講師(宗夜)ブログ
●茶室の白い雲
茶道を楽しんだ人たちは、茶室に森羅万象を再現したかったのだろうといつも思います。
そして最近、茶道は化学とも近いのではないのかと思うようになりました。
きっかけは、湯気です。
釜から沸き出す湯気。
釜を熱する時の熱源の違いによって湯気の形が変わることに気がつきました。
湯気の形には美しい時と、そうでない時があります。
一番美しいのは、炭手前によって綺麗にお炭が組まれた時。
蓋の間から勢いよく噴き出して竜巻を起こします。螺旋を描いて立ちのぼる龍のような白い雲。
しゅんしゅんと湯の沸く音も心地よく。
茶室に音の波が流れます。
そして柄杓で湯を汲むと、柄杓は花のような白い雲をまとうのです。
それらは一瞬で消え、また新たに沸き上がり…。
茶碗に湯が注がれると、白い花は茶碗に移り、しばらく留まり続けて空を舞います。
美しい…。
昔の人も私と同じように美しいと思ったことでしょう。
緻密に計算されているからこそ起こる現象です。
花は野にあるように…
雲も野にあるように…
そんな思いで作られた白い雲だと思います。
他の熱源の場合はどうでしょうか?
ガスでも湯は沸きます。
けれども湯は吹くばかりで、このような綺麗な白い竜巻はできません。
茶碗に湯を移しても雲はすぐに消えて炭手前の時のように留まりません。
電気の場合も同じです。
ガスよりは穏やかな熱せられ方ですが、白い竜巻は現れません。
屋外ではどうでしょう。
昔、バーベキューした時の記憶を辿ると、やはり白い竜巻は現れなかったことを思い出します。
湯気は水の表面から均等に薄く現れていて、螺旋を描く竜巻は起こりませんでした。
ガスで沸かした時よりは美味に思えましたが、茶室での炭で沸かした湯とは、まろやかさが比べものになりません。
どうしてこんなに違うのだろう…。
茶道の炭は高価で高品質であること。
釜も鉄の純度が高くて高品質であること。
たくさんの要素が組み合わされて実現されていることに違いありません。
私はこんな風に考えています。
・炉や風炉の素材や形状により、絶妙な輻射熱を生むこと。
・炭の遠赤外線効果により、水の分子が激しく振動すること。
・炭の周りの灰に含まれる水分量が適量であり、熱を受けた時に発する水蒸気が上昇気流を生むこと。
・それによって対流熱を作り出し、釜の中の水も激しく対流していること。
・分子の振動と対流の激しさにより、水の中に静電気が発生していること。
・静電気が空中に放たれることですぐに電気が放出されて白い花みたいな雲が現れること。
こうなんじゃないのかなぁ…
といつも白い竜巻と雲を見ながら考えています。
茶道を作った人々は、きっと炭手前の組み方を幾度も幾度も試しながら、どの組み方が湯を一番美しく沸かすのかを考えたことでしょう。
こだわってこだわってここまで来た、茶の湯。
オタクの心は、オタクが一番よく分かる。
どーーでも良いじゃん!
そ、どーでも良いんだけどね。
ところでお茶って美味しいね。