講師(宗夜)ブログ
所作(48)●何度も同じ話を聞きたいの
絵本読みボランティアの時代。
子どもは何度も同じ絵本を読んでもらいたがるものだなぁ…とよく思いました。
『その要求にできる限り応えてあげてほしい』
と先輩方から言われました。
繰り返し繰り返し同じ本を読んであげて。
ほんの一時期だけだから、と。
同じ話を繰り返し聞きたがる子どもの心とは一体どのようなものでしょう?
子どもは毎日新しいドアを開けながら生きているような状態だそうです。
毎日と言わず、毎瞬間に新しいドアを開けている状態。ものすごいスピードで体と脳が成長しているのだけれど、心が追いつかない状態。
成長ホルモンがじゃんじゃんと出て、まるでジェットコースターに乗っているような感じ。
とても不安定。
不安でいっぱいです。
そのため心の拠り所として同じ話を聞きたがるそうです。安心したいのです。
しかしこの状態、大人である私たちも変わらないのではないでしょうか?
私たちだって不安です。
子どもに偉そうに物を言えるのは、昔に一度子ども時代を経験したからです。
二度目の経験だから偉そうに言えるのです。
だけど親として経験するのは初めてだから、やはり親の方も不安でいっぱい。
あるいは職場での後輩指導や部下の指導なども同じことが言えると思います。
人間のミスは大体同じようなところで起きるから、過去の自分と同じミスであれば落ち着いてその後の対処を教えることができます。
が、時には思いもよらないところでミスが起きることもあります。
『どうしてこんなことを…』
そう言いたくなる時もあるでしょう。
同じ仕事をするにしても、人の上に立つと、見えているものがまるで違うものになります。
また、責任ある立場になると愚痴は言えなくなります。これもつらいところ。
大人にも心の拠り所が必要です。
同じ話を聞いて安心できる拠り所が。
そんな時に和の文化に頼ってほしいと思います。
和の文化は同じことを繰り返し繰り返し行います。
茶道では帛紗捌き。
六方捌きや、真之真の捌きでは、昔ばなしを語るような気持ちでアナウンスをしています。
対面のお稽古でもアナウンスを必要とする生徒さまには隣に座ってお稽古の間じゅうアナウンスをしています。
すると心が落ち着くようで、お稽古が終わるとスッキリとしたお顔になられています。
独楽(コマ)が本来の回転を取り戻し、軸が安定するような様子と似ています。
また、まっすぐに立ったり、膝を折って正座したりという運動を繰り返すことにより体幹が整うようで呼吸も深くなられるようです。
最初は正座はつらいかもしれません。
皆さん、最初は足の痺れを訴えます。
これは私の勝手なイメージですが…
日常の何気ない動きの癖によって、足の血管がところどころ捻れているのかも知れない、と思うのです。
ですので、慣れないうちは正座がつらい。
ところが茶道のお稽古を重ねると、皆さんの正座できる時間が徐々に長くなります。
もしかしたら…
正座の後に立ち上がるという運動を繰り返すと、ぺったんこになった血管に勢いよく血液が流れ込み、その血流により少しずつ内側から捻れが改善されていくのではないか…などと想像しています。
茶道のお稽古では同じことを繰り返してはいますが、それでいてちゃんと前に進めています。
そこに新たな安心感があると思います。
大丈夫、私は成長できている。
その心をひとは希望と呼びます。