講師(宗夜)ブログ

2024-01-27 15:03:00

●欲しがらない人

一緒にいて、楽しいなぁと思う方々。

その方々には共通点がありました。

欲しがらない気質です。

欲しい、欲しいと言わない。

そうすると安心してお腹の中を見せられる。

安心すると朗らかな笑いが生まれて楽しい空気に包まれる。

楽しい空気が溢れて流れると、『なになに?』と人が集まってきて、また楽しくなる。

 

欲しがらないという気質。

これはなんだろうと思いました。

欲しがらないところまで行くには、成熟が必要に思います。

『悟り』の一つの姿のように思います。

 

欲しがらない姿に最初に気付いたのは

『千と千尋の神隠し』でした。

カオナシから差し出された金の粒々を、千が断ったシーン。

『欲しくない、要らない』

 

このシーンはとても印象に残りました。

当時は2001年。

お台場など首都圏が建設ラッシュで、街の姿があらゆるところで急激に変わっていきました。

自分の知らないところで沢山のお金が高速道路を走る車のようにすごい勢いで流れていきます。

膨らんだり弾けたり。

経済にはあまり詳しくないのですが、世の中はなんと不安定なのかと思っていました。

 

そしてこのシーン。

大抵の人はお金を欲しがるのに、千は欲しがらない。

(え?要らないの?)

カオナシの悲しそうな顔。

要らないと断られたら、付き合いようがありません。

すごいなぁ、欲しがらないって強いんだなぁ。

自我が一つ作られた瞬間かもしれません。

 

反対に、欲しい欲しいと、いつまでも欲しがる人もいます。

欲に駆られるとカオナシに飲み込まれてしまう。

自分が自分で無くなってしまう。

そして気の毒だけど、あんまり欲しがると、逆に手に入らないのです。

宗嘉先生はそれを執着と呼んでいます。

あげてもあげても、まだまだ欲しい。

『え?まだ足りないの?』

どんなに優しい人でも限界がありますが、欲しがる人にはその限界が見えない。

 

自分が本当に好きなものとか、好きなこととかを見つけられたら良いなぁと思います。

そうすると余計な執着が消えてくるようです。

好きなもので満たされているから、余計には欲しがらない。

『もう十分いただきましたので…』

茶道の問答の一つ。

慎み深い素敵な言葉で、とても好きです。