Heart-up 通信 Vol14
【事例紹介】
会社が負担した資格取得費用は返還してもらえるか?
ある会社からの相談です。
昨年、社員が資格を取得し、その際、取得費用約30万円について金銭消費貸借契約(貸付契約)を締結。「資格取得後3年以内に退職した場合は返還する」と定める一方、「満3年を超えて継続勤務した場合には返済を全額免除する」との規定があります。ところが取得から数か月で退職の申出がありました。事業主としては「全額でなくても、せめて半分は返してもらえないか」とのことです。
結論から申し上げますと、半額請求であっても、内容次第です。
ポイントは、労働基準法第16条(違約金の禁止)に違反しないかどうかです。同条は、退職を理由とする違約金や損害賠償予定を禁じています。したがって、実質的に「退職ペナルティ」と評価される場合は無効となります。
一方で、資格取得費用が実質的に「会社から従業員への貸付」であり、一定期間勤務すれば返還義務を免除するという仕組みであれば、直ちに違法とはなりません。
判断のポイントは主に2点です。
① 従業員が自主的に制度を利用したか
② 取得した資格に汎用性があるか(他社でも活用できるか)
会社命令で取得させた場合や、自社専用性の高い資格である場合には、会社負担と評価される可能性が高くなります。その場合、金額の多寡にかかわらず、返還請求は困難と考えられます。
契約内容、取得経緯、資格の性質を総合的に確認した上で、請求の可否を慎重に判断することが重要です。
京都の空気が、少し凛として感じられた今週末。「京都年金大学」講座に参加してきました。
1日目:年金改正編
法改正の内容を具体的に学びました。
在職老齢年金制度の見直し、標準報酬月額上限の段階的引上げ、短時間労働者の適用拡大、子にかかる加算の整理など。
なかでも、2028年4月施行予定の遺族年金改正は、特に複雑に感じました。
どれも実務に直結する重要な内容ばかり。改正ポイントを一つひとつ丁寧に整理してくださる、とても分かりやすい講義でした。
2日目:障害年金編(事例研究)
事例は、関節リウマチ、網膜色素変性症、知的障害。
特に印象に残ったのは、手続きを断念してしまった事例です。
「初診日の証明が取れない」「医師に実態が伝わらない」など
障害のある方が一人では整理できず、制度の壁の前で立ち止まってしまう現実。
そこで社労士が関われること。
「丁寧に実態を聴き出す」そして「これまでの経験を踏まえ、ご本人やご家族とともに書類を整えていく」
ただ書類を作るのではなく、生活の実態を丁寧に書類に落とし込んでいく仕事です。
その先に、“適正な認定への扉”が開かれるのだと学びました。
お恥ずかしながら、まだまだ素人の私には、この2日間は学びが山盛りで、頭がパンクしそうです💦
でも、せっかく得た知識。きちんと咀嚼して、実務で生かせる力にしていきます。
【追伸】
1日目の夜。お声掛けくださった先輩社労士の先生方と、ディナーをご一緒しました。
勉強になるお話と、美味しいお料理。贅沢であたたかな時間に、心から感謝です。🍀
