講師(宗夜)ブログ
●書道も武道である
先日、書道展に向けた特別稽古に参加してきました。
在籍している書道教室にて、仮名小筆の作品を出させていただくことになり、ご指導を賜りました。
いつもお教室に伺うときには、身が引き締まります。
ご参加の皆さまも同じ思いのようで、静かにお教室が開くのを待っていました。
ドアが開かれ、ドッと中に入り、それぞれがご自身のスペースにて早速に準備に入ります。
20名ほどの大人が一つの広間に集まっているのですが、まるで誰もいないかのような静けさ。
目の前の仕事に集中して、無駄口を叩く人は一人もいません。
30分ほど集中したあとで、ふっと空気が和んできて、静かなのに言葉を交わさないのに不思議な一体感が芽生えました。
工藤は小筆なので半紙に向かっていますが、皆さまのほとんどが大きな作品を仕上げていました。
全紙や、条幅と呼ばれる大きな紙に四つん這いになって向き合っておられました。
『じゃあ僕書きますんで、筆の運びを見たい方どうぞ』
先生からお声が掛かり、工藤も近くまで寄らせていただきました。
『ドン、と突いてここで筆を持ち上げて筆先を捻じる。次の足の着地点はここ。で、こうやって身体をひねって身体ごと書く』
(これが、書道か…)
驚きの連続でした。
武道ではないかと思いました。
またマネージメント能力も必要です。
『筆に含まれる墨汁の量を計算して、一字に掛ける時間を割り出します。紙に筆を下ろすギリギリまで、筆は床と並行を保ってください。
垂直にすると墨がどんどん下に降りてきますからね。』
(そこまで気を使うのか…)
すごい世界だと思いました。
工藤は小筆のお稽古をしています。
一時期に太筆にも挑戦したのですが、どうにも難しく。
太筆は座学のみとし、実践は断念しました。
太筆での技術が小筆でも使われるので、どちらも出来れば本当は良いのですが、時間と労力の兼ね合いもあります。
大人としての現実的な判断で、改めて小筆に集中することにしました。
私は手の平に収まる小さき世界を大切にしていこう。
気を取り直して自分の世界に入り直し、先生にアドバイスを仰ぐと
『この部分とこの部分の墨色の違いに気づきましたか?』
とのこと。
(んんんんん…?)
『こちらの方が少しだけ濃いでしょ?こういうところに気付いて』
(深い…。書道の海も深かった)
そして見渡せば、上級者のオーラの高さよ。
おそらくご参加者のほとんどが既に先生として地元でお教室を開いておいででしょう。
どなたもプロの風格をお持ちでした。
お使いのお道具も高価なものです。
まず第一に紙が高い。
安い紙は墨汁を弾きますので、本物の紙で練習しないと意味がありません。
高い技術で作られた大きな大きな和紙。
失敗したくないのが人情ですが、失敗を重ねないと上手くならない。
そのせめぎ合い。
墨汁も高い。
安い墨汁とは紙への浸透率が異なりますので、こちらも本物の墨汁で練習する必要があります。
高いけれども価値がある。
良いものを使うことで集中力が鍛えられる。
書道も、茶道も、着物も、みんなおんなじだなぁ、と思いました。
簡単に良いとこ取りは出来ない。
ここにも禅の精神が存在しました。
さぁ気持ちを込めて。
真之茶事の茶会記と、お献立の筆に向き合いますか。
茶人には茶人の書がありましょう。