講師(宗夜)ブログ
●雅な語り口 ②
問答において、もう一つ大切なのが『柔らかい言葉遣い』です。
ここにこそ知性が現れるとよし庵では考えています。
茶室での問答は、決まり事だから行っているのではありません。
。。。。。。。。
美味しかったわ。
ありがとう。
。。。。。。。。
言の葉を
玉手箱にそうっと入れて
風呂敷に包んで
お相手に手渡す
こころを込めるとはどういう事か
茶道を通じて私たちは日々味わっているのだと思います。
作法だからお茶名を聞く、
という気持ちで問答をすると
『お茶名は?』
と、愛想なくそのものズバリを相手に問うてしまいます。
まるでボールを投げつけているような感じで攻撃的に受け取られてしまいます。
これでは輪の中に溶け込めず、仲良く茶の湯を楽しむ雰囲気が作れません。
大人になればなるほど、クッションが大切です。
それも、柔らかで品のある美しいクッションが望ましいでしょう。
問答の具体例を挙げてみます。
。。。。。。。。。
●香り高く美味しいお茶をありがとうございます。
ただいまのお茶名は?
●お湯加減の程よいお茶を美味しく頂戴いたしました。
この度のお茶名は?
●お練りのしっかりとした美味しいお茶をありがとうございます。
(間を置いて)お茶名は?
●鮮やかな緑色(りょくしょく)のお茶を、目にも美味しくいただきました。
(間を置いて)お茶名は?
●つややかなお練りの美味しいお茶をありがとうございました。
(間を置いて)お茶名は?
。。。。。。。。。。
お濃茶は上手に練らないと香りも艶も出ませんので、
『ちゃんと受け取りましたよ』
と問答の中で、亭主の誠意に感謝の心を伝えます。
すると点前や作法を超えた温かい空気が茶室全体を満たしてくれるのです。
・ただいまのお茶名は?
・この度のお茶名は?
などと、お茶名を聞く前に短い句を入れるのも優雅。
または、一呼吸おいてからゆっくりと『お茶名は?』と尋ねます。
お道具拝見の所望でもクッションを挟みます。
。。。。。。。。。
●どうぞ、お茶入れ・お茶尺・お仕覆の拝見を。
●恐れ入ります。
お茶入れ・お茶尺・お仕覆の拝見を。
。。。。。。。。。
どうぞ、とか。
恐れ入ります、とか。
このような句を茶室で頻繁に口にするようになると、茶室以外でもするりと口から出るようになり、人間関係が滑らかになります。
それまでは咄嗟に出る言葉が
『すいません』一辺倒だったのが、
『恐れ入ります』に変わった時、
相手から自分に向けられる視線が明らかに高くなったことにご自身も気がつくでしょう。
年齢を重ねても『オバサン』にならない。
重ねれば重ねるほど魅力の増す
『貴婦人』なのであります。