脳・神経が?

急に起こった神経症状は要注意
 神経系がおかしくなった時に現われる症状は,① 意識障害は言うまでもなく,② 言葉の障害,③ 運動機能の障害(麻痺,筋力低下,失調,ふるえ),④ 知覚(とくに視覚,聴覚,触覚)の異常,⑤ 平衡感覚の異常(めまい)などがあります.これらが急に出始めたときは脳や神経系の病気を疑わねばなりません.
 神経症状は必ずしも脳の異常(脳神経内科/外科の守備範囲)を示すわけではありません.脊髄や四肢末梢の神経伝達が障害を受けておこることもあります(整形外科の守備範囲が多い).また,神経は大丈夫でも感覚器官(目や耳など)が悪くて「視覚,聴覚」の異常が出ることもあります(眼科や耳鼻科の守備範囲です).ただし,原因がどこにあっても,急に起こった神経症状は要注意です.
 当院では,①原因がどこにありそうか,②治療を急ぐ必要はあるか,という2点を判断して,必要なら専門医へ紹介します.

脳卒中の初期サインは     言葉
 神経系の病気で最も急ぐのは脳卒中(脳出血、脳梗塞)です.とくに脳梗塞は,発症から治療開始までの時間が短いほど後遺障害が少なくてすむからです.
 ごく軽い麻痺を見つけるために,救急隊員は次の3点を素早くチェックします.
 Face:歯を見せて笑うように指示すると,顔の片側だけ動きが悪い
 Arm:両腕を前方に水平にあげて保持させると,片側だけ下がってくる
言葉 Speech:話す言葉が不明瞭であったり,まちがう
 こうした症状が疑われたら,迷うことなく救急車です.


頭痛 そのなかで危険なのは
 頭痛はごくありふれた症状です.たとえば,発熱すると頭痛はよく起こります.いわゆる生理痛でも頭痛は少なくありません.たいていは自己判断して解熱鎮痛薬を飲みますが,ほとんどの場合,それだけで十分です.
 慢性頭痛のなかで圧倒的に多いのは筋緊張性頭痛です.デスクワークにともなう肩こりや眼の疲労と関連して起こりやすく,本人もたいてい自覚しています.ただし,一発でこれと診断する決め手はありませんので,別の原因はないかどうかチェックする(いちどは診察を受けておく)とよいでしょう.
 それにくらべると片頭痛の頻度はかなり下がりますが,けっして珍しい病気ではありません
.一般の解熱鎮痛薬が効くため,それだけで済ませていることがあります.ただし,片頭痛にはもっとよく効く薬(トリプタン系薬)があります.こちらは片頭痛以外の痛みには無効なので,正しい診断にもとづいて処方を受けることが肝心です(当院でも処方しています).さらに新薬も開発されており,日常生活や社会生活に支障があるほどつらい片頭痛の方は専門医にご紹介しています.
 立っているときに頭痛がひどくて,横になると改善するという頭痛に長期間悩まされている人がごくたまにいます.低髄液圧症候群の疑いがあり,特殊な画像検査が必要になるので,専門医のいる病院へ紹介します.
 以上のような頭痛で命をとられることはありません.しかし,脳卒中やそれに類した病気でおこる頭痛では,そうはいきません.その特徴は 突然に起こる強い頭痛 です(必ずしも全例がそうだというわけではありませんが).とくに発症時点をピンポイントに覚えていて,今まで経験したことがないような激しい頭痛が続くときは要注意です.もうひとつ危険なものは高熱と嘔吐をともなう頭痛です.髄膜炎や脳炎を疑います.とくに意識が混濁している場合は決定的です.乳幼児から年寄りまでどの年齢層にも起こります.