講師(宗夜)ブログ
●成功のヒントは裏方にあり
よし庵には成功へのヒントを求めて国内外から会員さまが訪れます。
能力をお持ちで努力もしている。
しかし、ヒントを求めにやって来るということは、今のところご自身の理想には届いていらっしゃらない。
自分に何が足りないのか。
何が何でもそれを知りたい。
それを得るために来たのだから。
目には野心の光が宿ります。
このような方々はどなたも共通してある行動をなさいます。
お稽古が終わった直後から宗嘉先生に質問を繰り出されます。
あれは?これは?
宗嘉先生は時間を掛けて丁寧にお答えになられます。
他の方々は静かに後片付けや次のお点前の準備をなさっています。
当たり前のように、粛々と。
先生のお話の邪魔をしないよう、他の生徒さまのお点前の邪魔をしないよう、言葉を交わさずに目の動きで互いの意思を通わせています。
よし庵の生徒さま同士は、目の動き一つで相手の気持ちを正確に読み解くことができるのです。
成功…
成功とは何なのでしょう。
並み居る同僚から頭をひとつふたつ抜き出し、いち早くゴールを決めることでしょうか?
果たしてそれは可能でしょうか?
懸命に半世紀ほどを生きてきた。
相手も同じです。
相手の専門分野に入ったなら歯が立たないでしょう。
茶道を趣味に持とうと考える生徒さまは、元々のポテンシャルが高いのが特徴です。
ではそんな中でどうしたら指導力を発揮できるのでしょうか?
秘訣は裏方の仕事にあります。
人間の目、特に主婦の目はとても敏感で、埃ひとつを見逃しません。
主婦だから。
家族の健やかな生活を預かっている身だから、責任感の強さから自然とそうなります。
まずは自分が裏方の仕事を丁寧にします。
そうすることで周りからの共感を少しずつ得ることが出来ます。
無理して頭を出そうとせず、相手に寄り添い共感を得て、そっと背中を押してもらいましょう。
そう考えると…
どうでしょう?
忙しく立ち働く他の生徒さまに、そのまま水屋仕事をさせていて良いのでしょうか?
よし庵には表舞台で主役を張れる生徒さまがたくさんおられます。
しかしそのどなたもが、水屋仕事も同じように丁寧にしてくださいます。
水屋では一人に仕事が集中しないように、仲良く代わりばんこ。
紐の掛け方が違っていたら
『それ違うわよ』
と優しく声を掛けてフォローしています。
先日の真之茶事でも嬉しい出来事がありました。
宗嘉先生による締めのお点前
『台子薄茶』のお席でのことでした。
工藤は数茶碗をお出しするため、隣の茶室にて控えておりました。
襖の隙間から状況を伺っていました。
干菓子器がお客様に回されていきます。
ふと見ると、末席のお客様が干菓子を取る時に動きを止められました。
どこか一点を見つめておられるようですが、工藤の場所からは視線の先が見えません。
この時にフォトグラファーの太田さんが即座に動いてくれました。
ティッシュを持って、視線の先にあるものをサッと取り除いてくれたのです。
小さな虫がいたようでした。
ここで合点が行き、工藤もすぐに動いて太田さんからティッシュを受け取りました。
無言の連携プレー
チームよし庵を感じた瞬間でした。
虫がいても声を立てずにじっとしていてくれた末客は、社中の生徒さまでした。
お席の雰囲気を損なってはいけないと判断してくださったのでした。
その変化にいち早く気付き、何の躊躇いもなく対処してくれたのは、やはり社中の生徒さまの太田さんでした。
お二人の心の優しさ。
そして全体を見渡す視界の広さ。
成功が何なのか、私にもよくわかりません。
ただ、このように心の通う瞬間がとても嬉しくて幸せです。
これが、ずっと私が求めていた幸せなのでした。