工房ひとと記(2016)
鉛筆(ペン)立ての進化 (12.23)
最近、よくメガネを探している自分がいます。
置く場所が決まっていればと思い”ペン立て”ならぬ「メガネ立て①」を作ってみました。
目立つように側面にラインを入れました。一定の幅と深さの溝を作り、それに合わせて部材を加工し埋め込みました。材は有色の黒檀とカリンです。
半月ほど経った頃、取っ手があればより便利かな?と思い②を作ってみました。
見かけと補強を兼ねて四方側面サイドをあられ組風に加工しました。
さらに全体のバランスを考え③を製作してみました。
① 材:栂、黒檀、カリン W90 D75 H90
② 材:栂、タモ、欅、黒檀、カリン W90 D90 H140
③ 材:セン、欅、黒檀、ソノクリン、カリン W90 D90 H150
側板の曲線は曲げ木加工した材がはめ込んであります。
写真はそのために製作した曲げ木加工用治具です。
水分を含ませた板をこの治具に挟め徐々に曲げていきます。その際、バーナー等で温めます。最後にクランプで止めて一日ほど放置します。
いつしか仕事ではなく遊びの世界に入り込んでいる自分がいます。困った性分ですね。
ブビンガの巨大テーブル (10.05)
このテーブルは相模原の田名にある海鮮料理屋さんの別室にあります。
何度来店してもその大きさにため息が出ます。今回写真を撮らせてもらいました。
画面でもお判りのように、長さが10メートル以上あり圧巻です。
店員さんの話ではお店が完成する前に運び込み設置したそうです。
この大きさですので完成してからでは無理ですね。ごもっともです。
ブビンガの産地は熱帯雨林で、アフリカなどに分布する輸入材です。
辞書には「幹の直径は3m、樹高は25–30mにもなる巨木で、沼地や河川の
近くに群生することが多い」書かれてありました。
材も硬く有色(チークやカリンに似ている)で木目も面白いので私も利用させて
もらっています。
上溝夏祭り (7.25)
毎年7月下旬の土・日に上溝夏祭が開催されます。
歴史が古く江戸時代末期から明治維新にかけて盛大になったと言われ、100年以上続く県北最大のお祭です。
日曜日のお昼過ぎ夕方にかけて20基の御輿と8台の山車が各町内から商店街通り本町交差点の祭典本部前に大集合して御輿の渡御と山車の運行が始まります。
こちらに居を構え四十年ほどになりますが、はじめはそのスケールの大きさに圧倒され尻込みした記憶があります。
しかし、いつの頃からかこの祭りを心待ちしている自分がいました。
写真は我が町内を渡御する自治会の御輿です。(7月24日自宅前で撮影)
商店街の風景は実行委員会の写真を借用しました。ごめんなさい!
御輿を担ぐには厳しい年齢になりましたが、祭りは気持ちが若返りますね・・・。
ネットショップ「dクリエイターズ」閉店 (6.29)
NTTドコモが運営するハンドメイド通販サイト「dクリエイターズ」からの依頼で昨年初めに私も出品しました。
しかし今月をもってサイトを閉鎖するとの連絡がありました。
「手作りのオリジナル作品」という面白い企画だったので出品しましたが、ネットショップ業界も厳しい現実があったんですね。
販売のため出品した作品の一部です。(写真)
ネットショップへの出店はしばらくは控えようと思っています。
まさかの来訪 (3.28)
工房隣の車屋さん(レオカーズ)に顔を出したところ、どこかで見かけたことのある人物がいました。
すぐにブラウン管の中で見かけた方だと気づきました。
俳優、声優として活躍されている石丸謙二郎さんでした。
「世界の車窓から」という旅番組のナレーターを長年つとめている方といったら、すぐお分かりでしょう。
訪問の理由は車内を改装したいとディーラーに話したところ、ここ(レオカーズ)を紹介されたとのことでした。
車を見せてもらうとサーフボードや自転車搭載用の棚、さらにはベットまで・・・。内装のほとんどが自作ということに正直驚きました。運動やレジャーに快適な移動手段として車をフル活用していると感じました。彼は、まさにアウトドア派ですね。
私が隣で木工をやっていると知ると「是非見たい」とやって来ました。
手作りがモットーの彼にとって興味を惹かれたらしく、話が弾みました。
写真は石丸さんとレオカーズの社長カマさんです。
ナレーションの語りと何ら変りのない穏やかな人柄の方でした。
今どきの言葉で言えば「びっくりポン」の訪問でした。
花台(黒檀)の注文 (2.15)
花台(黒檀材)の注文が福島にお住まいの方からありました。
偶然、在庫がありお送りしたところ、気に入られたらしく、もう1台と
再注文がありました。
仏壇前の両サイドにペアとして置きたいとのことでした。
手持ちがないので製作に「時間をいただきたい」とお願いしたところ、『いつでもいいです』との心地よい返答でしたので承諾しました。
それから一月、ようやく完成しお送りすることができました。さっそくお礼のメールが届き写真も添付されていました。
とても大きな立派な仏壇です。材は屋久杉だそうです。
もう1枚はお送りした花台の天板です。(私が撮りました)
私の作品の多くはイメージに浮かんだものをデッサンして製作しています。
工房訪問者が展示品を見て「これ何ですか?どう使うんですか?」とよく質問します。
「頭に浮かんだものを作っているので使い方は手にした人に委ねています」と苦し紛れな返事をしています。お客さんは当たり前ですがキョトンとした顔をします。
今回の花台も添付していただいた写真を見て「こんな使い方もあるんだ」と再発見させられました。なんと自分が作ったにもかかわらずです。
「花台も幸せだなあ」と感じました。
タガヤサン(鉄刀木)の飾り台 (2.01)
全国陶器市が麻溝公園で昨年同様開催されていましたので、見学かたがた出かけました。
昨年、何故か木製品の展示販売のお店が数店舗ありました。
期待に違わず今年も出店していてホッとしました。
その一つで大型のダイニングテーブルセットや飾り棚を展示しているお店の素材に目が止まりました。思わず写真を撮りました。
部材はタガヤサン(鉄刀木)といい「唐木三大銘木」の一つです。
重硬で緻密な材質で古くから銘木として珍重されてきた杢目が非常に美しい高級材です。
腕のいい職人技が各所に見られよい勉強になりました。
※「唐木三大銘木」とは紫檀(シタン)、黒檀(コクタン)、鉄刀木(タガヤサン)です。
遣唐使によって唐より伝来したため唐木(からき、とうぼく)と呼ばれたそうです。