胸のぐあいが?
胸が痛い 狭心症? 心筋梗塞?
急に胸が痛くなったら誰でも心配になります.ただ,数秒〜1分以内に痛みが消えてしまうような(ほとんど電撃的な)ものは心配いりません.むしろ,じわっと始まってすぐピークに達し,つらい痛みが長く続く場合は要注意です.とくに5分間以上続いてまったく改善しなかったら,救急車をよぶことも考慮してください.急性冠症候群(心筋梗塞、その前段階)や大動脈解離のような「死に至る病」の疑いがあるからです.
さほどつらくなくても,数時間以上続く場合は受診をお勧めします.さまざまな原因が考えられます.たとえば,内臓(肺や心臓)の病気以外に,胸の筋肉や肋骨,皮膚や乳腺に原因が見つかることもあります.打撲した覚えはなくても,ゴルフのスイングなどで肋骨を痛めることは中年以降にはよくあります.胸の痛みには身体の診察が一番重要ですが,エコー検査,X線,心電図,血液検査などが必要になることもあります.
息苦しい 危険?
呼吸の役割は空気中の酸素を体内へ取り込むことです.これが阻害されると息が苦しくなります(呼吸困難).したがって,息苦しさを感じたら何かしら病気が疑われるので,すぐに受診することをお勧めします.ただし,原因が肺や心臓の病気とは限りません.緊急の対処が必要とも限りません.たとえば,精神的なストレスだけで(酸素は足りているのに!)息苦しさを感じる人もいるからです.
呼吸困難には,身体の診察と同時に,指にパルスオキシメータをつけて酸素飽和度を測ります.ここまでで緊急性があるかないか,おおよそ判断できますが,エコー検査,X線,心電図,血液検査などが必要になることもあります.私たちがときどき見かける緊急的な病気は,喘息発作,肺炎,自然気胸,突発性の不整脈などです.その場合は,すぐ病院へ紹介することになります(救急車で搬送してもらうことも,たまにあります).
脈が乱れる,ときどき胸がモヤモヤ?
心臓の拍動(脈拍)の乱れ(=不整脈)は,よくある症状ですが,気付かずにいることも珍しくありません.不整脈は,現場をおさえないと診断できないからです(心電図をとっても,そのときに不整脈が出ていないとわからない).手首で脈拍を触診するのは簡単な方法ですが,意外にも,確実にはできない方が多いようです.やり方をきちんと教えてもらって,脈拍の数え方とリズムの乱れは自分でわかったほうがよいと思います.スマートウォッチで心電図モニターができるようになれば,もっと簡単になるかもしれません.
治療が必要な不整脈のなかで比較的よく見るのは,心房細動(無症状のことが多い)と突発性の頻拍症(たいてい症状が出る)です.いずれも専門医へご紹介することになります.