講師(宗夜)ブログ

2022-09-04 14:23:00

所作(32)●適当に好きなことだけしていなさい①

これは5年前くらいに、私の身体から受け取ったメッセージです。

強烈なメッセージでした。自分の身体にこのようなことが起こるのかと大変驚きました。

 

5年前は、茶道と着付けの講師をしながら通訳ガイドの仕事もしていました。

通訳ガイドの仕事も諦めきれなかったのです。

自分はその仕事に向いていると思っていました。

 

当時、通訳ガイドになるには国家資格が必要でした。私はよし庵の講師になる直前に国家資格を取得していました。

 

数年間、死に物狂いで勉強し、途中で何度も泣きながら、ようやく手にした資格でした。

このチャンスを決して無駄にしたくないと思っていました。

 

だけれども現場ではうまくいかない…。

あんなに勉強したのに、私の英語は現場では役に立たない…。どうして?

ああ、そうだ。きっとまだ努力が足りないんだ。

もっと勉強しなくては。もっと、もっと。

 

当時は本当に忙しい日々を過ごしていました。

火水木土は、よし庵で講師の仕事。

金曜日は、都内の歴史博物館で通訳ガイド。

日曜日は、医療通訳の勉強で都内の専門学校に通っていました。

 

少なくとも毎日2時間は勉強しようと心に決めて、講師の仕事を終えて帰宅してから寝るまで毎日々々勉強していました。

やるべきことは山ほどありました。

やってもやっても終わらない。

都内の歴史博物館に行く電車の中でも、専門学校に行く電車の中でも、相変わらず勉強です。

当時はまだ息子が高校生だったので、毎朝のお弁当作りもありました。

毎日寝るのは深夜1時過ぎ。

朝6時に起きて、お弁当作って、洗濯などの家事をざっと終えたら、着物着て仕事して…。

仕事に行く電車の中でも勉強、勉強。

 

そんなある日。

専門学校での授業中。

突然、目が見えなくなりました。

正確には見えています。

明るさも感じます。

ところが、テキストが読めない。

視線を落としたところに、銀色の雷のようなゲジゲジした物体が現れて、それが邪魔して文字が読めない。さらには音読ができない。

『あ』とか『う』とかの一文字の発音はできる。

しかし単語や文体としての、幾つかのまとまりで発音することができない。

どうしよう。

何かとんでもないことが身体に起こっている。

呼吸が乱れて気が遠くなりました。

 

専門学校の授業は、完全参加型でテーブルがコの字上に配置されており、毎回先生から音読の指名を受けます。この日も一人一段落ずつ読み上げていました。

(ああ、どうしよう。順番が迫ってくる。全然読めない。分からない。しかしこの状況をどう説明したら良いんだろう。)

 

『はい、ここまで。10分の休憩を挟んで次のところから再開しましょう。次、工藤さんから。』

(ああ、助かった…)

 

そして体調不良を訴えて、すぐに帰宅しました。

血の気が引いて今にも倒れそうでしたが、何とか電車に乗り込み、ぐったりした身体を引きずってようやく家に帰りました。

 

『もうこの仕事はやめなさい』

強烈なメッセージでした。

あの銀色の雷のような光。

マグネシウムが燃えている時のような強烈な閃光でした。

あの光が現れたのは一回だけでしたが、私の右目はそれ以来、視野の一部が欠損しました。

閃光で細胞が焼けてしまった感じです。

今でも長時間の読書や勉強が出来ません。

 

その時にようやく分かりました。

私は通訳ガイドの仕事が、本当のところは好きではなかったんだ…。ショックでした。

そこに向かって人生を進めていたから。

でも同時に、自分を止めてくれた身体からのメッセージにとても感謝しました。

 

ああ、人生とは…

自分の予想を遥かに超えて、豊かなんだなぁ。

人生の大きな選択肢の一つを失ったのですが、

なんだか私の心は豊かでした。

ホッとしていました。

 

そして通訳ガイドの仕事から完全に身を引いてから、私の脳は茶道のお点前を急速に覚えました。

 

自分は茶道がこんなにも好きだったんだなぁ。

立ったり座ったり、忙しいけど。

あれもこれも、ややこしいけど。

 

でも、茶道にしても、根を詰めるのではなくて、ある程度は適当にしていなさい。

と身体から言われている気がします。

 

『そうだよ。適当で良いんだ。それが長生きのコツだよ。せっかく生まれたんだから長生きしなくちゃ損だよ。』

よし庵の長、宗嘉ものんびりこう言います。

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