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2022-07-30 21:57:00

「仮想フードコート」運営の米キッチン・ユナイテッド、1億ドルの資金調達

ダイヤモンド・リテイルメディア デジタル推進室
仮想フードコート「キッチン・ユナイテッド・ミックス」
「キッチン・ユナイテッド・ミックス」の店名で、複数のレストランの料理をまとめて注文できる共同利用型のゴーストキッチンを展開している

 「仮想フードコート」を運営するスタートアップ企業の米キッチン・ユナイテッド(カリフォルニア州パサデナ)は7月25日、米食品スーパー最大手のクローガーやコンビニエンスストア「サークルK」の運営元であるカナダのクシュタールなどから、1億ドル(約137億円)の資金を調達したと発表した。

 キッチン・ユナイテッドは、複数のレストランが共同利用できるゴーストキッチン(テークアウトとデリバリー専用の厨房)を設置して、レストラン事業者をテナント誘致。消費者が複数のレストランの料理をまとめて注文できるアプリを提供している。家族や友人同士で複数のレストランの料理を注文し、テークアウトしたり、宅配してもらったりできるため、仮想フードコートと呼ばれる。同社は、この仮想フードコートのパイオニア企業だ。

 今回の資金調達は株式公開を控えたシリーズCラウンドに当たるもので、ショッピングセンター(SC)開発・運営のサイモン、「バーガーキング」などのファーストフードチェーンを運営するレストラン・ブランズ・インターナショナル、複数の投資ファンド、アメリカンフットボールの元スター選手であるペイトン・マニング氏なども出資した。

 新たに調達した1億ドルを加えて、キッチン・ユナイテッドの累計資金調達額は1億7500万ドルに達した。同社は、全米の20地域で約200のゴーストキッチンを運営しているが、調達した資金でゴーストキッチンと仮想フードコートの出店を増やしていく。

「仮想フードコート」運営の米キッチン・ユナイテッド、1億ドルの資金調達 | 小売・流通業界で働く人の情報サイト_ダイヤモンド・チェーンストアオンライン (diamond-rm.net)

 


2022-07-30 21:53:00

I cover quick-service, fast casual and pizza restaurants.

Getty Images

今や米国ではどのブランドもチキンサンドイッチをメニューに載せているが、次のメニューカテゴリー「戦争」の場はチキンナゲットかもしれない。

この商品は長い間McDonald’s(マクドナルド)やWendy’s(ウェンディーズ)、Chick-fil-A(チックフィレ)などのベストセラーだが、骨なしチキンの需要が高まり続け、チキン全体の需要も同様に伸びている中、チキン・チェーンの大手たちもナゲット市場のシェアを狙って戦っている。

最新の事例がKFC(ケンタッキーフライドチキン)だ。今週同社は、新しいケンタッキーフライドチキンナゲットをテストしていることを発表した。同社のナゲットは、100%ホワイトミートとブランドの特徴である11種類のハーブとスパイスで差別化をはかることになる。

「ナゲットが小さいパッケージに入っていることは、フレーバーも小さいという意味ではありません。オリジナル・フライドチキンのエキスパートとして、当社の伝統に沿ったフレーバーと材料を使ってナゲットを作ることにしました」と最高マーケティング責任者のニック・チャベスが声明で語った。

今回のテストは、KFCのチキンサンドイッチ導入の成功に続くものだ。同商品は順調に売れ行きを伸ばし、2019年末にPopeyes(ポパイズ・ルイジアナ・キッチン)がサンドイッチを発売して以来競争が激化する分野に自社ブランドを注入した。

ポパイズといえば、同社もサンドイッチのデビューに続きチキンナゲットを昨年発売した。Boston Market(ボストンマーケット)も昨年クリスピーBLTサンドイッチを新発売し、つい先週、ロティサリー・チキンナゲットをデビューさせた。

ポパイズやKFC、ボストンマーケットといったチキンチェーンがこれまでナゲットを売っていなかったことに驚くかもしれない。ライバルたちが大きな成功を収めていることを考えるとなおさらだ。

たとえばウェンディーズ)の場合、同社のスパイシー・チキンナゲットは大きな注目を集め(ツイッターでは200万のいいね!を集め同ブランドの「史上最多いいね!ツイート」を達成した)、発売以来既存店舗売上高を押し上げている。スパイシー・ナゲットは同チェーンの数十年来の看板メニューである伝統のナゲットから自然派生した商品といえる。
マクドナルドのチキン・マックナゲットは1980年以来販売されており、ビジネスインサイダーによると同チェーンの売上ランキング7位に入っている。

チックフィレイは、日曜休業にもかかわらず、1店舗平均800万ドル(約11億円)以上を売り上げており、同社のチックフィレイナゲットはこの圧倒的数字の主要な要因だ。この商品はどの地域でも人気がある。

KFCがこの可能性を利用しないわけがない。

これまでナゲットは、魅力的な主役になるメニュー項目になったことはないが、客を動かすパワーを持っていることは間違いない。ミレニアル世代を中心とする子を持つ忙しい消費者については特にそうだ。KFCは、「ブランドの若返り化」を試みていることで知られており、チキンナゲット拒否権の提案はそのひとつだ。

しかし、これが同社史上初の「ナゲット」(ファストフード評論家の定義による)だからといって、これまでKFCが骨なしチキン分野に足を踏み入れたことがない、という意味ではない。実際、昨年同チェーンは、テンダーなどの骨なしチキン製品の広告をサプライチェーンの調達難のために一時中断したが、ポップコーンチキンは長年人気の主要メニュー項目だ。同社は植物由来のビヨンドフライドチキンを初めて発売した会社でもあり、同製品はナゲットの形態で販売されている。

KFCはプレスリリースで、同社のナゲットはおやつでも出先で食べるのにもおつまみとしても楽しめると述べている。商品にはKFCソース、ハニーBBQ、クラシック・ランチまたはハニーマスタードのソースが付き、8個入り、12個入り、36個入りがある。価格は3.49ドル(約480円)から。

新しいナゲットは、当初ノースカロライナ州シャーロット周辺地域で期間限定で販売される。果たして今後他の市場にも展開していくのか、KFCの既存ナゲット製品のような強力商品になるのか、それは今後を見守るしかない。メニューの定位置を獲得するだけに人気が証明できれば、チキン分野の新たな興味深い競争は激化していくだろう。

2022-07-26 13:11:00

マックやKFCじゃない 米国で一番人気なのに日本人が知らない飲食店

11件のコメント

後藤 文俊

流通コンサルタント

米国で一番人気のファストフード店の店内。ここは、マクドナルドでもケンタッキーフライドチキンでもありません(写真:後藤文俊)
米国で一番人気のファストフード店の店内。ここは、マクドナルドでもケンタッキーフライドチキンでもありません(写真:後藤文俊)

 米国で一番人気のファストフード(FF)店はどこか?。

 仕事で頻繁に訪米する方でも、この質問に正解できる人は少ないでしょう。米国の流通事情に精通した専門家でさえ、「マクドナルド? ケンタッキーフライドチキン(KFC)? あるいは、イン&アウトバーガー(In-N-Out Burger)かな?」といった答えがせいぜい。また、「1店舗当たりの売上高ナンバーワンは、どこか?」と聞いても、正解は出てこないでしょう。

FF店1店舗当たり年間売上高、マクドナルドは5位

 実は、米国FF店の1店舗当たり年間売上高でナンバーワン、かつ顧客満足度でも第1位なのは、チキン・サンドイッチ・チェーンのチックフィレイ(Chick-fil-A)。米国47州とカナダに2700以上の店舗を展開しています。

 市場調査や消費者動向に関するデータ、統計を提供する世界最大級のプラットフォームである独スタティスタ(Statista)の調査(Leading quick service restaurant (QSR) chains in the United States in 2020, by sales per unit)によると、2020年のチックフィレイ1店舗当たりの年間売上高は、501万ドル(約6.8億円)。FF店で堂々の1位です。

 2位は600店を展開するレイジングケインズ(Raising Canes)で、年間売上高は385万ドル(約5.2億円、20年、以下同)。つまり1位チックフィレイの年間売上高は、2位より3割ほども大きいのです。ちなみに3位は、テキサス州を拠点に900店弱を展開するワッタバーガー(Whataburger)。そして、4位にやっと、グルメバーガーとして日本でも知られるようになったイン&アウトバーガーがランクインしています。同社は現在、米国7州に380店を展開し、年間売上高は306万ドル(約4.1億円)です。

 今回、改めてFF店の1店舗当たり年間売上高ランキングをじっくりと見たのですが、1~4位までは日本未上陸の企業ばかり。ようやく5位に飲食業界の巨人、マクドナルドが入っています(294万ドル、約4億円)。

もし日本で、「人気があって、売上高ナンバーワンのチキンのFF店はどこ?」と聞いたら、多くの人が「カーネルおじさん」や「ケンタ」の愛称で親しまれるKFCと答えるでしょう。しかし米国でKFCは(売り上げデータで見る限り)全く人気がありません。先のランキングで20位にも入っていないのです。

 ここまでなら、「へぇー、そうなんだ」と言うだけかもしれません。しかしチックフィレイが公開している「フランチャイズ開示資料(Franchise Disclosure Document)」には、業界に詳しい人でも驚くような記述がありました。

顧客満足度を最大化するために働く

 この資料は全部で424ページもあるのですが、そのノンブルで65ページ目に、チックフィレイの1店舗当たりのリアルな売上高が記載されていました。(モールなどに出店する小型店を除く)スタンドアローンの国内店(約1800カ所)1店舗当たり年間売上高の中間値(21年12月31時点)が、796万9510ドル(約10.8億円)。1店舗当たりの年間売上高の平均が814万2257ドル(約11億円)。また、「国内1800店の31%が該当する“優良店”においては、年間売上高が900万ドル(約12億円)を超えている」と記載されていたのです。

 1店舗当たり年間売上高が1億円を少し超えるくらいの日本のマクドナルドと比較すると、チックフィレイの11億円という金額は「驚異的」というほかありません。

 また、業績が良いだけでなく、米国に来た日本人の多くが驚くのは、同社が日曜日を定休日としていること。1946年創業のチックフィレイは創業者が敬虔(けいけん)なクリスチャンだったこともあり、1号店のオープン時から毎週日曜を休みにしています。米国でも日曜は“書き入れ時”ですが、チックフィレイでは「日曜日は教会に行くか、家族とゆっくり休んでもらいたい」という考えから定休日にしているのです。

チックフィレイはスタッフのサービスレベルが高く、顧客満足度も高い(写真:後藤文俊)
チックフィレイはスタッフのサービスレベルが高く、顧客満足度も高い(写真:後藤文俊)

 日曜にしっかりと休みを取れるため、平日にはよく働く(ハードワークする)ことができるのでしょう。同社が求めているのは、単に「一生懸命に働く」という、ややもすると独りよがりになりかねない働き方ではなく、「顧客満足度を最大化するために働く」ことなのです。

実際にチックフィレイは、ACSI(American Customer Satisfaction Index)が実施した「2021-2022米国顧客満足度指数」のFF部門で、8年連続となる1位を獲得。最も顧客を満足させている(=人気が高い)のですから、冒頭で紹介した、1店舗当たり年間売上高ランキングでトップなのも、納得できる結果でしょう。

(構成:安倍俊廣)

マックやKFCじゃない 米国で一番人気なのに日本人が知らない飲食店:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

 


2022-07-23 22:14:00

ポストコロナ時代の流通サービス産業の展望(5)

今回は、「フードビジネス産業界とサービス・ビジネス産業界の展望」について説明しよう。

(フードビジネス産業界)

◎三蜜対策化

・ゆったりとした客席数

HACCPのシステム化

・クリーンリネスの徹底

・デジタルのスピード化

 

◎レストランの基本形

(低・中価格帯)

・メニューのデジタル化

・セルフサービス化、ロボット化、機械化

・キャッシュレス化

・自店料理の冷凍商品化

・テイクアウト化、ドライブスルー化、デリハセリー化

(高価格帯)

・お客様の参加・共創・共感・サプライズ化

・価値創造化

・高品質化、個性化、

・エクセレント・サービス化、

・おもてなしの感動、至福、洗練化

・調理技術のアップスケール化

・原材料仕入のグローバル化

・常連客増加・フアン化・愛着心化

・自社商品の百貨店、駅ナカ、新商業施設等での販売

・自社商品の冷凍商品販売とデリバリー

・出張販売(ケータリング)

 

◎フードビジネスの企業マネジメント化

・小手先のマネジメントの脱皮

・マネジメント体系の確立

 

◎テイクアウト、デリバリー、ドライブスルー(ピックアップ)のシステム化・デジタル化

 

◎新しいビジネス・プランの企画開発の絶好のチャンス

・マネジメント化

・デジタル化のチャンス 

・既存店の改善でなくゼロからの出発

・健康・安全・安心重視の効率マネジメント化

・メニューのデジタル化 

・デジタル注文化 

・デリバリー用の電動三輪バイク・自転車の採用 

・冷凍食品化

 

◎ビジネス・フォーマットの転換

・ロボット化、機械化、回転すしのシステムの導入

・テイクアウト専門店の開発

・店舗の小型化

・自社商品のデリバリー:テイクアウトは輸送費の差し引き価格の実施

・デリバリー専門店:デジタルの強化

・弁当のデリバリー化

・料理キッドのデリバリー化

・インターネット販売の開発

・個人シェフの出張サービス

・ゴーストレストランの開発

・単品レストランの開発

・キッチンカーの開発

GATHERING TABLE PANTRYの開発

・キッチンの自動化

・シェア型店舗化

 

(サービス・ビジネス産業界)

◎観光は国内化の強化

◎エンターテイメントは、三蜜の強化、オンラインの展開

◎デジタル化による新しい展開の模索

◎サービス産業界全般の効率化・オンライン化

◎省力化・省人化

◎お客様の課題の解決と要望の開発

 

 

 

 

 


2022-07-18 13:03:00

2022/07/18(月)

日本の鮮魚を低コストで輸送 日系IT、タイなどで実証実験

日本のソフト開発会社が日本の生鮮魚類を高鮮度のまま東南アジアの消費地に届ける実証実験を進めている。特殊な保冷箱とIT技術を駆使し、8度以下を約5日間にわたって維持。輸送の間はいつでも鮮魚の状態や位置情報をモニターできる。温度維持に電力を使わないため、従来の鮮魚輸送に比べて運送コストの削減につなげられるという。信頼性の高い高鮮度の鮮魚を割安で提供することで、新たなニーズの創出を目指している。

 

鮮魚コールドチェーン実証実験で日本から届いた食材を使った料理の試食会が行われた=6月30日、タイ・バンコク(NNA撮影)

鮮魚コールドチェーン実証実験で日本から届いた食材を使った料理の試食会が行われた=6月30日、タイ・バンコク(NNA撮影)

先月末、タイの首都バンコクの懐石料理店で、実証事業によって日本から運ばれた鮮魚を使った料理の試食会が開かれた。テーブル上には、日本から前日に届いたという鮮魚を使った料理が並んだ。ハマチの刺し身のしっかりとした食感や、ホタルイカを使った酢味噌あえなどの風味はまさに新鮮そのもの。

試食会に参加した商社や仲買人などからも「日本の鮮魚のイメージ向上と鮮度への安心感につながる。海外市場の拡大に影響を与えると思う」「温度管理が徹底しており、とても意味のある技術だと感じた」といった声が聞かれた。

 

■特殊保冷箱とIT技術を活用

実証事業は、日本水産庁の「水産物輸出拡大連携推進事業」の一環として、ソフト開発を手がけるエム・ソフト(東京都台東区)が主体となって進めている、クラウドや電子タグ、ブロックチェーン(分散型台帳)といったIT技術を活用して、日本の産地から加工・流通、販売段階までのバリューチェーンを構築。東南アジアにおける日本産の生鮮魚類販売の安定・拡大を目指している。

熊本県天草市と富山市で水揚げされたハマチ、タイ、白エビ、ホタルイカなどの鮮魚を、温度変化が起きにくい特殊素材で作られた2層構造の保冷箱に格納して、タイとベトナムの消費地に輸送している。

保冷箱内には電子タグを設置し、3時間ごとに保冷箱内の温度や鮮魚の状態、現在地などをモニター。輸送時間を通じて、新鮮な状態を維持することができる。

一般の保冷箱の場合、箱内の温度などを確認する際、ふたを開ける必要があるため、高温のタイなどでは確認作業自体が保冷箱内の温度上昇につながる。実証中の輸送方法では、輸送中に「ZigBee タグ」と呼ばれる機器で定期的に取得した温度、湿度、傾斜などのデータを取得。リアルタイムでの発信が可能なほか、データは内蔵メモリーにも保存され、通信環境のない場所でも記録保持できる。保冷箱から約100メートル離れた場所からでもスマートフォンに接続したリーダーによりデータの読み取りが可能だ。電子タグや送信機の開発、ネットワークの提供にはKDDIのタイ法人、KDDIタイランドが技術協力している。

特殊素材の保冷箱は8度以下を最長118時間(約5日間)にわたって保持できる。タイであれば、全国どこでも発送時の温度を保ったまま届けることが可能だ。条件に応じて、保冷媒体をドライアイス、保冷剤、氷(ペットボトル)に変更することで、マイナス70度~プラス8度の範囲で温度設定を変更できる。温度保持には電気を使わないため、保冷車の燃費も高まり、一般の鮮魚輸送に比べてコストは3分の1程度に抑えられるという。

日本からタイへの鮮魚コールドチェーン実証実験の構成図

日本からタイへの鮮魚コールドチェーン実証実験の構成図

 

このほか、鮮魚の受発注と管理を簡素化し、オンライン化したクラウドシステムも開発。世界中どこからでもアクセスが可能であるため、24時間いつでも鮮魚の受発注ができる。

実証事業では「ZigBee タグ」と呼ばれる機器を使って定期的に冷温箱内の温度などのデータを取得。リアルタイムで発信が可能なほか、内蔵メモリーにも保存され、通信環境のない場所でも記録を保持できる(NNA撮影)

実証事業では「ZigBee タグ」と呼ばれる機器を使って定期的に冷温箱内の温度などのデータを取得。リアルタイムで発信が可能なほか、内蔵メモリーにも保存され、通信環境のない場所でも記録を保持できる(NNA撮影)                  

 

 

エム・ソフト傘下で、水産DX(デジタルトランスフォーメーション)の開発に携わるJMFITサービスの田窪三紀夫取締役は、「日本食が数多く受け入れられているタイでは差別化が必要だ。タイ市場に『高鮮度の鮮魚提供』という新たなニーズを創出し、日本の鮮魚の輸出拡大に貢献したい」と話した。

田窪氏は、実用化に向け、電子タグの一層の小型化とコスト削減を進めると説明。電子タグを小型化することで、小型の高付加価値商品などさまざまなモノを手軽に運ぶことができ、より多くの数量を一度に管理できるようになると話した。

一連の実証事業は昨年8月に開始。これまでにタイに3回、ベトナムに1回輸送した。今年8月末に終了することになっており、実証結果を踏まえ、半年後をめどに実用化を目指している。鮮魚以外にも、青果物や温度管理が必要な電子部品の輸送の効率化・コスト削減にも応用できる見込みという。

 

■タイで根強い人気の日本食材

人口減少などによって日本の国内市場が縮小基調にある中、農林水産物・食品の輸出拡大は日本にとって重要な課題だ。日本の農林水産省によると、21年の農林水産物・食品の輸出額は前年比25.6%増の1兆2,382億円となり、初めて1兆円の大台を突破。日本政府は、25年に2兆円、30年に5兆円とすることを目標に掲げている。

21年の農林水産物・食品の輸出額のうち、タイ向けは9.5%増の441億円で、全体の3.8%を占め7番目。日系企業が数多く進出し、親日国として知られるタイには日本食を提供する店も多い。日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所によると、21年のタイにおける日本食レストラン店舗数は前年比6.7%増の4,370店となり、9年連続の増加となった。特に首都バンコク以外の郊外や地方で出店が増えており、日本の食材の潜在的なニーズはまだまだ高いと考えられている。

在タイ日本大使館の金城信彦二等書記官は、「タイには、親日家で日本料理が好きな消費者が多いが、近年はさらに高品質な食材を求める消費者が増えている。現在、実証が進められている新たな輸送技術によって、信頼性の高い鮮魚がより多くのタイの消費者に迅速に届くようになることを期待している」と話した。

日本の鮮魚を低コストで輸送 日系IT、タイなどで実証実験 - NNA ASIA・タイ・食品・飲料

 


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