登場することを楽しみにしています。」

2022年食トレンド予測
トップ10

1.Ultaraurban Farming(超都市農園)

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ホールフーズ マーケットは、2013年、ニューヨークのブルックリンで屋上に「ゴッサムグリーン」運営のグリーンハウスを設けた先駆的な店舗をオープンしました。このグリーンハウスは太陽光と100%再生可能エネルギーを使用したサステナブルな方法で、ハーブやサラダ用の野菜を育てています。これ以降、水耕農園やアクアポニックス(※1)や、食料品売場の棚上でのキノコ栽培、ロボットが農産物の育成を担うなど、屋内農園の革新的な技術は盛り上がりを見せています。生産者は従来の壁を打ち破るような地元ならではの作物と、効率を最大化する新しい農業を追求しています。

※1:アクアポニックスとは、水産養殖の「Aquaculture」と、水耕栽培の「Hydroponics」とを掛け合わせた造語で、魚と植物を同じシステムで育てる新しい環境保全型の農業です。


2.You do Yuzu(ゆずにトライするべし)

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日本や韓国、中国で栽培されている柚子は、嵐のごとく料理界を席巻することでしょう。アメリカではあまり知られていませんが、みかんほどのサイズでぎゅっと酸っぱい柑橘です。ドレッシング、アルコール入り炭酸水、マヨネーズなど様々なものに登場し、レストランではライムやレモン、グレープフルーツのような柑橘らしい風味をスープや野菜料理、麺類、魚料理のアクセントに使います。2022年、このフルーツが売り場の中と外で輝くのをぜひご覧ください。


3.Reducetarianism(削減・減量主義)

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あなたは、まだ肉を食べるのを完全に辞められない菜食傾向者でしょうか?削減主義は、肉や乳製品、卵の消費を完全に辞めずに消費量を抑える思想を指します。削減主義者は動物性食品がメニューにあると、牧草飼育のビーフや卵を選びます。


4.Hibiscus in Happening(ハイビスカスがきてます)
ハイビスカスはお茶の世界では長く芳しい歴史があり、人々のビタミンCの摂取源でした。そして現在、食のプロデューサーたちが、甘くぎゅっと酸っぱい風味をフルーツスプレッドやヨーグルトなどの多くの料理に活用。飲料生産者たちは鮮やかなピンク色を活かし、クラフトドリンクを作っています。


5.Buzz-less Spirits(ノンアルスピリッツ)

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2021年、低アルコールスピリッツの歴史的な売上を私たちは経験しました。パンデミックの中で、ミレニアル世代やZ世代では「アルコール離れ」が起き、この傾向は簡単に変わらないと予想しています。洗練された味を持つノンアルコールのカクテルのラインナップの世界に足を踏み入れてみてください。新しい変化を取り入れたいなら、優雅なモクテルの探索はいかがでしょう。


6.Grains that give back(地球に優しい穀物)

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穀物は再び環境に着目し、健康な土壌を育む栽培方法と農業プロセスを通じて栽培されたものが人気となるでしょう。「ザ・ランド・インスティテュート(The Land Institute)」が開発した甘く、ナッツのような風味と長い根を持つ多年草の穀物「カーンザ(Kernza®」) は、養分循環と土壌の生態系にとても役立ちます。 シリアルやビールに使用されているので、ぜひ探してみてください。


7.Seize the sunflower seed(ひまわりの種を楽しみたまえ)

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メジャーリーガーに欠かせないひまわりの種は、ホームランやダブルプレーを盛り上げたのち、球場を抜け出して、クラッカーやアイスクリーム、クリームチーズに滑り込んで行きました。豊富なたんぱく質と不飽和脂肪酸を含むこの小さな巨人は、21世紀のおやつにゲームチェンジをもたらすでしょう。ひまわりの種を使った商品はほとんどは、ナッツ不使用。アレルギーフレンドリーで学校へのおやつにぴったりなのです。(念の為商品のラベルはチェックはお忘れなく)

※アメリカではナッツアレルギーへの配慮として、ほとんどの学校でナッツの持ち込みを全面禁止しています。


8.Moringa’s Moment(モリンガに首ったけ)

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「奇跡の木」とよく呼ばれるモリンガは、インドやアフリカなどで古くから薬草として使用されていました。モリンガの葉は栄養が豊富で、成長も早く、干ばつにも強いため、世界中で栄養失調と戦うための重要な栄養源として用いられています。近年、米国では抹茶の新しい代替品として注目の的に。粉末で販売され、スムージーやソース、焼き菓子に魔法をかけるように使わるようになりました。冷凍デザート、プロテインバー、雑穀ミックスなど、意外な商品にも使用されているんですよ。


9.Functional Fizz(機能的な発泡飲料)

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近年、発泡飲料は2つの重要な役割を果たしてくれています。人々は美味しさだけでなく、甘さの背徳感を打ち消してくれるような飲み物を求めているのです。プロバイオティクス入り発泡飲料をはじめ、プレバイオティクスやハーブ、そのほかさまざまな原料が追加された健康志向のドリンクのこと。フルーティーな風味に、斬新な材料。発泡飲料から、もっとたくさんのものを摂りましょう。


10.Turmeric takes off(人気上昇中のターメリック)

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ターメリック、またの名をゴールデンスパイスは、アーユルヴェーダや東洋医学で何世紀にも渡って使用され、アメリカでサプリメントとして人気を博しています。ゴールデンミルクラテや、ターメリックのサプリメントはおなじみですが、近年はターメリックはシリアル、ザワークラフト、そしてプラントベース のアイスクリームやサンドイッチのように新しい使い方も定着しはじめています。人々はターメリックを求めていて、食べたいとも思っているのです。


2021-12-30 21:34:00

記事への評価

★★★★★5.0

 

取材・執筆 : 小山裕史 2021年12月22日執筆

キーワード :  

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 2021年12月20日(月)、東京・立川に「GALERA Tachikawa Food Market(ガレーラ タチカワ フードマーケット)」がオープンした。施設名の「GALERA」はポルトガルで直訳すると「群衆」「集まり」という意味。アフターコロナの世の中に向けて、再び飲食店が力強く時代に挑戦していくという意思が施設名に込められている。横丁でもない、〇〇街でもない、ハイセンスなランドマークが立川に誕生した。

2021-12-30 21:27:00

TikTokが米国でフードデリバリー開始 22年末に1000拠点を計画

バイトダンス(字節跳動)が運営する「TikTok」は、米国でフードデリバリーサービス「TikTok Kitchen」を開始すると、12月17日に発表した。SNS映えするレストランをプロデュースする「Virtual Dining Concepts(VDC)」と提携して運営し、ネット上で話題の料理を専門に扱うという。

消費者はフードデリバリープラットフォームの「グラブハブ(Grubhub)」を通じて注文が可能で、メニューはトレンドに基づき、季節ごとにリニューアルされる予定。

公開されている情報によると、TikTokは既存のレストランに300のデリバリーステーションを開設、2022年3月に正式サービスを開始し、同年末には1000店にまで拡大する計画という。

一方、VDCの公式サイトによると、飲食店は手数料ゼロでTikTokとのコラボメニューの販売を申し込めるという。また、VDCがスタッフのトレーニングやレシピ、パッケージ、材料などを提供することで、30日以内に各飲食店はデリバリーサービスを開始できるようになるとのこと。

2021年9月に発表された最新データによると、TikTokのMAUは全世界で約10億人で、2020年7月と比べて45%増となっている。マーケティング・エージェンシーの「Wallaroo Media」は米国におけるTikTokのMAUは約8000万人と予測している。

企業の食品ロス対策は必須。外食・小売・食品メーカーの事例 - FoodClip| 食ビジネスの動向やトレンドを届ける専門メディア (cookpad.com)

 


2021-12-30 21:26:00

「昆虫食の自販機」が全国的にじわじわ増えているワケ月90万円稼いだ自販機も

2021年12月21日 08時30分 公開
[熊谷紗希ITmedia]

 昆虫食しか売っていない自動販売機が全国的にじわじわ増えているという。確かに東京でも渋谷区の住宅街で「昆虫食はじめました」というのぼり旗と自販機を見たことがある。実際、複数の企業が昆虫食を扱う自販機の設置台数を増やしている。

 1991年に発表された「食用及薬用昆虫に関する調査」によると、日本でも60年ごろまでは、55種類の昆虫が食べられていたという。しかし、85年には6種類までその数を減らした。現在は養殖ではあるものの、少しずつ食用の昆虫の種類が増えているという。

渋谷区の住宅街に設置された昆虫食自販機(画像:セミたま提供)

 昆虫食について「食料危機を救う」「未来のスーパーフード」「高たんぱく」などの文脈でメディアで目にする頻度は増えたような気もする。なぜ昆虫食自販機が全国的に増えているのか、実際に自販機を運営する事業者に話を聞いてみた。

飲料系自販機ビジネスの限界

 コインロッカーを設置する事業を手掛けるティ・アイ・エス(東京都台東区)は、全国6カ所で昆虫食自販機を展開する。東京に4カ所で、上野の商店街「アメ横」に2カ所と中野、吉祥寺の商店街だ。加えて、静岡県に2カ所で市内のアパレル店の駐車場と藤枝駅に設置している。同社の昆虫食自販機の月の平均売り上げは20万~40万円だが、アパレル店のものは90万円売り上げた月もあるという。

「昆虫食いかがですか?」と書かれた自販機が上野の商店街に

 昆虫食自販機に目を付けた理由について、同社の昆虫食自販機運営事業部 近藤俊一部長は「自販機ビジネスに変化が起こっています。飲料を扱う自販機市場は飽和状態で、冷凍食品やラーメンなど飲料以外の商品を売る自販機が増えています。この流れに、話題性の高い『昆虫食』を掛け合わせることで、新しい事業を確立できると考えました」と話す。

こだわりのデザイン家具がズラリ! レンタルオフィス家具の意外な魅力とは

 ラインアップは25種類ほどで、入れ替え頻度は、売れ筋商品を残して月1回程度だという。甘い商品が売れる、大きい昆虫が売れる、小さい昆虫が売れるなど地域特性を踏まえて入れ替える。一番売れている商品は、5種類の昆虫が入った「Mixed Bugs」(1500円)。複数種類の昆虫を一気に楽しめるのが人気の理由だ。

 現時点で昆虫食を購入する人のモチベーションとしては、興味本位が多いという。ただ、実際に自販機の前で実物を目にすると「うっ」とためらってしまう人もいるようだ。「何を買っていいか分からない」という人のために、同社は「お楽しみCAN」(1000円)も販売している。

お楽しみCAN(左)、その他の商品(右)

 お金を入れると、1000円以上の商品がランダムで出てくる。「ただ昆虫食が買えるだけの場にしてしまうと、購入をためらう人もでてきます。仕掛けがあることで購入する人が増えます。楽しみを付与することで、昆虫自販機がただのエンタメとしてではなく、食料危機などの問題に目を向けるきっかけになると考えています」(近藤氏)

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