講師(宗夜)ブログ
所作(35)●出すのは結果だけ
20代の前半、OL時代。
大学出たてで何も分からない頃。
私は医療系の商社に勤めていました。
新入社員は率先して電話を取るべきという暗黙のルールがあり、私は電話が鳴る度にヒヤヒヤしていました。まだ、得意先も取引先も担当者の名前も分かっていなかったからです。
お昼休みにお昼ご飯を食べながら、得意先、取引先、担当者の一覧表を眺めていました。
営業マンの先輩が隣に座って言いました。
『よく勉強していて偉いね』
と前置きした上で、静かに言葉をつづけました。
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でもね…。
悪いことは言わない。
人前で勉強するのはやめた方がいい。
そういうことは仕事の出来ない人がするんだ。
勉強している雰囲気は出さない方が良いよ。
出すのは結果だけ。
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その後、つと立って部屋を出ました。
最後の言葉が胸に残りました。
『出すのは結果だけ』
いい言葉だと思いました。
冷静に周りを見渡せば、他の人たちはもっとスマートでした。
いかにも『勉強してます』という態度をしているのはただ一人、私だけでした。
恥ずかしいことをしました。
そして教えてくれた方にとても感謝しました。
この言葉は長らくずっと忘れていたのですが、つい最近になって思い出すことになりました。
ここ数年で、拙宅のリフォームを行いました。
いくつかの業者さんにお声を掛けさせていただき見積依頼をしました。
色々な業者さんがおられました。
勉強熱心だなぁ、と感心する業者さんもいれば、
もう会わなくていいな、と思う業者さんもいる。
さすが社長だな、と思う人もいれば
やっぱり社員だな、と思う人もいる。
その方々の物腰や態度は、私の仕事にも大いに参考になりました。
『よく勉強しているなぁ』と感心する業者さんは、最初から他社と態度が違っていました。
まず、時間キッカリに来る。
10時と言ったら10時キッカリ。
他の業者さんは、『早く着いちゃいました』と言って20分前に来たり、『道に迷いました』と言って15分後に来たりしました。
それだけで判断したわけではありませんが、その後の仕事振りを見ると、結局のところ第一印象の通りでした。来る時間が定まらない人は、その後の仕事も頼りないものでした。
また、『さすが社長だな』と思わせる人は、社員とは物腰が違っていました。
話の進め方に無駄がなく、歯切れ良く明解。
出来ないことは出来ないとハッキリと言った上で、『工夫すればこうなる』と誠意も見せてくれました。
そして私の依頼内容をよく理解されていて、会う前からすでに頭に全部入っておられました。
面白いのは、目の動き。
社長さんは目の動きだけで家の中を見渡します。
見ているのは、インテリアのセンス、サッシのグレード、家電の年代などでしょう。アップデートの頻度を見ているようです。
私の観察もしていました。ファッションセンス、話し方、お化粧の仕方も見ているようでした。
チラリチラリとポイントを押さえて見て、客としての査定をしている様子でした。
一方で社員さん。
社員さんの大半が、椅子に座るなり体の向きを大きく変えて『へぇ〜。この家、築何年ですか?』とずけずけと聞いてきました。
(ああ、こりゃダメだな)
世間話が多く、その割に依頼内容は抜けていて、話が前に進みません。
私が依頼した資料をプリントアウトして持っているのは良いけれど、一読したのかしないのか…。
つまりやる気がないのね、と思いました。
話し方もそれなりで、ダラダラとした話し方、滑舌は良いけれど攻撃的な話し方、など。どれも好感の持てるものではありませんでした。
あの時、会社の先輩が教えてくれたことは、こういうことだったのか。
本当の勉強とはこういうことか。
学生時代の勉強と、社会に出てからの勉強は本質的に違う。机の上だけの勉強では仕事の結果は出せない。自分の持てる力の全てを底上げしていき、仕事に向きあう。
社長さんは小さな仕事でも真剣でした。
連絡の取り方も頻度も、適切でした。
とにかく社員にお給料を出さなければいけない。
会社を維持、発展させなければいけない。
そのような責任感の大きさが、全体の能力の差につながっていると思いました。
私たち女性個人は会社経営とは無縁かもしれません。しかし物事への向き合い方は是非見習いたいところ。
誰もが自分の人生の主人公です。
自分の人生に責任を持つ、
その心持ちだけでも立派なことだと思います。
歩き方、話し方、仕事の進め方など、外見も内面も、全てこの責任感を持つことで輝いてきます。
大人女性は静かに静かに努力して…。
出すのは結果だけ。
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和から学ぶ気品ある仕草 美しい所作教室