講師(宗夜)ブログ
所作(53)●集中している姿を見るのが好き
子どもの頃から集中している人の姿を見るのが好きでした。
人は集中すると静かになります。
そして呼吸が整って深くなります。
鼻呼吸になるようです。
そういう人のそばにいるのが好きでした。
幼い頃、母がよく手作りのお人形を作ってくれました。着られなくなった子供服のあまり布などで、実に上手に作ってくれました。
手元を動かしている最中の母はとても静かで、呼吸が整っていました。
お料理をしている姿を見るのも好きでした。
みるみる間に食材が料理に変わっていくその様子はマジックのようで、母は天才だと思いました。
次に何を必要とするか分かるようになって食器を揃えたり、道具を出したりするようになると、
『よく気が利く』と褒められ益々張り切りました。
私自身は子どもの頃、絵を描くのがとても好きで、紙と書くものさえあれば何時間でも楽しめました。泥んこ遊びも大好きで、よく庭を穴だらけにしました。
4歳の時、近所の子の家で泥んこ遊びをしたら、すごい剣幕で怒られました。
『え?こんなことで怒られるんだ…』
その子が非常に気の毒になりました。
そして自分が恵まれていることを知りました。
泥んこ遊びをしていても、お絵描きをしていても、私が集中している時には邪魔をせずに、ずっと集中させ続けてくれました。
子ども時代に楽しみながら集中している時の脳の活動が、その後の人生に大きく影響するのではないかと思っています。
これこそ生きる喜びの原型ではないかと思うのです。
自分の子を見ていてもそう思いました。
子どもは遊び食べをします。
掃除が大変で閉口しましたが、これは好きなだけさせてあげた方が良いと言われました。
そこでビニールプールを用意して、その中で好きなだけ遊び食べをしてもらいました。
子どもの遊び食べでは、べちゃべちゃと食べ物を下に落とします。
どうやら落ちる様子を観察しているようでした。
ベチャッという音。
その広がり方。
柔らかい時と硬い時の食材の差。
手で潰した時の肌に伝わる感触。
種の様子。
こういった観察は小学生になっても続きました。
海に遊びに行ったある日、夕方に砂浜でブルドーザーが砂を掻き集めていました。
海の侵食を止める作業でした。
ガガガガガッ
とっぷん
ザザーッ
ポロポロポロ…
ガガガガガッ
とっぷん
ザザーッ
ポロポロポロ…
何が面白いのか子どもがその様子を見て動かなくなりました。
『そろそろ行かない?』
声を掛けても
『うん、もう少し』
と言って動きません。
いつも思います。
こういう時の人間の脳の中はいったいどのような光景なのでしょうか。
私は勝手に想像しています。
楽しみながら集中している人間の脳内は、とても美しいのではないかと。
情報の伝達を活発に行っている時の神経細胞は光を発するそうです。
そうなると集中している時の脳内は、まさに夜の星空のように美しいのではないかと思っています。
茶道をしていても、生徒さまの脳の中で、美しい星空が広がっている様子を感じます。
キラリキラリと瞬く星。
残像を帯びて流れ星のようです。
私たちが星空を見ていて美しいと思うのは、私たちの脳内に同じ光景を持っているからではないでしょうか。
自分の脳内は見られないけれど、内在する世界を星空に投影して、美しいような懐かしいような思いを抱くのではないだろうかと思っています。