講師(宗夜)ブログ

2024-07-30 18:37:00

●文月之茶事

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7月の最終日曜日

よし庵にて続きお薄の文月之茶事が催されました。

今回はこぢんまりと3名さまのご参加。

テキストなどでは大抵お客様が3名ですので、今回が王道といったところでしょうか。

それならば、お客様のお作法に集中していただこうと考え、お点前は全て工藤が行いました。

 

皆さまにはよし庵公認のテキストを茶室にご持参いただき、ページをめくりながら進行に合わせてお作法の確認をいたしました。

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●淡交社『イラストでわかる茶懐石のいただき方』

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工藤は今まで色々な本を購入しましたが、上記が最も分かりやすくまとめられていてお勧めです。

茶事では同時進行でたくさんのことに気を配りますため、何かに気を取られると間違える可能性があります。

私にとってこの本は頼れる同僚のような存在です。

 

皆さま、お料理と談話の合間にテキストをご覧になられ、これはこれでリラックス出来るお茶事でございました。

 

宗嘉先生のお料理もゆったりと味わっていただけたようでした。

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《文月之茶事献立》

・向附:すずきの造り、水玉胡瓜、赤梅肉

・汁:合わせみそ かぼちゃ

・御飯:みょうが御飯

・椀盛:もずく入り卵豆腐、海老、椎茸

・預鉢:滝川豆腐

・焼物代わり:白身魚の米粉揚げ

・箸洗い:とうもろこし

・八寸:鴨のロースト、なすの煮浸し

・香物:たくあん、きゅうり、大根

・菓子:練り切り『桃』

干菓子『胡麻チュイール』

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●向附:すずきの造り、水玉胡瓜、赤梅肉

プリプリで新鮮なすずきのお造り。

光の当たり方によって虹色に表面が輝きます。余分な水分は一切なし。

旨みが凝縮されているのは丁寧な下拵えのしるし。

目にも涼やかな水玉胡瓜と共に、赤梅肉でさっぱりといただきます。

 

●汁:合わせみそ かぼちゃ

赤味噌強めのこくのあるお味噌汁。

真ん中には夏のお野菜、かぼちゃが鎮座しております。

蓋を開ければお味噌のいい香り。

塩味がかぼちゃの甘みを一層に引き立てて…。

先人が繋いでくれた発酵の技に感謝の一椀です。

 

●御飯:みょうが御飯

最初は一文字飯で、飯器の持ち出しにてみょうが御飯をお出ししました。

ほんのり出汁醤油の味付けにて、シャキシャキとしたみょうがの食感と共に御飯をお楽しみいただきました。

『なんでだろう。大人になるとみょうがって本当に美味しいのよねぇ!!』

『うん、うん☺️☺️☺️』

激しく同意。

 

●椀盛:もずく入り卵豆腐、海老、椎茸

『わぁ、きれい』

丸い椀に四角い卵豆腐

海老と椎茸が絵画のモチーフのよう。

まずは香りを楽しみ、その次にお汁を楽しみます。

ふわりと鼻に優しく抜けるお出しの香りと旨み。

もずく入り卵豆腐は、きれいな四角い形をギリギリに保つ柔らかさ。

口に含めば瞬時にホロホロともずくが解けます。

卵豆腐は出汁の旨みをたっぷりと吸い、卵の旨み甘みと共にもずくが磯の香りも届けてくれるのです。

海老はシコシコと甘く絶妙な食感。

椎茸は噛むと向こうの方から山の土の香りがやって来る感じ。

山の中の少し湿った土の香り。

海に囲まれ、尚且つ山がちな日本の自然を一椀で表現したような一品でした。

 

●預鉢:滝川豆腐

ん?イクラが乗っているのかな?

ノンノン☝️

タピオカをパプリカ色素で色付けしてみました。鮮やかでありながら豆腐の穏やかな風味を邪魔しません。

わさびの風味でつるりと…。

清流を想起させる爽やかな小鉢。

 

●焼物代わり:白身魚の米粉揚げ

サクッと軽い米粉揚げ。

夏野菜も米粉揚げ。

暑い夏。野菜からも元気をいただきましょう。

バジルソースを添えました。

バゲットに見立てた油麩にはチリソースを乗せて洋風に。

 

●箸洗い:とうもろこし

薄味のお汁にとうもろこしを数粒浮かべました。

お口を程よくクレンズして夢から現へと心も整えます。

 

●八寸:鴨のロースト、なすの煮浸し

鴨は茶懐石では海のものと捉えられいます。柔らかくローストしました。

なすの煮浸しは一晩掛けて、たっぷりと汁を吸わせてあります。

飾り包丁で綺麗に表面をお化粧。

じゅわーっと旨みが広がります。

 

●香物:たくあん、きゅうり、大根

湯桶と共に、香物をいただきます。

するすると喉を滑る柔らかな湯。

やや白く濁り、表面がところどころに千切れたお米の粒々が漂います。

私たち日本人は、赤ちゃんのときに離乳食としてお粥の上澄みをいただきます。

他国の方からは『味がない』と思われてしまう、お粥の上澄み。

上澄みから始まって、10倍粥、7倍粥、5倍粥、全粥と、1年をかけてゆっくりゆっくりと米に慣れていきます。お母さんは本当に大変。

毎回手間が掛かります。

でもその手間により、舌の味蕾(みらい:味のセンサー)を潰さず、ほんの少しの微妙な味わいを愉しむ味覚が育ちます。

香物は糠漬け。

お米の糠を発酵して作られる漬物。

糠…。現代であれば捨ててしまうでしょう。よほど食べるものに困らなければ目に食材とは映りません。

自分たちのルーツを確認するかのような茶懐石のお料理。

年齢と共に愛情を持って心が傾く日本料理の数々。

今回も美味しゅうございました。

 

宗嘉先生の心尽くしのお料理。

皆さまに存分に味わっていただき、その後のお点前へと続きました。

 

千鳥の盃のあたりで、工藤は下火を入れ始め、お料理の終了の後に炭手前をいたしました。

お正客さまには所々でお道具を亭主に訊ねていただきます。

亭主が釜を紙釜敷に置いたあたりから問答が交わされます。

。。。。。。。。

正客:緘は

亭主:寒雉でございます

正客:羽は

亭主:鴻鶴でございます

正客:火箸は

亭主:浄益でございます

正客:炭斗は

亭主:網代籠でございます

正客:灰器は

亭主:黄瀬戸でございます

正客:灰匙は

亭主:浄益でございます

正客:どうぞ香合の拝見を

亭主:(お辞儀)

正客:どうぞ風炉中拝見を

亭主:(お辞儀)

・・・風炉中拝見・・・

・・・薬罐による水足し・・・

・・・亭主水屋に下がる・・・

・・・客の香合の拝見・・・

・・・亭主入室、風炉清め、蓋を切る・・・

正客:お香合は

亭主:八角形螺鈿香合でございます

・・・茶道口にて主客総礼・・・

・・・主菓子持ち出し・・・

。。。。。。。。

 

●お菓子:練り切り『桃』

可愛らしい桃の形の練り切り。

中には本物の青い桃、若桃が包まれています。

桃の搾り汁が混ぜられた練り切りは、薄いピンクと白い生地とのグラデーション。

繊細な手仕事を思わせます。

 

お菓子をお召しあがりの後に、床などの拝見を済ませて、腰掛け待合に移動。そして後座へと移り、続きお薄のお点前となりました。

 

今回はお正客さまの本来のお役目をたっぷりとお願いすることが出来ました。

特に炭手前ではお道具を訊ねるタイミングが大切なポイントです。

これらはご自身が炭手前をよく知っていることが肝要となります。

お正客さまは、何度も亭主役をなさられて、よくよくご存知でいらっしゃいました。

客と主の滑らかな問答が見せ場。

『一座建立:いちざこんりゅう』を体現したようなお茶事となりました。

お次客さまは初々しく。

御詰は風格あるベテラン気質でお任せができました。

 

夏の暑い一日。

季節の輝きを一枚切り取ったようなお茶事となりました。