講師(宗夜)ブログ

2025-06-30 10:44:00

●人生の出逢い

人生は人との出会いの連続。

たった一人との出会いによって自分の運勢がガラリと変わることもあります。

書家相田みつをさんも詩を綴っておられます。

。。。。。。。。。。

その時の出逢いが

その人の人生を

根底から変えることがある

よき出逢いを

。。。。。。。。。。

 

そう言えば…

自分の人生を振り返ると18歳の時の出逢いが大きな転機だったように思います。

 

高校卒業後に都内の短大に通いました。大学に併設されている短大でサークルが大学と共同。

私は音楽系のサークルに入りました。

先輩も同期もみんな優しく

『これが青春かぁ!』と

満喫していました。

中でも同じ短大の先輩N子さんは特に目をかけてくれました。

N子さんは特別な美人ではないけれども、独特の魅力がありました。

コミュ力が高く、誰とでもすぐに仲良くなり、輝いていました。

自分というものをしっかりと持ち、情報発信型でいつも新しい話題を提供するタイプ。

『いま私はこれをやっている』

と常に前進していました。

 

そんなN子さんから出逢ってまもなく

『視野を広く持て』

とアドバイスを受けました。

 

18歳まで、私の生活は市内のみ。

自転車の移動圏内。

それが急に電車に乗ることになり、いつもオドオドしていました。

新宿も渋谷も池袋も、私にとっては怖い怖い『首都・東京』でした。

そんな私を放っておけなかったのか

『怖がらなくても大丈夫。せっかく都内に通っているんだから色んなものを吸収しなくちゃ』

と言って世話を焼いてくれました。

『美術館に行ったことは?』

と聞かれ

『ない』

と答えると

『いま、新宿でセザンヌ展をしているから見に行こう』

と連れ出してくれたのでした。

 

その後に喫茶店に入って、ずっと美術の講義を受けました。

N子さんの好きな画家はエゴン・シーレでクリムトの影響を受けていたんだ、とか

サルバトール・ダリも好きだとか

ガウディは天才だとか

それまで聞いたことも気にしたこともない芸術家の名前が、自分よりも一つしか歳の変わらない女性の口から次々に出てくることに、当時は雷に打たれたような衝撃を受けました。

 

『ここ(都内)は、いつもどこかで展覧会をやっている。こんなことは地方では考えられない。

都内に居る間に少しでも多くのことを吸収しないと損だ。

自分は大いに学ぶつもりだ。

さやこも大いに学びなさい。』

 

そんなメッセージを会うたびに送られました。

親以外で『勉強しろ』と言われるのは初めてでした。

親に言われると腹が立つけれど、一つ年上の先輩から言われると素直に聞けるもので、自分なりに当時はよく勉強したように思います。

少なくとも勉強する癖はつきました。

 

その後、お互いに大学への編入学をし、就職をしても付き合いが続いていました。

 

N子さんは海外旅行が好きで、よく旅先から絵手紙を送ってくれました。

いまスペイン

いまオランダ

いまイギリス

 

非常に優秀で有名な製薬会社に入りMRになりました。

就職後にはご自身の郷里に帰っておられましたが、私は彼女に会いたくて実家にまで押しかけて泊まらせてもらったこともあります。

二人ともよく食べて、よく飲んで(彼女はお酒が強い)、よく喋って、よく笑う

そんな時間でした。

就職してもN子さんはいつも前向き。

『いまの仕事も好きなんだけど、わたしやっぱり美術が一番好きなんだよねー』

と語っていました。

そしてお金が貯まると

『ニューヨークに行ってくるよ』

と美術哲学を学びにニューヨークの大学に留学してしまいました。

 

すごい女性がいるもんだなぁ

当時はそう思っていました。

私はというと事務の仕事でつまずいてばかり…

そんな折、知り合いからニューヨークに行くけど一緒にどう?と誘われました。

誘ってくれたのはジャズピアノの先生でした。

就職後に趣味のピアノを再開しクラッシックとジャズピアノの両方を習っていたのでした。

 

ジャズピアノの先生はビックバンドでピアニストを務めていて、バンドのメンバーとニューヨークのカーネギーホールにコンサートを観に行くのだとのこと。

良かったら一緒にどうか?と声を掛けてくれました。

 

ニューヨークかぁ。

ちょうどN子さんが居るしなぁ。

じゃあ行きます!

そしてコレクトコールでニューヨークに電話をかけてN子さんと会う約束を取り付けました。

 

久しぶりの再会。

待ち合わせ場所はメトロポリタン美術館。

階段にやや気だるく座っているのは…

あー!N子さん!

おー!さやこ!

20代半ばの二人が軽く抱き合う。

 

N子さんがニューヨークをガイドしてくれてあっという間に一日が過ぎていきました。

夕食はギリシャ料理店。

よく食べて、よく飲んで(相変わらず彼女はお酒が強い)、よく喋って、よく笑う

 

ただ昔とは違って、少しだけお互いにシビアになっていました。

学生時代のキャピキャピした雰囲気が終わり、漠然と夢を語ることは出来なくなっていました。

先輩後輩という関係性もなくなりちょっと会話がギクシャク…。

進む方向が違ってしまったようでした。

 

なにがどうという出来事もないまま、それから何となく疎遠になっていきました。

いま思うとまるでそれは卒業式のようでした。

学生の殻を完全に脱いで大人の女性の階段を登ろうとしていた時期でした。

 

ほぼ30年経った現在から振り返ってみると、やっぱり彼女は魅力的な存在で、彼女との出逢いが私の人生を大きく前進させたのは間違いないのでした。

 

美術関係の仕事を起こすのだと熱く話していた彼女。

どこかで活躍していてほしい。

心からいま思うのでした。