Heart-up 通信 vol2
【事例紹介1】
🚚 運送業の賃金設計
F社ではこれまで、地域別最低賃金の引上げに合わせて昇給していましたが、より公平で透明性の高い賃金体系を目指し、評価制度を導入しました。
新制度では、成果や責任を反映し、同一職種・勤続年数でも評価結果に応じて賃金に差が生じる仕組みです。役職ごとに一般職・主任・課長・部長の区分を設け、評価ポイントに基づいて賃金表のランクが上がるよう整備しました。
また、事務職、地場ドライバー、ダンプ、トレーラー職に賃金表を設定し、段階的に固定残業代を縮小。今回は42時間分から35時間分に見直し、7時間分を基本給へ組み替えたうえで昇給を実施しました。
導入に際しては、全社員と2回の個別面談を行い、制度内容を丁寧に説明。不安を解消しながら、最終的に全員が新たな雇用契約書に合意・署名しました。
評価制度の導入により、社員一人ひとりが目標を明確にし、意欲的に働ける職場づくりが進んでいます。
【事例紹介2】
🍃65歳以降の雇用継続への対応
今期、65歳を迎える社員の今後の雇用についてご相談をいただきました。
ご相談先では、定年後の継続雇用制度により60歳以降も就労を続けてきましたが、後任者も育ち、65歳以降の再々雇用は難しい状況でした。
現行法では、65歳までの継続雇用が企業の義務とされ、70歳までの就業確保措置(再雇用、委託契約、社会貢献活動支援など)は努力義務とされています。対応にあたっては、過去の再々雇用実績との整合性や公平性に配慮し、恣意的な判断と受け取られないよう理由を整理しておくことが重要です。
けれど、人としての視点で見ると、少し胸に残るものがあります。再々雇用を希望された方にとって、仕事は「生活の糧」であると同時に、「これまでの努力と存在価値の証」でもあります。その思いを否定せず、敬意をもって「あなたがいたから、今の後任が育った」と伝えることが最も大切です。仕事を続けるかどうか以上に、「自分がこの会社に必要だった」「きちんと役割を果たせた」と感じてもらえるかどうかが、その方の人生の区切りを温かくします。
今回のケースでは、長年の貢献への感謝を丁寧に伝え、現状では再々雇用の必要性が認められない旨を説明する方向で整理しました。今後同様のケースに備え、判断基準を明文化することも推奨されます。「両者にとって納得のいく結果を出せるよう努めたい」とのお言葉をいただき、誠実な企業姿勢が印象的でした。
ちょっとひと息☕ 〜京都小旅行にて〜
11月初めに、京都へ小旅行に出かけました。目的は、ロシアにバレエ留学している子が一時帰国中に、お世話になっている教室の発表会。せっかくなので少し早めに京都入りし、初めて二条城を訪れました。
中でも二の丸御殿は、徳川将軍の権威を象徴する豪華絢爛な障壁画で知られています。遠侍の間や大広間には、金地に堂々と描かれた虎や松。訪れる者に“徳川の威光”を印象づける空間です。
けれど、奥へ進むと空気がふっと変わります。黒書院と呼ばれる部屋は、将軍が親しい大名と対面する場。そこには桜や梅、菊など四季を感じさせる花々、そして扇に桔梗をあしらった静かな意匠が広がり、華やかさの中に落ち着いた気配が漂っていました。力を誇示する前方の間に対し、黒書院はまるで心を鎮める“静の空間”。落ち着いた品格を感じました。
清流園や二の丸庭園の景色もまた、心が自然と整っていくような穏やかさに満ちていました。

その後に訪れたバレエの発表会では、グラズノフの《四季》が上演されました。小編成オーケストラの繊細な音と、踊り手たちのしっとりとした動きが調和し、季節の移ろいを音と身体で描くよう。華やかさよりも、“余韻”の美しさが心に残りました。舞台を見つめながら、幼い頃のわが子の姿が重なり、胸の奥が温かくなる瞬間もありました。
歴史の荘厳と、芸術の繊細さ。一日を通して、異なる「静」と「動」に触れ、心が整うような京都の時間でした。
