おしらせ

2026-05-01 12:28:00

亡くなられた方が韓国籍だった場合、相続放棄にご注意を!

 1 日本国籍の方が亡くなった場合、相続放棄は

 「自己のために相続の開始があったことを知った日から三箇月以内に」相続放棄をしないといけません。(民法915条1項)

 そして「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、

 「単純に被相続人が死亡したときではなく、原則として被相続人の死亡を相続人が覚知し、自己に相続権があることを知ったとき」とされています(最判昭和59年4月27日民衆38巻6号698ページ参照)

 

 2 これに対し、日本在住の韓国籍の方が亡くなった場合、たとえ相続財産が全部日本にあったとしても、相続放棄には韓国法が適用されます。(法の適用に関する通則法 第36条)

そこで韓国法をみると、

「相続開始があったことを知った日から3月内に」相続放棄をしないといけません。(韓国民法1019条第1項)

そして、「相続開始があったことを知った日」とは、

「相続開始の原因となった事実の発生を知り、かつ自己が相続人となったことを知った日」とされています(韓判2-29参照)

 

3 ということなのですが、上記の二つは、一見ざっと読んだだけでは「だいたい、似たようなものかな。。」と勘違いしてしまう可能性もあるので、要注意です!!

細かいですが、表現が若干異なっていて、その差が結構大きいです。

結論としては、韓国の相続放棄は日本よりも起算点の計算が厳しいです。

 

 (1)上記記載のとおり、日本の判例では「自己に相続『権』があることを知ったとき」から3か月以内です。

ということは、相続財産が全くない(相続する「権利」を持っていない)と信じたことに正当な理由があれば、まだ相続放棄は可能で、相続財産があることを知ってから3カ月以内に放棄をすれば大丈夫になります。

 

(2)ところが韓国の判例では「自己が相続『人』となったことを知った日」から3か月です。

『権』ではなく『人』だというところがミソです。

 つまり、単純に自分が相続『人』つまり、『相続する立場の人』であることを知ってしまうと、そこから3か月以内に相続放棄しなければいけないわけです。

ですから日本と異なり、仮に『財産が全くない(相続『権』がない)』と信じていても、自分が『相続人』であることを知っていれば、それを知った時から3か月以内に相続放棄しないと、それ以降は相続放棄できないこととなります。

 

ちなみに韓国では、相続放棄が認められる場面が厳しすぎて、結局「相続人が相続開始があったことを知った日から3か月以内に限定承認又は相続放棄をしないときには単純承認とみなす民法1026条2号は財産権と私的自治権を侵害するので憲法に合致しない」という違憲判決がおりました。その結果、2002年に新しく法律が改正され、相続放棄が出来なくなってから「相続財産よりも債務の方が多いことを知った」時であっても、そのことを知らないことについて重大な過失がなければ、「限定承認」をすることができるようになりました。(特別限定承認制度)