日記
フェラーリ・テスタロッサ ②
以前にこの日記でも紹介したフェラーリ・テスタロッサがギアボックスの交換を終えて再びご入庫されました。
同時に劣化の見られた足回りのゴムブシュも交換していただき、残すところはホイールアライメントと細々とした部品の復元だけとなります。
念のために以前の整備で触ったボルトナット類は全て締め付け点検をし、ついでにタイヤのガタも確認します。
問題がないことが確認できたので車両にセンサーを取り付け早速アライメントを開始します。
調整前がこちら。
赤く表示されている数値はその位置に対応したアライメントの基準値から逸脱していることを表しています。
フレームを動かしたのでこの結果は予想できていましたが、正直なところ予想よりもずっとまともな数値が出てきて内心ほっとしています。
ちなみにこの車両は以前に日記に載せたコルベットC2と同じく調整シムの厚みによってアライメントを調整するタイプです。
上の写真は左が後輪側、右が前輪側の写真ですが、左の写真ではロアアームとフレームの付け根部分、右の写真ではフレーム中央のスリットの中に調整シムが 入っています。
ちなみに左の写真では調整途中の為、奥側の調整シムを全部抜いておりロアアームとフレームに隙間ができているのがわかります。
こちらが調整シム単体の写真です。
こうして重ねると厚みが色々ある事がわかりますね。
理屈としてはこれらの調整シムを上手く組み合わせて上の写真にあった隙間に一つの足につき二か所ずつ、計8か所に入れてタイヤの傾きに変化をつけることにより、アライメントを調整していくイメージです。
ちなみに、現代ではこういった調整がある車両は偏心ボルトを使用したカム調整式が主流で、こちらはシームレスに数値に変化をつけることができるのに対して、シム調整式はシムを薄くすることで細かくはできますが段階的な調整しかできません。
なのでカム調整式と比べてどうしても大味な調整になってしまいますが、なるべく良い数値を出すために調整シムの組み合わせを探す必要があります。
そして調整後がこちら。
時間は掛かりましたが、数値はかなり理想値に近づけることができました。
正直、シム調整でここまで綺麗に揃うことも珍しいです。
これなら自信を持ってお車をお返しできます。
最後にライナーやリップスポイラーを取り付ければ完成です。
やはりスポイラーが付くと顔がグッと引き締まりますね。
本日は珍しいお車でのご入庫ありがとうございました。
クラウンスポーツ
最近はクラッシックカーばかり紹介していましたが、今回紹介するのはこちらのトヨタのクラウンスポーツ。
本日はアークバリア21のコーティングでご入庫いただきました。
クラウンといえば高級セダンというイメージが強いですがこちらはSUVを採用しており、従来のクラウンの落ち着いたイメージとは少々異なる印象を受けます。
最近のトヨタはカローラやヤリスのように一種類の車に多数のボディタイプを販売するケースが多く、このクラウンも実はセダン、クロスオーバー、スポーツなど現在四種類を展開しています。
その中でもこのクラウンスポーツは「俊敏でスポーティーな走りが楽しめる新しい形のスポーツSUV」と名を打っており、後輪の操舵が可能なのDRSや走行状況に応じてショックアブソーバーの減衰力を制御するAVSなど、操作性や乗り心地への力の入れようが伺えます。
さて、説明もそこそこに、早速作業に移っていきましょう。
こういった鮮明なボディカラーはコーティングをすると艶が出てとても映えるので完成が楽しみです。
ちなみに途中の写真は今回も例をもれずありません。
…どうして。
写真がないので文面だけの説明になりますが、工程としては水洗い洗車→アルカリ洗剤での洗車→中性洗剤での洗車→約一日程度の乾燥→ガラスコートの塗布→保護剤の塗布となります。
洗車を三回したのちに水気をしっかり飛ばす為に乾燥と、実はコーティング前の下準備の方が時間がかかっていたりします。
ちなみにこの工程はあくまで新車に施工する場合なので、中古車に施工する場合は塗面の使用感を軽減する為に磨き作業が加わります。
そして完成後がこちら、
…写真だと残念ながら何が変わっているかわかりにくいですね。
実物を見ると艶と光沢が益したのを実感することができたのですが、上手く伝わらずに少し残念です。
ちなみにこちらのコーティングですが、一度施工すると基本的に経年劣化や風化はしないので削り取ったりしない限りは落ちることはありません。
金額は消して安いとは言えないコーティングですが、ご興味がございましたらぜひいかがでしょうか?
フェラーリ・テスタロッサ
フェラーリ・テスタロッサは1984年から1992年まで生産されていたイタリア製の高級スーパーカーです。
その特徴的な見た目は日本の高級スポーツカーとはまた違う気品を感じます。
ちなみに、車名であるテスタロッサとはイタリア語で「赤い頭」という意味があるらしく、エンジンのカムカバーが赤く塗られていることからこの名がついたそうです。
さて、そんなとっても珍しいスーパーカーですが、どうやら一つ問題を抱えているそうで。
それはリヤタイヤとリヤフェンダーの出入りが左右で大きく異なっており、左ホイール側にはスペーサーを入れないとタイヤの出入りが対称にならないようです。
原因を究明するために車両をフレーム修正機に乗せて各部フレームの寸法を確認していきます。
するとリヤタイヤ付近のフレームの寸法が左右で異なっている事が判明、どうやらリヤタイヤの左右差の原因はフレームのゆがみによるもののようです。
早速フレームの修正作業取り掛かります。
ロアアームやショックアブソーバーなどを取り外してから、いつものようにジャッキを用いてフレームに負荷を掛けながら寸法に近づけていきます。
珍しい車だけに勝手がわからず時間は掛かりましたが苦労の甲斐もあってフレーム修正完了後はタイヤの出入りの左右差もだいぶ改善されておりました。
後はアライメントを調整すればより綺麗に整うと思われますが、ここでフロントホイールにガタが発生していることが判明。
原因はどうやらギアボックスにありそうですが、部品の入荷や交換はにはまだまだ時間がかかりそうです。
そもそも当社の道具ではテスタロッサのギアボックスを交換する道具がそろっているかも不明なのでやむを得ず、一旦依頼元の整備工場様にお車をお返しして部品の注文と交換をお願いすることにしました。
部品の交換が終わったらアライメントで再び入庫していただく予定ですので、アライメントの記事を書くのはまた日が大きく空きそうです。
マーチ②
気が付けば前回の更新から随分と日が開いてしまいました…。
中々時間が取れず気が付けば数か月…、更新を忘れていたわけではないのですよ。
さて、気を取り直して以前紹介したマーチの話が途中だったので続きを紹介しようと思います。
下の写真は錆びた鉄板を切除しているところです。
どうやらこの車は過去何度か応急的修理を繰り返していたようで、色々な個所に修理後が確認できました。
以前からこの箇所の錆で四苦八苦していたようです…。
ちなみに穴は車内まで続いてました。
この後も腐食した鉄板を数か所切除、新しいパネルの熔接していきます。
間の過程を一部省略していますが、おおよそ形ができるまではこんな流れです。
この後も下処理や均し、塗装などの過程を経てようやくもとにもどるのですが…、これ以降の写真が撮れておりませんでした。
勿論作業は問題なく進み、お車も納車済みなのですが完成後の写真が載せられず残念です…。
なんとも中途半端な内容にはなりましたが、以上でマーチの日記は終了となります。
ご入庫ありがとうございました。
マーチ
時代を感じる角ばった外観にコンパクトなボディ。
こちらは日産マーチの初代モデルです。
当時1982から1992まで十年間もの間販売されており、様々な特別使用車が販売されました。
また、この初代マーチをベースにデザインを一新した「パイクカー」と呼ばれる派生車両も存在します。
さて、今回のご依頼はステップ部分の腐食の修理です。
写真だと分かりづらいですが、腐食の一番ひどい箇所は2~3cmくらいの穴が開いていました。
ボディに穴が開くほどの腐食となると、ボディ内部の腐食もなかなか凄まじいことになっていそうです。
果たして中身はどうなっているのか…。
ボディをめくれば案の定現れた錆の塊。
予想はしていましたが、これはまた一筋縄ではいかなそうな作業です…。