講師(宗夜)ブログ

2024-02-04 16:20:00

●宗嘉先生の茶懐石料理(初釜🎍)

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初釜での宗嘉先生の茶懐石料理も誠に美味しいお膳の数々でござました。

お作法の説明と共に食レポをさせていただきます😊

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宗嘉先生の茶懐石料理(初釜🎍)

・ご飯:一文字切り

・汁:白みそ豆乳汁、色紙大根、鏡人参

・向附:帆立とアボカド・イクラ

・二の膳:桜海老ご飯

・椀物:菜の花すり流し、海老葛叩き、椎茸

・焼物:鮭の幽庵焼き

・預け鉢:里芋の煮っ転がし

・強肴:生なめこのみぞれ和え

・八寸:かぼちゃの真挽粉揚げ・田作り

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●折敷の持ち出し

・ご飯:一文字切り

・汁:白みそ豆乳汁、色紙大根、鏡人参

・向附:帆立とアボカド・イクラ

 

飯碗と汁腕の両蓋を開けて目、に飛び込む最初の色彩はスッキリと。

黒塗りの腕に白く輝く、真一文字のご飯。

同じく黒塗りの腕に、白いお汁。

具は、小さな真四角の透明のお大根、その上にまん丸の人参、その上にちょこんと練り辛子。

鏡餅と同じ喜ばしい形。

 

ご飯・お汁、ご飯・お汁、ご飯・お汁

と交互に3回で召し上がります。

終えたら腕の蓋を閉じて、亭主の酒一献目を待ちます。

 

●酒一献目の後に、向附に進みます。

・向附:帆立とアボカド・イクラ

 

白く肉厚の帆立の薄切りとアボカドの薄切りとが幾重にも盛られており、イクラが贅沢に散らされた向附です。

白と鶯色と朱色の粒つぶ。

お着物の柄になりそうな美しい色合い。

濃厚な旨味の帆立とアボカドのまろやかさ。

イクラの塩味と食感がアクセントの一品。

 

●飯器一回目の持ち出しと汁替

今回のよし庵では、飯器のお預けを形のみとし、亭主の方で二膳目も供しました。

飯器は空のまま、作法通りに蓋をお詰めさんまで手渡し、お詰めさんは下座に預かります。

本体もお詰めさんまで手渡し。

お詰めさんは蓋を閉めて正面を改めて、再び下座に預かります。

お作法は、お作法として進めておいて…

工藤が飯碗を受け取って宗嘉先生にお渡ししますと宗嘉先生が熱々の二の膳を盛ります。

 

・二の膳:桜海老ご飯

パリッパリの乾煎り桜海老・塩昆布・あさつき

熱々ご飯にパラリと振りかけてお出ししました。

『お料理は出来立てが一番美味しいんだから!』

と宗嘉先生がこだわって、お茶室脇にスタンバイ。

工藤の下げたお椀を受け取って宗嘉先生が盛り、すぐにまた工藤がお客様に持ち出しました。

『わーー😃』

と喜んでくださるお客様のお声に、宗嘉先生のお顔にも笑みが広がります。

 

●煮物腕の持ち出し

メインディッシュの煮物腕です。

期待に胸が高まります。

蓋を開けると…、優しいお出汁のいい香り…。

濁りのない翡翠色のすり流し。

曙色の海老。

焦茶色の椎茸が全体の引き締め役。

すり流しは、ほろ苦さの中にも優しい甘味が感じられ、春の味覚そのもの。

葛が柔らかくとろりと全体をまとめ、身体にじんわりと旨味が広がっていきます。

 

酒二献目を亭主がすすめ、そのまま燗鍋を末客に預けて亭主は下がります。

 

よし庵は禁酒にて、燗鍋の扱いも形のみとしています。お作法だけですが、何となく気持ちが和らいでくるから不思議です。

お料理と会話を楽しみつつ、煮物腕の蓋を閉め、焼物を待ちます。

 

●焼物

・焼物:鮭の幽庵焼き

なんて美味しい鮭なのだろう。

いつも工藤は感動してしまうのです。

外はこんがり、中はふっくら。

工藤が想像するに、コンマ何秒に至るまで焼き具合をこだわっているのではないかと。

添えられた胡瓜の薄切りも爽やか。

ただ薄切りにされたのではなく、ほんのりトロッとしています。

そこにひと匙の粒みそを乗せ…。

サーモンピンクに、胡瓜の緑と、粒みその茶。

温かいものと冷たいものの組み合わせ。

幸せ…😊

 

●預け鉢

・預け鉢:里芋の煮っ転がし

『煮っ転がし』って、名前が簡単そうに聞こえるけれど、『放ったらかし』では出来ません。

主婦の皆さまはよくよくお分かりのはず。

下茹でして、よく洗ってぬめりを取って

また下茹でして、よく洗ってぬめりを取って

またまた下茹でして、よく洗ってぬめりを取って

ぬめりが無くなったところで、やっと味つけ。

しかもこの里芋は、一度揚げていらっしゃる?

その後に甘辛く、ようやく『煮っ転がし』

煮っ転がるまで道中長うございましたなぁ。

ちょっと甘めでコクのある味付け。

みじん切りにされた柚子餡と共に絡められて、まるでスイーツのような満足感。

添えられたインゲンがまた名脇役でした。

この茹で加減は…絶妙!

茶懐石料理とは、なんと奥が深いのか…。

やはり『禅』であるのだと感じ入るお料理でした。

 

●強肴

・強肴:生なめこのみぞれ和え

ここに来てさっぱりと口直し。

生なめこと、大根おろしと、芹と、柚子

このような小鉢にも、本当に工藤は毎回感動するのです。

大根おろしの何とまろやかなこと。

粒子が細かいというか、滑らかなのです。

これは相当に良いおろし器を使っていて、しかもガツガツせず、柔らかい力で丁寧に一定のリズムでおろされていると思われます。

ふんわりと空気を含んでいて、口に含むとシュワっとするのです。

それを生のなめこと、歯触り良く茹でられた芹、柚子のみじん切りとで軽く和えています。

お大根の汁が出ていないところを見ると、お出しする直前に和えられたのでしょうか?

器までひんやりと冷やされた、酸味の嬉しい心遣いの一品。

 

●八寸

・八寸:かぼちゃの真挽粉揚げ・田作り

優しい甘味のかぼちゃの真挽粉揚げです。

小さな粒々の霰でお化粧されたかぼちゃの薄切り。サクッと中はしっとり。

田作りはパリッパリ。

少し甘めで噛むと苦味がじんわり。

片口鰯の丸ごとをいただく嬉しさ。

 

●湯斗と香の物

数々のお料理の最後に、湯斗と香の物。

湯斗の湯をいただくと、赤ちゃんに戻ったような気持ちがします。

薄い乳白色のお汁。

私たち日本人はこのお汁を飲んで、赤ちゃんから幼児へと、腸を労わりつつ成長していったんだなぁ…と思います。

香の物にも、日本人の発酵食への知恵も感じます。

凝ったお料理も良いんだけど、素材の味を生かしたシンプルな味覚も、また良し。

 

お料理の構成が、身体に負担を掛けなくて、とても優しいなぁといつも思います。

 

いかがでしたでしょうか。

宗嘉先生の茶懐石料理。

どのお料理も本当に美味しく素晴らしいものでございます。

是非ぜひ多くの方に味わっていただきたいと願っております😊🤲