日本酒とワイン

甲州ぶどう

甲州という名前のぶどう

山梨の昔の地名が甲州なので、甲州ワインと聞くと「山梨産のワイン」と思う方も多いのですが、甲州という品種名のぶどうがあるのです。そして、甲州は白ワイン用の品種になります。

 

甲州ぶどうは約1200年前から山梨で育っていたとされ、シルクロードを経て日本に伝来されたと考えられており、江戸時代には名産として重宝されていた記述もあり、地名と同じ「甲州」と名前をつけた事でも土地を代表する産物であったことは明白です。

 

甲州は日本の固有品種。グレイッシュピンクの実をつけ、耐病性が強い。

 

ぶどうには様々な種類があり、遺伝子学的にも細かく分類されます。甲州ぶどうは長い間、食用として愛されてきたぶどうですが、近年のDNA検査によりワイン醸造用品種[ヴェニティス・ヴェニフェエラ種]が75%も含まれる事がわかりました。 

つまり、甲州ぶどうはワインに適したぶどうだったのです!

世界で飲まれるワインに

ワインは世界中で飲まれ、醸造されるものですが、その土地の固有品種を持つ国は少ないそうです。そういう意味でも甲州ぶどうは日本人として誇るべき品種であり、大切に守り育てる必要があるぶどうだといえます。

そしてワインが世界中で飲まれるものであるなら、甲州ワインも世界中で飲まれなければ生き残れません。井の中の蛙のままでではワインワールドで通用しないのです。

 

20101月、甲州ワインは繊細にしてシックな日本ワインとしての地位を確立するために、ヨーロッパへのプロモーションとしてロンドンで試飲会を開き、世界へのアピールを始めました。

さらに20104月、日本固有品種で初めて葡萄ワイン国際機構に品種登録され、輸出の際「koshu」とラベルをつけ出荷できるようになりました。「和食」にあうワインとして注目されているのです。

近年は海外のワインコンクールでも入賞するワインも増え、世界基準の実力をつけてきました。

 

201810月には日本ワインにはぶどうの産地を明確に記述することが義務付けされました。

GI.Yamanashi と明記されたワインは100%山梨産のぶどうを使用したワインです。

GI とはgeographical indications [地理的表示]の略。) 

ワイナリーへ行こう

ワインには造り手の個性が出てきます。醸造家の顔が見えるとワインの味わいも深くなります。

ですので、山梨県内や東京都内で行われる試飲イベントや販売会などに醸造家さんが来ることも多いのでぜひ会って欲しいです。イベントはお店の中でも告知してますし、ブログでもお知らせしてしています。

でもね、できれば山梨に行って、ぶどう畑を見てもらいたい!ぶどうの育った土地の特性も感じて欲しい。甲府盆地のすり鉢状の地形は面白くて、川沿いの畑、山の斜面にある畑、標高の違いで本当にぶどうの味が違います。

人間力 × 土地 ワイン というのが感じられるのです。

フランスやチリの産地を訪ねるのは大変ですが、山梨なら新宿から特急で約90分です。そしてワイナリーも見学や試飲できる所が多く、駅近のワイナリーもありますし、ワインタクシー等で巡ることもできます。

 

また季節ごとにワインツーリズムなどの企画もあり、ワイン産地を体感するイベントも用意されています。ぜひ参加してみてください!

チーム山梨、チーム日本

現在、山梨に約80社のワイナリーがあり、醸造家は本場フランスで修行した人も多数。そして山梨大学にはワイン醸造学科があり、科学的なアプローチも身近に存在しています。

確かな技術のもと「 美味しいワインは美味しいぶどうから 」というポリシーのある畑作り、ワイン造りを目指しています。もちろん、甲州だけでなく、日本の交配品種や欧州品種も意欲的に育成。ぶどう果実の濃縮度を高める欧米式の垣根仕立てのぶどう畑も多くみられるようになりました。

 

日本人に受け入れてもらうワイン。
そして、世界で勝負するワイン。

 

先人達の努力と10年先100年先を考えてつくるぶどう畑と品種の改良、ワイン醸造技術の向上に努力している彼らの姿が投影されるワインにはいつも勇気をもらえます。

 

私たちはワイナリーを訪ね、ぶどう畑を見て、山梨の空気を感じながら選んだワインを取り揃えております。

 

日本のワインの歴史を感じつつ、単純に「おいしく」呑んでもらえれば、嬉しいですね。

 

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