日本酒とワイン
お酒の味は水で決まる
山梨といえばワイン!なイメージですが、日本酒も勿論造られています。
お米が原料の日本酒ですが、味わいは使っている水で特徴がでるのです。山梨県はミネラルウォーターの生産出荷数が日本一。つまり日本一の水の産地!富士山系、甲斐駒ケ岳系、八ヶ岳系、秩父山地系などたくさんの水源があり、山紫水明の水の郷なのです。
もちろん酒米にも酒蔵ごとにこだわりがあります。近年は地元産の酒米を使う銘柄も増え、水と米で真の「地酒」を味わうことができるようになってきました。
酒蔵それぞれの味わいをお楽しみください。
甲州が好き
店名が甲州屋ですので、日本固有品種である「甲州」を使ったワインに力を入れています。
気軽に楽しめるグラスワイン、醸造方法や産地などの特徴があるボトルワインを多数在庫しております。
もちろん他の品種のワインもたくさんありますが、在庫するワインは全て山梨産のぶどうで造られたワインです。ワイナリーを訪ね、ぶどう畑や醸造設備を見学させていただき、醸造家さんの話を聞いてからお客さまに提供しています。
ワイナリーの空気を感じて選んだワイン達。
日本産ならではの繊細な味わいをお楽しみください。
ワイナリー情報も豊富
◎新酒まつりや各種イベント、ワイナリーマップなどの情報もご案内しています。お気軽にお尋ねください。
◎時期によりワインのラインナップが変わります。在庫状況や飲みたいワインなど、なるべく期待に応えますのでご相談ください。
◎ワインの持ち込みは事前にご相談ください。持込料・1本(750ml)2000円
取扱いワイナリー
サドヤ(甲府)
本坊酒造山梨マルスワイナリー(石和)
中央葡萄酒・グレイスワイン(勝沼)
マルサン葡萄酒(勝沼)
シャトージュン(勝沼)
くらむぼんワイン(勝沼)
ダイヤモンド酒造(勝沼)
勝沼醸造(勝沼)
旭洋酒・ソレイユワイン(山梨市)
ルミエール(笛吹)
アルプスワイン(笛吹)
甲斐ワイナリー(塩山)
塩山洋酒工業(塩山)
三養醸造(塩山)
機山洋酒工業(塩山)など
甲州という名前のぶどう
山梨の昔の地名が甲州なので、甲州ワインと聞くと「山梨産のワイン」と思う方も多いのですが、甲州という品種名のぶどうがあるのです。そして、甲州は白ワイン用の品種になります。
甲州ぶどうは約1200年前から山梨で育っていたとされ、シルクロードを経て日本に伝来されたと考えられており、江戸時代には名産として重宝されていた記述もあり、地名と同じ「甲州」と名前をつけた事でも土地を代表する産物であったことは明白です。
甲州は日本の固有品種。グレイッシュピンクの実をつけ、耐病性が強い。
ぶどうには様々な種類があり、遺伝子学的にも細かく分類されます。甲州ぶどうは長い間、食用として愛されてきたぶどうですが、近年のDNA検査によりワイン醸造用品種[ヴェニティス・ヴェニフェエラ種]が75%も含まれる事がわかりました。
つまり、甲州ぶどうはワインに適したぶどうだったのです!
世界で飲まれるワインに
ワインは世界中で飲まれ、醸造されるものですが、その土地の固有品種を持つ国は少ないそうです。そういう意味でも甲州ぶどうは日本人として誇るべき品種であり、大切に守り育てる必要があるぶどうだといえます。
そしてワインが世界中で飲まれるものであるなら、甲州ワインも世界中で飲まれなければ生き残れません。井の中の蛙のままでではワインワールドで通用しないのです。
2010年1月、甲州ワインは繊細にしてシックな日本ワインとしての地位を確立するために、ヨーロッパへのプロモーションとしてロンドンで試飲会を開き、世界へのアピールを始めました。
さらに2010年4月、日本固有品種で初めて葡萄ワイン国際機構に品種登録され、輸出の際「koshu」とラベルをつけ出荷できるようになりました。「和食」にあうワインとして注目されているのです。
近年は海外のワインコンクールでも入賞するワインも増え、世界基準の実力をつけてきました。
2018年10月には日本ワインにはぶどうの産地を明確に記述することが義務付けされました。
GI.Yamanashi と明記されたワインは100%山梨産のぶどうを使用したワインです。
(GI とはgeographical indications [地理的表示]の略。)
ワイナリーへ行こう
ワインには造り手の個性が出てきます。醸造家の顔が見えるとワインの味わいも深くなります。
ですので、山梨県内や東京都内で行われる試飲イベントや販売会などに醸造家さんが来ることも多いのでぜひ会って欲しいです。イベントはお店の中でも告知してますし、ブログでもお知らせしてしています。
でもね、できれば山梨に行って、ぶどう畑を見てもらいたい!ぶどうの育った土地の特性も感じて欲しい。甲府盆地のすり鉢状の地形は面白くて、川沿いの畑、山の斜面にある畑、標高の違いで本当にぶどうの味が違います。
人間力 × 土地 = ワイン というのが感じられるのです。
フランスやチリの産地を訪ねるのは大変ですが、山梨なら新宿から特急で約90分です。そしてワイナリーも見学や試飲できる所が多く、駅近のワイナリーもありますし、ワインタクシー等で巡ることもできます。
また季節ごとにワインツーリズムなどの企画もあり、ワイン産地を体感するイベントも用意されています。ぜひ参加してみてください!
チーム山梨、チーム日本
現在、山梨に約80社のワイナリーがあり、醸造家は本場フランスで修行した人も多数。そして山梨大学にはワイン醸造学科があり、科学的なアプローチも身近に存在しています。
確かな技術のもと「 美味しいワインは美味しいぶどうから 」というポリシーのある畑作り、ワイン造りを目指しています。もちろん、甲州だけでなく、日本の交配品種や欧州品種も意欲的に育成。ぶどう果実の濃縮度を高める欧米式の垣根仕立てのぶどう畑も多くみられるようになりました。
日本人に受け入れてもらうワイン。
そして、世界で勝負するワイン。
先人達の努力と10年先100年先を考えてつくるぶどう畑と品種の改良、ワイン醸造技術の向上に努力している彼らの姿が投影されるワインにはいつも勇気をもらえます。
私たちはワイナリーを訪ね、ぶどう畑を見て、山梨の空気を感じながら選んだワインを取り揃えております。
日本のワインの歴史を感じつつ、単純に「おいしく」呑んでもらえれば、嬉しいですね。
農民のための葡萄酒
明治初期、文明開化の気運のもと欧米並みの事業をおこそうと国家は盛り上がっていました。明治政府は主食の米を使わない酒としてワイン造りを奨励しました。
勝沼ではいち早くワインづくりをはじめ、二人の青年をフランスに実習生として派遣しています。
米の育ちにくい土地の勝沼にとって「葡萄酒(ワイン)」は農家の生活を支える主要農産物でした。
江戸時代には名産となった甲州ぶどうでしたが、冷蔵庫の無い時代、食用だけでは日持ちもしません。葡萄酒に加工することで長期保存が可能になり、年間の販売収入が得られるのです。
明治32年、川の水害に襲われた勝沼では傷がつき出荷できないぶどうが大量に発生し、農家は大打撃を受けました。その時、現在のメルシャンの元になる大黒天印甲斐産葡萄酒の宮崎幸太郎が傷んだぶどうを買い上げます。ぶどうは生食や輸送はできなくてもダメになったぶどうを取り除いてワインを造ることができたからです。それから勝沼の農家は葡萄酒を地酒として冠婚葬祭や日々の晩酌にも使うようになったそうです。また現在でもお祭や地鎮祭などでも一升瓶のワインが使われています
戦時中でも造られたワイン
明治時代、国の一大事業であったワインづくりでしたが、当時の人たちにはワインが日本酒の様に日常酒として受け入れられませんでした。ですから「甘くて美味しい」「飲めば体に良い」「滋養強壮、産後に良し」など健康食品的なイメージで売りました。何としてでもワインを売らなくては、ぶどう農家が立ち行かなくなってしまうからです。
しかし、戦争が始まると状況が変わります。第一次世界大戦時には衛生用品として、第二次世界大戦時にはワインから採れる酒石酸が潜水艦の音波探知機に使えるためワインづくりは国から奨励されます。
そのため戦時中であってもぶどうは育てられ、ワインを造る施設は活躍し続けたのです。
生き残るために
長い間、日本のワインは本来の「酒」としての役割を日本人に認められずにいました。山梨でも昭和の時代では旅行の際のお土産ワインが生産の中心。それは甘口タイプが主流でした。
ですが、食の西洋化、食の多様化に合わせてワインは生活のなかに浸透しはじめます。
わずかですが山梨でも辛口のワインはありましたが、世界中から輸入されるワインに勝てる状態ではなかったのです。
お土産ワインを作り続けるか? だけど先細りは明らかで、数年後の産地消滅は確実。
本格的なワインに挑戦するのか⁈ しかし造っても売れる保証は無い。在庫を抱えて収入がなければ倒産するかもしれない。
ワイナリーは恐ろしい二択に迫られます。。。そして後者を選び、世界に通用するワイン造りを始めたのです。
これはやはり、甲州というぶどうがあったからこその選択だったのではないでしょうか。
100年後には
江戸時代からの名産・甲州ぶどう。葡萄酒は農民を救い、2度の戦争も乗り越えて生き抜く源だった。しかし、食用としては巨峰やデラウエアに地位を奪われ、生産は減少。このままでは絶滅するかもしれない、そんな状態になってしまった甲州ぶどう。
山梨は甲州ぶどうを捨てられるのか? という選択でもあったと思います。
時代は令和。山梨は世界に認められるワインを産み出しています。
そして、日本のワインラバー達にも美味しいワインとして愛されています。
ここにたどり着くまでには、並々ならぬ努力と悔し涙を流す日が多々あったでしょう。
100年後、フランスのボルドーやブルゴーニュのようにワイン産地といえばヤマナシ!と世界中の人から望まれる為に、今できる事は何なのか? いずれメルロやシャルドネのように甲州が世界中で栽培される時代が来るかもしれません。
甲州のワインが世界の人たちに認められ始めたこの時代に、一緒にワインを飲める。なんて幸せでしょう!
世界のトップに挑戦するワインも、毎日の食卓にのって気軽に飲めるワインも、どちらも大好きです。