講師(宗夜)ブログ
●仮名作品創作
『生徒さんにはいずれ自分で作品を仕上げられるようになってほしい』
書道の先生の夢だそうで、ある程度の技術がつくと創作へのアプローチお稽古が始まります。
一字一字の美しいバランスが取れるようになったら、今度は全体のバランスを取る練習。
『好きな俳句で作品を創ってみてください』とおっしゃいましたので、私は与謝蕪村の句を選びました。
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寒月や 門なき寺の 天高し
与謝蕪村
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寒い空に青い小さな月がカキーン❄️と浮かぶ画が脳裏に映りました。
人里離れた寂しげな古いお寺。
門の代わりにススキが茫々と生え、それらが月光を受けて乾いた風に吹かれています。
厳しい寒さの中に透明な美しさを見ました。
その画を書で表します。
筆を取る前に設計図を作りました。
・月は寝待ちの月🌖
文字の配置で形を表現
・『寒月』は濃いめの墨。
後ろ重心でキリッとした筆跡に。
・『門なきてらの(能)』は薄く儚げな墨。今にも消えそうな感じ。
・『天高し』は中くらいの墨色。
・『し』でススキを描きたいので風に揺れているように長めに引く。
また、偉人の書風を取り入れて字の形も工夫してみました。
・『寒』は中国書法の蘇軾(そしょく)をイメージ
・『や』は和様仮名の世尊寺流(せそんじりゅう)をイメージ
・『天』は平安の三筆の空海をイメージしたけど横顔風に斜めに
臨書の勉強はこういうときに活きてくるようです。
現代で美しいとされている字の形は、仮名では登場しません。
敢えて崩したり略したりします。
けれども自分の思い込みで崩すと破茶滅茶になります。
崩し過ぎないためには、前時代の美意識がとても参考になります。
さて
設計図を基に、仮名創作を試みました。
そして先生のご指導を仰ぎました。
『頑張りましたね。チャレンジされたことがまず素晴らしいです。』
では添削いたしましょう…
・『や』の位置が『寒月』の真ん中にあると、十字を切っているように見えて角度がシンプルになり過ぎます。
『寒月』の字軸が左下に傾いているのに合わせて『や』も左下に配置をすると、読み手の視線を中七、下五に自然に誘導できます。
・中七(門なきてらの・能)の傾きが極端過ぎましたかね…。
書き始めは縦で、下に行くに従って揺らしていくと綺麗に見えます。
・また、上五と中七の空間がやや広すぎました。
もう少し中七を中央に寄せて、空間の開け方をマイルドにすると良いでしょう。
・そうなると、中七と下五の余白と、下五と名前(蕪村)の余白が均一になってしまうので、面白みに欠けてしまいます。
『蕪村』はもう少し下五に寄せる必要があるでしょう。
・ただ、一つ一つの字の形は良かったです。左右不均一に出来ましたし、字軸をずらすことも出来ましたね。現代の美意識とは異なるものですので、古典の勉強を今後も頑張って続けましょう。
(先生、ありがとうございました💦)
ふぅ…。
バランスを取るとは、難しいものです。
毎月のお手本で全体を見ているはずなのに。
自分には全然見えていなかった、ということに気が付きました。
見るのとやるのとは大違い。
さてさて、ご指導を基に設計図を作り直します。
設計図を基に筆で作品を仕上げます。
ようやく『書』に近づきました。
『構図を極端にするとアート作品になってしまうんですよ。
書の作品にするには、極端なことは避け、ある程度セオリーに従う必要があるんです。
散らし書きは、美意識を基にしながら綺麗に散らすのであって、散らかしているわけではないんですね。』
深い…。
勉強になります。
セオリーを身につけるには
try &error あるのみ。
時間を掛けてじっくりと…。
設計図
作品





