講師(宗夜)ブログ
●好きな先生を見つけること
何かを始めるとき、
長く楽しく続ける秘訣は、
好きな先生を見つけること。
ここに尽きると言えそうです。
『道』がつくお稽古では生き方が現れますので、好きではない人からの指導は身体が拒否反応を示します。
中でも、特に茶道はそう言えるかも知れません。
茶道の指導には大きく三つの段階があります。
①所作
②お点前
③こころ
①所作
生きる上でのところどころの作法が所作です。
立つ・座る・歩く
これらの作法を直すとは、
『赤ん坊からもう一度やり直す』
に等しく、未経験者・経験者問わずほとんど全ての人がムカッ💢とした顔をされます。
(私は大人です。子どもではありません。)
それを承知で講師も指導しています。
お茶碗はこう持ちます。(ムカッ💢)
襖はこう開けます。(ムカッ💢)
お菓子はこう食べます。(ムカッ💢)
だけど…
周りを見渡せば、ズラリと並んだ見目麗しい先輩方。
(本当だ。先輩たちもご指導通りに行っている。)
着物をセンス良く着こなして、
美しいけれども仰々しくなく、
静かで、いかにも賢そう。
これが大人の文化力。
認識が改まれば行動も改まるもの。
少しずつ所作が整います。
最初は反発していても、一年ごとに別人のように美しくなられます。
②お点前
『覚えた先の自分』を見せてくれる教室かどうか。
覚えることは何にせよ簡単ではなく、時間も労力も掛かります。
それでも『覚えたい』という意欲を教室が持たせてくれるかどうかが大切。
覚えたらどんな良いことがあるのか。
自分はどう変わるのか。
それはつまり、先輩方みたいになりたいかどうか。
最終的には先生みたいな人間になりたいかどうか。
なりたいと思えたら覚える時間も労力も全て楽しみに変わります。
見るもの触れるものへの愛着も増し、日々が色鮮やかなものに変わってきます。
③こころ
お点前を覚えて終わりではないのが茶道のすごいところ。
実は覚えたところからが
『始まり』なのであります。
覚えている最中は実に楽しくて、夢中になるときがあります。
『ゾーンに入る』状態が茶道にもあり、スルスルと頭にも身体にも染み込みます。
ところが…
人間は忘れる動物でもあります。
何もしなければ苦労して得た技術も廃れます。
(あれ?おかしいな…)
忘れたのか、わたしは。
ここに虚しさを覚えます。
絶対なんてものはこの世にはないんだ。
運動によって形状が維持されているだけの話で、運動をやめれば糸が解けるみたいにバラバラになってしまうんだ。
では結局
茶道って何だろうか?
ここで『こころを整えるお稽古』の登場です。
虚しさ・怒り・悲しみなど、ネガティブな感情にアクセスしないお稽古です。
赤ん坊の時
幼児の時
思春期の時
全ての感情にフルアクセスの状態でした。
楽しいことも容量いっぱい
悲しいことも容量いっぱい
経験を積むことが大切でした。
人生の前半で人間としての幅が出来ました。
でも大人になったら
フルアクセスはおしまい。
人間のストレージには限度があるのです。
これからは自分に相応しい感情だけにアクセスするお稽古です。
虚しいことは、あることはあるんだけど、
『私はそこにアクセスしないの』
と心に決めて、設定をOFFにします。
OFFにする設定に必要なのが前述の
①所作
②お点前
です。
美しい所作と、数々のお点前を覚えているうちに、虚しさが心の中で少しずつ小さくなってきます。
無くならなくても良いのです。
アクセスしなければ良いのです。
小さくなってカラカラに乾いた虚しさを見つめて『うん』と思う。
否定も肯定もしない。
自分がここにいる実感を楽しむ。
これが『こころのお稽古』
令和8年も春を迎えました🌸
皆さまがそれぞれに好きな先生を見つけられますように…