皮膚のトラブル

乾燥肌 あせも

 赤ちゃんの肌はデリケートです.手足や頬には湿疹がよくできます.首の下や背,尻,膝や肘の内側はあせもになりやすい.家庭のスキンケアが重要です.汗をかいたらシャワーで洗い流す(洗剤を使わない),入浴で石けんを使うときはよく泡立てる,保湿剤を塗るなら風呂から出てすぐに(5分以内),肌着は綿製 --- など.

 いっぽう,歳をとると皮膚の脂質分泌が減少して乾燥肌になります.空気の乾燥した冬に背中が急にかゆくなって「孫の手」が欲しくなるのはそのためです.痒いところを搔くと気持ちよいのですが,皮膚を傷つけて湿疹が悪化する(ますます痒くなる)ので良くありません.風呂上がりに保湿剤を塗るのがいちばん効果的でしょう.

 

おむつかぶれ 外陰部の痒みや湿疹

 「おむつかぶれ」は赤ちゃんが下痢をした時によくおこります.尿や便が長く皮膚に接触していると肌によくありません.さらに,ウエットティッシュでお尻を拭くと,目に見えない汚物が取りきれず表面に残ったり,肌をこすって傷めます.これを1日に何回も繰り返すと,お尻が真っ赤になって「おむつかぶれ」の完成です.対策は,① 汚れたお尻は紙で拭かずにぬるま湯で洗い流す,② そのあと乾いた紙やタオルで軽くたたいて水分をとる,③最後に処方された軟膏を塗る.これを繰り返すだけ.
 子どもはときどき,外陰部の痒みや痛みを訴えることがあります.男児では生理的な包茎になっているため,垢がたまったり,気になっていじったりして,しばしば炎症を起こします.女児でも粘膜と皮膚の境目あたりが軽い炎症を起こすことがあります.いずれも,水で洗って弱めのステロイド軟膏を塗るだけで,数日で解決することがほとんどです.
なお,子どもは,大人とちがって膀胱炎をあまり起こしません.排尿時の症状は,尿道や外陰部から生じることが多いのです. 

 

じんま疹

 じんま疹は大人にも子どもにも起こります.突然かゆくなって赤いポツポツが出始め,それでも,たいてい数時間以内に消えていきます.大きさは数㎜~数㎝までさまざま,形も丸かったり,融合して雲形になったりといろいろです.ぼんやりと膨らんでいるところを「膨疹」とよびますが,これはじんま疹に特徴的です.
 多くは原因不明です.原因を推定できるのは2〜3割に過ぎません --- たとえば,機械的刺激,発汗(コリン性),たまにアレルギー性 --- など.薬を使わなくても消えますし,かゆみが強ければ抗ヒスタミン薬の服用が有効です.何度も繰り返す場合や,原因を突き止める必要がある場合には専門医へ紹介します.
 なお,じんま疹は皮膚だけの問題なので,あわてなくてよいのですが,全身すべての皮膚がいっきに真っ赤になってしまったり,皮膚以外の症状が現れたときは(吐き気,腹痛,息苦しい,気が遠くなる)アナフィラキシーかもしれません.救急です!

 

虫刺され,かぶれ

 蚊に刺されたり,虫や植物,その他いろいろな刺激物に触れて皮膚が炎症をおこします.多いのは夏です.露出部に1〜数個,丸く赤く腫れて,中央にごく小さい膨らみがあるのはたいてい蚊です.それ以外でも体の一部に偏ってポツポツ赤くなるのは,かぶれのことが多いのですが,原因がわからないこともあります.こうした,外部からの原因による急性発疹の多くは,ステロイド軟膏を短期間使うだけで改善します.とくに,蚊は素人目にもわかりやすいので,赤く腫れたら手持ちのステロイド軟膏をすぐ塗ることをお勧めします.早く始めるほど効果的で,2日間ほど使えば十分です.

 

水いぼ

 水いぼは幼児によくできます.小さい半球状のポツポツの中に原因のウイルスがいて,接触感染するため,近くにかたまってできたり,搔いてしまうと徐々に広がりやすいのが特徴です.数週間以上かけてごくゆっくり大きくなったり数が増えたりしますが.とくに治療しなくても数ヶ月~2年くらい待てば自然に治ります.ただし,自然治癒にまかせると収拾つかなくなることがあるため,大きいのを選んで取ってしまうという方針もあります.当院では,必要な場合には,ピンセットでつまんでとっています.

 

帯状疱疹

 ウイルスの病気です.子どものころ水痘にかかると,水痘ウイルスは体内から消えずに末梢神経の根元に潜みます.それが何かの拍子に活動を再開すると帯状疱疹を発症します.子どもにもたまにあります(ただし軽い)が,おおむね中年以降の病気です.

 最初に体表の一部がピリピリ痛み始めます.その段階で診断するのはなかなか困難ですが,数日後,痛い部分に発疹が出ると,すぐわかります.治ったあとも頑固な神経痛が長く残ることがあり,それがいちばん厄介です.発症早期から抗ウイルス薬を使うと神経痛が軽くすむので「早く診断して,早く抗ウイルス薬を始める」のが基本です.薬を点滴で入れたほうがよい場合や,顔面の帯状疱疹は,専門病院へ紹介します.

 ウイルスの再活性化を抑える予防ワクチンがあり,50歳以上の方にお薦めします.当院でも行っています 👉 帯状疱疹予防のワクチンは2種類あります