講師(宗夜)ブログ
所作(38)●大きな樹は根から伸びる
どこで見つけたのか分からないのですが、いつの間にか心に入ってきた言葉でした。
絵本の中で見つけた言葉かもしれません。
良い言葉だなぁと思いました。
ぐんぐんと上に伸びるだけが成長ではないというのです。
じりじりと地中を探りながらの成長もあります。
上に伸びていなくとも、土の中ではしっかり成長しているらしいのです。
体を支えるための根をしっかりと張って環境を整えて、それからようやく上に伸びるのですね。
人間も同じだと思います。
即席では仕上がらない。
5年単位、あるいは10年単位で成長を見極める目を持つことが肝要かもしれません。
世の中には不安を煽る表現が溢れています。
『早くしなきゃ、早く、早く』
誰もが急かされているように感じます。
でも悪いことではありません。
本能からのメッセージです。
危険を察知した時にすぐに行動できるようスタンバイ状態に整えておくことは必要です。
その日その日を真剣に。
モタモタしないで出来るだけ早く物事を済ませる。リラックスのし過ぎは危険です。
本能に従っているのに私たちは生きづらい。
どうしてでしょう?
それは、色々な本能と板挟みになっているからです。
・これだけやったんだから見返りが欲しい
・出来るだけ早く
・出来るだけ多く
・だけど本音はダラダラと怠けていたい
これも本能。
できるだけエネルギーを消費しないことが長生きのコツでもあるわけだから、ダラダラと怠けたくなる欲求も正しいのです。
そのダラダラを我慢して努力したのだから、結果が早く欲しいのはある意味当然です。
簡単に成長できない仕組みがあり、
すぐに結果を求めたがる本能があり、
でも本当はダラダラと怠けていたい本音もあり、
まったくカオス(混沌状態)です。
一人一人がこれだけ複雑なのに、そういう人間が複数関わり合って社会を形成しているのだから、そりゃあもうグチャグチャです。
生きづらさを解消するには、
自分の本能を認め、本能の傾向を予測して、その上で本能をなだめる必要があります。
この一連の働きを理性と呼びます。
懸命に努力したけれども、そう簡単に結果は出ないな。努力はこのまま続けるけれども、じっくり待とうじゃないか。
このような気持ちが理性です。
ところがこの理性が、そう簡単に育たない…。
感情のコントロールを担うのは前頭前野とのことですが、この部位の完成はとても遅いそうです。
非常に精巧なパズルを組み立てるかのようだと脳科学者が表現していました。
快楽物質のドーパミンを運ぶ軸索が、前頭前野にまで伸びるのに時間が掛かるのだそうです。
どこまで伸びるかは個人差が大きいとのこと。
本当は今すぐ快楽が欲しいけれども、より多くの報酬を得るため、計画を立てて実行していこうという働きです。
この計画性を持つためには、小さな成功体験を積み重ねていく必要があります。
小さくてもそれに気付いて、自分を励まして、希望を持ちながら少しずつ前進する。
前頭前野の完成は20歳くらいという科学者もいれば、50歳くらいという科学者もいます。
共通しているのは時間が掛かるというところ。
大きな樹が根を伸ばしている姿にそっくりです。
自分の成長を待つのは時には辛いかもしれない。
他人の成長を待つのも辛いかも知れない。
そんな時に『大きな樹は根から伸びる』と呟いてみましょう。
自分も、目の前の人も、大きな樹に成長しようとしている途中。
時間は掛かるかも知れないけど、将来きっと大きな樹になるよ。
緑色の美しい葉を持つ大きな樹になるよ。
by 工藤 宗夜