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ベルリンではオフィスビルの食堂がランチの人気スポットだ。サンフランシスコでは無料でグルメなデスクランチ。上海ではファストフードの配達が流行している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は世界の都市でランチタイムのトレンドについて取材した。
上海と北京
中国の会社員にとって、かつて昼食はゆったりとした休憩の時間であり文化だった。食後の昼寝も珍しくなかった。今ではその伝統が圧力にさらされている。仕事のペースが速まっているうえに、80円ほどでランチを届けてくれるスマートフォンアプリも登場したためだ。
中国の大都市では、ヘルメットをかぶった配達員がスクーターでオフィス街を疾走し、ビーフヌードルやスパイシーなチキンライスを腹ぺこの会社員に配達している。
調査会社アナリシスによれば、中国の出前の件数は2016年には前年から倍増し、今年は67%増と予想されている。アイリサーチの試算によれば、同年の同国飲食店事業の10%は出前が担った。13年には5%だった。
北京で公務員をしている43歳の女性は、職場のカフェテリアで同僚と食事ができた日々を懐かしむ。年下の同僚たちが豊富なメニューや割引につられてアプリで出前を頼むなか、最近は1人で食べることが多くなった。以前はカフェテリアへの行き帰りにお喋(しゃべ)りできたが、近ごろはオンラインメッセージでのやり取りがふつうだという。
ワシントン
ロビー活動に対する規制、ランチタイムの飲酒減少、労働習慣の変化を受けて、古典的なビジネスランチは減少している。
ジョージ・W・ブッシュ政権で駐ベルギー大使を務めた共和党員のトム・コロロゴス氏は「ビジネスランチは死に絶えた」と述べた。
07年に起きたロビイストのジャック・エイブラモフ氏の汚職事件を受けて、議会はロビイストが議員やスタッフに物を贈ることを禁じた。議員の接待もしづらくなった。コロロゴス氏は「誰かにハンバーガーをおごればトラブルは必至だ」と話した。
ワシントンで複数の高級レストランを経営するナイツブリッジ・レストラン・グループのオーナー、アショク・バジャジ氏は、以前に比べランチ客の飲酒が減ったと指摘。「若い世代はランチの席で酒を飲みたがらない」と述べた。
フードトラック(移動式屋台)の普及でランチの選択肢は大幅に広がった。コロンビア特別区(ワシントン)が13年にフードトラックの駐車規制を緩和したことから、交通量の多い地区の一部でも販売することができるようになったのだ。