講師(宗夜)ブログ
●アマチュアとプロの差 『衣擦れの音』
よし庵の生徒さんの中には、ほぼ完璧で殆ど間違えない優秀な方々も多くいらっしゃいます。
右手・左手・足の動き…
時間のやりくりをしながらよくここまで覚えてくださったなぁと感心いたします。
茶道が本当にお好きであられることに嬉しさを覚えます。
ここまでお上手になられると
アマチュアとプロの違いはどこにあるのか次のステップが気になることでしょう。
違いは『芸術性の高さ』にあると工藤は思っています。
一番分かりやすい差が
『衣擦れの音』に出ます。
プロの茶道家のお点前では衣擦れの音が鳴りません。
緩やかな動きが等間隔に舞うように続く時には布地の摩擦が起きないのです。
アマチュアの方々の動きは、脳の動きと体の動きが直で連動しているのが側で見ていて分かります。
(はい、この次は右手)
(で、次は左手と右手の二手)
動きの直前には『間』があって、(あ、そうだ右手だ!)
と、間を埋めるように素早く動かれるので『シュッ』と衣擦れの音が鳴ります。
茶道には音楽や演舞と同じような時間芸術性があり、静謐な中で行われるので小さな衣擦れの音でも腕の差になって表れてしまうのであります。
ただ、あまり神経質になると本来の『茶の湯を愉しむ』ところから離れてしまいますので、気にするのは程々で良いかと思います。
むしろ気にせずに
一旦覚えたら茶道から離れてみるのもお勧めです。
私が行っていたのが茶道をしながら交響曲を奏でるということでした。
頭の中で二つのことを同時に行うのです。
奥伝などですとお点前に40分くらい掛かるものもありますので、交響曲を奏でるのにちょうど良いのでした。
茶道以外のもう一つのことに同じくらい集中して、それでも手が間違えずに動くかどうかを訓練していました。
これができるようになると精神が解放されて自由になる感じがしました。
一度は集中して茶道に向き合って全部覚える。
覚えたところで、何か別の美しいものにも触れてみる。
音楽でも良いし、建築でも、美術でも、服飾でも、お料理でも、和菓子でも、学問でも、ガーデニングでも、アロマでも、書道でも、華道でも、香道でも…
とにかく自分の『好き』を広げてみる。
自分なりの美の王国を作ってみる。
人に話す必要はないのです。
早い段階で人に話すと浅はかに思われてしまいます。
黙して語らず。
ただただ自分の世界を深く深く掘り下げてみる。
その気持ちを大事にして味わいながら茶道にもう一度向き合ってみると…
右手とか左手とか、細かいところはどうでも良くなる。
『どうでも良いけれども間違えない』という不思議な感覚に落ち着いてくる。
そして心地良い。
当人が心地良いから見ているお客様も心地良くなります。
この状態が芸術であり
整うということのように思います。
誰がやっても同じお点前の筈なのに、そうではないのは、人それぞれ美の意識が違うからでしょう。
茶道だけに拘っている人のお点前には遊びが無くて窮屈な感じ
遊びすぎると散らかり過ぎて奔放でまとまりがなく…
バランスを取りつつ自分の美を創り上げるところに醍醐味がありそうです。