講師(宗夜)ブログ
●信頼できるリーダーに出会えると人の心は安定する
人との出会いで人生は大きく変わる。
そう思います。
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今の自分を変えたい。
信頼できる人に出会いたい。
自分よりも遥かに優れた能力を持つ人に出会って能力を伸ばしてもらいたい。
学びたい。学び続けたい。
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茶道を志す人にはこのような欲求が、やる気の根源にあるように感じています。
決意や覚悟のような強い気持ちを持って『茶道』という、想像もつかない難しそうな大きな文化に身を投じる。
で、ありながら…
助言を素直に聞き入れられないこともある。
便利で快適な世の中に甘やかされた現代人には、茶道のヒエラルキーがなかなか馴染まないからかも知れません。
ヒエラルキー(上下関係の序列)
若い頃にはこれが嫌でした。
嫌でたまらず、反発ばかりしていました。
なぜか?
心から尊敬できる人に出会っていなかったからだろうかと思います。
それだけでなく、自分自身の心も狭くて人を受け入れることが出来なかったように思います。
どんなに優れた人にも欠点や短所があります。
それが許せなかった。若い頃には。
自分だって欠点や短所は多数ありますが、人のそれは許せなかった。
全く勝手なものです。
ようやく今になって至らぬところを見ても、尊敬する気持ちが失われないようになりました。
そしてそれと共に、ヒエラルキーの意味も分かるようになってきました。
単に社会の安定のために必要な制度だから、というわけではありません。
実は心の安定にも繋がっているように思うのです。
30代の前半あたり。
論語の一文がすごく気になっていました。
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七十にして心の欲するところに従えども矩を踰えず
(好きなように行動しても非常識にならない)
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どういうことだろうと思いました。
当時は矩を踰えっぱなしでした。
色々な場所で非常識な行動や不用意な発言をし、軋轢を生みました。
どう生きるのが正解なのか分からずにいました。
周囲に迷惑をかけたことだろうと思いますが、自分にも辛い時間でした。
ヒエラルキーの構造を身に付けずに成長してしまったことが、その原因ではないかと思います。
ヒエラルキー(上下関係、じょれつ)の感覚。
人間以外の動物はどうなのでしょうか?
霊長類は大抵は群れで生活していると言います。
ニホンザルも、チンパンジーも、ゴリラも…
その他の哺乳類も群らがることが多いと聞きます。陸でも、海でも。
そして群れの中には、はっきりとした上下関係があるそうです。
以前、宮崎県の都井岬に生息する野生馬の話を聞いて驚いたことがあります。
馬が整然と横に少しずつずれて並んで立っていました。静かでありながら何とも言えない緊張感が馬から流れてきました。
お互いの横腹を沿わせるように並んでいますが、頭ひとつ分くらい少しずつずれて5頭ほどの馬が立っていました。
『並んでいるお馬さんたちは、こちらのオス馬の奥さんたちです』
ガイドさんが説明してくれました。
『オス馬に近い順から、第一夫人、第二夫人、第三夫人、第四夫人、第五夫人です。ちゃんと序列があって、序列通りに並んでいます。結構厳しい社会なんですよ。』
馬たちの長い睫毛と静かな伏目が印象的でしたが、何かそこには侵してはならない見えない線が引かれているのでした。
チンパンジーなどの霊長類もボスに毛繕いできるメンバーは決まっていると聞きます。
ボスの隣に座れるメンバー、隣の隣に座れるメンバーなど、座る位置が明確だそうです。
まるで江戸時代の封建制度みたいだ思いました。
将軍に謁見できる御目見(おめみえ)以上の旗本と、謁見できない御目見以下の御家人みたい。
ちょっと話は飛びますが…
時々、宗嘉先生がものすごく眠そうな顔をしている時があり理由をお聞きすると
『猫が朝からケンカして…』
と仰います。
『ケンカは猫社会にとっては大事なのだ。
人間の都合で無理やり止めてはいけないのだ』
『常日頃からケンカをして序列をハッキリさせることで、お昼どきの暴力的な争いを回避しているのだ』
人間社会に住む飼い猫であっても、やはり侵してはならないヒエラルキーが存在しているのだなぁと思いました。
動物も若い者はやんちゃで、上の者から随分と怒られながら仕込まれています。
ですが、力関係がシンプル。
人間は恨んだり、拗ねたり、悩んだりするから問題が複雑になるのだろうと思います。
論語を記した孔子であっても
『七十にして…(ようやく)』
と残していますから、誰にとっても人間社会で気持ちよく生きるのは難しいことなのかも知れません。
その一方で、信頼できるリーダーに出会えると心は安定するものだなぁと実感しています。
安心感を得るとエネルギーが湧いてきて、無理やりにやる気を出そうとしなくても、自然と学びに気持ちが向いていくもののようです。
そして学ぶことが好きな真面目な仲間が増えていき、教えたり教えられたりしながら、そこには柔らかいヒエラルキーがふわりと浮かび上がってくるように思います。
人と人との関係はこんなに温かくて気持ちの良いものだったんだなぁ。。。
皆さまにもそのような時間を味わっていただきたいと思っています。
心安らぐ場があれば、他の世界で腑に落ちないヒエラルキーに固められても、素直な気持ちを失わずにいられるように思います。
令和六年。辰年が始まりました🐲
皆さまがご自身らしく健やかに過ごせますように。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。