講師(宗夜)ブログ
●日本人らしさ、とは
日本人のマナー意識は素晴らしい。
メディアを通じて海外から頻繁に高く評価される日本人の気質。
礼儀正しく、丁寧で、勤勉
褒められれば嬉しい気持ちにもなるけれど、しかし時代によって評価とは変わるもの。
あまり調子に乗らない方が良いだろうと冷めた目で見る自分もいます。
私の学生時代、約30年前は日本人の気質は褒められることよりも貶されることの方が多かったのです。
その頃はすごい円高で日本企業の海外進出が激しく空洞化が起きていました。
その頃はこんな風に評されていました。
無表情
本音と建前の乖離が大き過ぎる
すぐに黙って何を考えているかわからない。
ではこの30年で日本人の気質自体が変わったのでしょうか?
そんなことはないでしょう。
いくつかの歴史的な文化の分断を経ても、日本人は日本人らしさを失うまいとその都度努力してきたように思います。
災害の時、日本では混乱に乗じた暴動は起きません。
騒ぐ人が皆無ということはないでしょうけれども、悪目立ちするのでやがて鎮まるようです。
先日、出勤のために最寄駅に行くと、長蛇の列が階段から伸びていました。
『ああ、事故か』
一瞬で誰もが悟り、静かに末尾に並びます。
階段で押し合うと大惨事になるので前が空いたら一歩ずつ控えめに進みます。
駅員に事情を訊ねる人もいましたがそれも数人で、しかも冷静に話していました。
赤の他人がこんなにも大勢に一箇所に集まっているのに、多人数を感じさせない静けさでした。
別日に、帰り道でも同じような事故が起こり、駅で足止めを喰いましたが、事態は全く同じでした。
誰もが静かに自分の順番を皆待っていました。
なぜ静かに順番を待てるのか?
子ども時代に言われた言葉が浮かびました。
『お天道様が見ているよ☀️』
おてんとさま。
なんと優しい響き。
これは言い換えれば『共感力』のように思います。
逆に、どうして関係のない人に八つ当たりするのかと疑問を持つくらいです。
駅員は悪くない
街に並ぶ店も悪くない
むしろ災害時には誰もが被害者。そのような中で駅員が一生懸命働いてくれる。感謝しかない。
その姿に愛する家族を重ねる。
『大変だよね、会社員は』
と思う。
もしかしたら…
これが自分の夫の別の姿かもしれない。
成長した子の姿かもしれない。
親のかつての姿かもしれない。
そんな風に思うと理不尽な怒りは湧いてこない。
それは私だけではないようです。
この気質はいつ培われたのだろうと、同時に思います。
世代の淘汰を経て、怒りを持ちにくい遺伝子が残ったのでしょうか?
近年、日本人の遺伝子の解析が飛躍的に進んでいるそうです。
実に多様な因子が大陸から、数度に渡り大規模にもたらされたことが解明されてきました。
数万人、数十万人という規模での人口流入があったその時代には言語も統一されておらず、かなり混沌とした世情だっただろうと専門家が語っていました。
それでもこの気質が形成された。
もしかしたら私たちは
『意識的に日本人になった』
のかもしれないと思いました。
山がちで平地が少なく、川の流れは急峻で大雨の度に氾濫や地滑りが起き、干ばつや虫害や地震も多い。
テリトリーの境目は大抵において川の流路で決められていたから、水を巡っての攻防戦は常に苛烈だったそうです。
一時的に利益を得ても、自然が相手となると、次には土地も財産も丸々失う恐れもあったろうし、災害時には好き嫌いを超えて協力しないといけません。
自分の代で利益を独占して恨みを買ってしまうと子や孫の代での営みが続かないとか、空気を読んで自身を律していかなければ生きていけない現実に常に直面していたのではと想像します。
長い時間と労力をかけて作られたこの気質は、ある意味私たちの財産と言えるでしょう。
ただ、最近はここに別の気質も身につけなければならないように思えてきました。
自分を守り抜く逞しさ
誠意を見抜く賢さ
もしかしたらこれらを身につけるには『お人好し気質』と引き換えになるかもしれません。
それも仕方ないでしょう。
歴史を学ぶと、所々で意識の転換期があることを知ります。
そしてまさに今がその時のように思います。
。。。。。。。。。。。。
自分を守り抜く逞しさと賢さを持て。
覚悟を持つと内側から力が湧いてくるはずだ。
神さまが守るのは、自助努力を継続する人だけなんだ。
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宗嘉先生からいただいた言葉です。
しかし覚悟は揺らぎやすく…
情報過多の昨今には焦りや恐れに苛まれることもあります。
だからこそ茶道。
茶道の精神がこれからの私たちの支柱となってくれるでしょう。
英傑は平和な時代には生まれません。
英傑は有名人とは限りません。
私たち一人一人が英傑。
その気概を持って生きていきたいと思います。