生活習慣病

 メタボリックシンドロームや肥満にともなって起こる2型糖尿病脂質異常症高血圧などを指します.ライフスタイル(食生活,日常的な身体活動)が反映されるためにこう呼ばれるのですが,その影響は大人だけでなく子どもにも及びます.子どもたちの間でもこうした病気の予備群が増えています.原因の大部分は肥満にあるため,広い意味での家庭教育(しつけ)が重要です.

動脈硬化は年齢とともに進行する
 血管(動脈)の内側は凹凸がなく,壁には適度な柔軟性もあって血液をスムーズに流しています.ところが,血管の内腔に脂肪類が固まってできたプラークがこびりつくと,内径が狭くなり,血管壁も厚く硬くなります(これを動脈硬化と呼ぶ).動脈硬化が進行すると,心臓や脳や腎臓の血液の流れが悪くなり,ついには 心筋梗塞 脳梗 慢性腎不全 といった怖い病気になります.
 動脈硬化は加齢現象ですから仕方ありません.生活習慣病はそのスピードをはやめるのです.たとえば,中年以降に高コレステロールを放置したグループと,食事療法や薬によって治療したグループをくらべると,10年後の動脈の状態に歴然とした差がつきます.それが 脳梗塞心筋梗塞 の発生頻度にも反映されるのです.

生活習慣病に対処する第一歩
 食事 運動 禁煙 という3つの生活改善に取り組むことはすべての生活習慣病に共通します.近道はありません.王道を歩むほかないのです.生活習慣病はつらい症状がすぐには現れないため,ついつい問題を先送りにしがちですが,対策を遅らせれば遅らせるほど,歳をとってからの健康状態に大きな差がつきます.

高血圧
 血圧測定は簡単ですが,測定のタイミングや環境によって測定値は大きく変動します.では,どのようにして高血圧と判定するのか? 本当は1日中連続して測定したいところですが,実際的ではありません,そこで,起床時と就寝前の少なくとも2回,一定の条件を守って測定していただき,その記録を 家庭血圧 とします.
 健診などで高血圧を指摘された方は,まず血圧計を入手してください.上腕式をお薦めします.高級な付加機能はなくてよい.家庭血圧の測定や記録にはいくつかの注意事項があります.難しくはないのですが,結構細かいので受診時にご説明しています.少なくとも2週間くらいは家庭血圧を記録したうえで判断します.もちろん,降圧剤を服用している方は家庭血圧の記録が欠かせません.
 原因となる病気が存在する二次性高血圧と,原因のはっきりしない本態性高血圧に分かれます.二次性高血圧の疑いがある場合は,原因をさぐる必要があるので専門医に紹介します.本態性高血圧(大部分はこちら)は,生活習慣病のひとつとしてのケアが重要です。現状をきちんと評価して基本的な治療方針を立てるのは専門医の仕事です.日常的なフォローはかかりつけ医でおこなうことが多くなります.

糖尿病 
 1型糖尿病は膵臓のインスリン分泌が極端に低下するため起こります.したがって,インスリン治療が不可欠です.いっぽう,2型糖尿病はインスリンの作用不足が主な原因です(多くはこちら)2型糖尿病になりやすい体質(遺伝の要素)はありますが,それだけで糖尿病になるわけではありません.食生活や運動不足,結果として肥満が重要です.したがって,2型糖尿病の治療は生活改善が前提です.そのうえで血糖を下げる薬を使います(多くは飲み薬).たくさんありますが,主な作用は4つです.①インスリンの分泌をふやす,②インスリンの効き目をよくする,③腸での糖吸収を抑える,④血液中から尿への糖排泄をふやす.これらを組み合わせて血糖を下げます.新薬が次々に開発されたおかげで,治療の幅はずいぶん広がりました.

コレステロールが高い
 血液中のコレステロールや中性脂肪が異常値になる病気を脂質異常症とよびます.そのなかでも,LDL(悪玉)コレステロールは重要です.なぜなら,この値が高いほど動脈硬化の進行も速くなることが分かっているからです.脂質異常だけでは自覚症状は出ません.そのため対処を先送りしがちですが,将来の健康リスクは確実に増えます.悪玉コレステロールの値が高い人には 食事 運動 禁煙 という生活習慣病対策の王道へ進んでいただきます.それでも下がらなかったら,とくに値が非常に高い場合は,コレステロールを下げる薬が推奨されます.

尿酸が高い
 血液中の尿酸値が高いだけでは自覚症状は出ません.しかし,尿酸の結晶が関節にたまると 痛風 になります.おもに中年男性の,足の親指の付け根に起りやすく,非常に激しい痛みなので,いちど経験したら二度とゴメンと思うはずです.それ以外に尿酸結晶がたまりやすいのは腎臓です.症状はあまり目立たないのですが,腎機能は徐々に悪くなります.肥満対策(運動と食事)は重要です.ただし,食事療法でプリン体の摂取を減らすだけでは大きな効果が期待できません.プリン体の最終分解産物である尿酸は,ヒトの体内で作られるものと食物由来のものがあり,前者が後者より数倍多いからです.尿酸を下げる薬物療法は,尿酸値以外のいろいろな要素も考慮して決めます.