乳幼児の発熱

 子どもが急に熱を出したら,ほとんどがウイルスや細菌などの感染症です.発熱以外にどんな症状が出ているかを観察し,いくつかのパターンに分類します.
高熱 だけ

 高い熱のわりに元気で機嫌よい,飲み食いもまずまず,呼吸やお腹の症状はほとんどない --- これは質の良いウイルス感染症が予想されます(突発性発疹症が代表例です).熱が3日以上続かなければ,おおむね大丈夫でしょう. ただ,どんなウイルス感染も発症当初はこのタイプのことがあるので,その後の経過に注意してください.

気道症状(鼻水,咽頭痛,咳など)が目立つ

 いわゆる風邪 --- 大部分はウイルスです.上部気道(鼻,のど)だけの症状なら原因を知る必要もありませんが,流行の状況しだいでインフルエンザや新型コロナの検査を行います.溶連菌の感染を疑った場合も迅速検査をします(抗生剤がよく効く).下部気道(気管支,肺)の症状が強ければ,疑わしい病原体(RS ウイルス,hMPウイルス,マイコプラズマなど)を調べることがあります. 

消化器症状(腹痛,下痢,嘔吐など)をともなう

 ウイルスや細菌による急性胃腸炎を疑います.典型的な場合は,お腹がキューと痛んで,下痢便が出ると腹痛はすこし軽くなる,ということを繰り返します.ただし,症状が発熱と嘔吐だけであれば,お腹の病気が原因ではないかもしれません. 
発疹 が出る
 はしか・風疹が有名ですが,ワクチンのおかげで珍しい病気になりました.よく見るのは水痘や手足口病です.溶連菌感染の発疹もときどきあります.こうした感染症以外にも,発熱と発疹のでる怖い病気があります(たとえば,川崎病)

発熱と「抗生剤」
 いわゆる
風邪症状をひきおこす原因のほとんどはウイルスです.抗生物質は細菌に対して有効ですが,ウイルスには効果がありません.普通の風邪や胃腸炎であれば,「抗生剤を投与しても,回復を早めたり重症化を予防する効果はない」というのが世界的に広く認められた考えです.厚生労働省も,副作用のリスクがあるため「抗生物質を使わないことを推奨する」としています.

 わたしたちも,本当に必要な場合だけに限って抗生剤を投与します.ただ,「本当に必要な場合」の判断が実はいちばん難しいのですが ---- .

「感染症以外の原因」による発熱
 よく見るのはワクチンの副反応です.接種当夜か翌朝に熱が出て,1日ほどしか続かないのが特徴です.また,子どもは体内に熱がこもりやすいので,暑い環境や厚着,活発に動いた直後などに体温が一過性に上がります(うつ熱).川崎病や免疫性疾患など,こわい病気もたまにあります.それを疑った場合は大きな病院へすぐ紹介します.

「新生児」の発熱
 生後3ヶ月くらいまでの赤ちゃんは,母親からもらった免疫が働いているので,あまり風邪をひきません.むしろ,この時期に高熱が出たら重大な細菌感染症の疑いがあるため,大きな病院へ紹介することが多くなります.

発熱と「けいれん」
 熱性けいれんが起こりやすいのは1歳~5歳で,高熱の出始めた当日か翌日です.突然に全身けいれんが始まり,数十秒間続いて(呼吸も止まって蒼白になることが多い),そのあと数分間ボーとしていま
す.5分以内に意識がもどって(視線が会って泣き始める),顔色が良くなり,その後にけいれんを繰り返さなければ,あわてる必要はありません.
 けいれんを繰り返したり,嘔吐を繰り返したり,ぐったり,うつろな感じが続く --- これらは髄膜炎や脳炎の症状かもしれません.すぐに救急受診すべきです.