おしらせ

2018-07-21 13:04:00

後見人(司法書士)に財産を預けて安心か?について

 最近、親族の方が後見人になる場合、いったん専門職(司法書士・弁護士)を後見人に選任したり、あるいは監督人に専門職を後見人にするケースが目立っています。

 理由は、後見人の財産を横領するなど、後見制度の濫用を防ぐためなんですが、そういう話をすると「でも、専門職だって横領しますよね。。。」みたいな話になります(笑)。

 おっしゃるとおりで、実際そこのところはどうなんでしょうか?

 

 この点、統計的に見れば、後見人の横領事件のうちおよそ圧倒的大多数は親族の後見人によるもので、専門職の横領というのはごく一部にすぎません。特に司法書士については、「リーガルサポート」という自主団体を立ち上げて、裁判所への年に1回の報告に加えて、1年に2回リーガルサポート独自の報告を別途義務づけ、場合によっては事務所の立ち入り調査なども行っており、横領の防止策や抑止策がいろいろと考えられています。

 ただ、そうはいってもゼロではありません。

 そして、もしもその「まさか」がおきたとき、被害者の立場の家族はどうしたらいいのでしょうか??

 

 これについて司法書士は、司法書士会に入る際に、もしも職務を行う上で何らかの故意・過失で「損害賠償」を請求された場合に、その賠償金を支払うための「損害保険」に強制的に加入させられています。

 したがって、もしも司法書士が後見人になってその司法書士が財産を横領した場合は、(その司法書士は懲戒に処されて業務を遂行できなくなるペナルティを受ける一方で)被害者の方々は司法書士会に行って「損害賠償」の請求を行い、保険金を請求して財産を保全することが出来ます。

 この方法であれば、保険金から確実にお金が戻ってきますし,横領をした司法書士は解任されますので、これが一番の解決策だと思います。

 

 もっとも、この制度にも弱点があります。

 司法書士については、強制加入の保険の賠償額は1100万円までしかありません。それ以上については「任意」の加入となっています。

 したがって、この「任意」の保険に加入していない司法書士の場合、最大で1100万円までしか賠償できないことになり、それ以上の金額を横領した場合には、保険はおりないことになっています。

 

 ですから、司法書士が後見人になる場合、その方が「任意」の保険に入っているか否かと、「任意」に入っている場合にはいくらまでの賠償に応じれるかを、念のため確認しておいた方がいいかもしれません。

 「任意」の保険の支払限度額は最大で4億円まであり(当事務所は、もちろん4億円の保険に加入しています)、最高で4億円までならば賠償に応じることができます。もちろん、そういったことにならないようにするのが、一番なんですが。。。