講師(宗夜)ブログ
●茶道に感じる武士の精神
茶道は小さな空間に宇宙の広がりを持つ香り高い世界。精神性豊かで、素敵です。
で、ありながら…
有無を言わせぬ実力世界でもあると、ところどころで感じます。
武士の世界、ちからの結集の場と感じる時があるのです。
知力、財力、政治力
知力。
知っているか、知らないか。
出来るか、出来ないか。
年齢、年数、学歴、社会的地位など意味をなしません。厳しい面であるのと同時に、とても公平で公正です。
でも、出来ても出来なくても…。
限られた時間を心から楽しむこともまた知力。
心を込めて茶を点てて、お相手を和ませる空気を作って、ひと時を美しいものにする
。
賑やかにワハハと笑って終わりにするのではなく、何かそこに学びを作ることで、お稽古の後も心を支えるエネルギーとなることでしょう。
財力
茶道はお道具が揃わないとお稽古が出来ません。
静かに並ぶお道具がその力を語っています。
良いものは、良い。
職人さんが命を吹き込んで出来た品々。
昔から連綿と続く技術に、心意気を感じます。
技術をつなぐのは人であります。
大変な思いをして人と品々を育てたのだろうと、お道具を見ると思うのです。
価格の高さはその労苦そのもの。
大切に大切に使いたいものです。
たくさんのお道具を揃えれば、それだけたくさんのお点前が出来ますが、どれだけ綺麗に使い続けているかも財力のうちかも知れません。
今度は教室側が生徒さまの心を育てなくてはいけません。
背景を深くご理解いただき、大切に扱っていただくことが、教室と生徒さまとの絆を意味します。
それもまた力と言えるでしょう。
政治力
知力、財力が十分でも、人が集まらないことには茶道は出来ません。
人脈作りはいつの世でも大切です。
特に目上の方々と上手く付き合うには、それなりの作法に則って行動する必要があります。
茶事の開催など、この政治力が物を言います。
大抵の社中においては、茶事の開催に全てをアウトソーシングしています。
宗嘉先生は懐石料理の師範ですが、大抵の茶道の先生はそうではありません。
そのために茶懐石料理を供することができる料亭を予約します。
予約する前に大切なのが、ご自身の先生にお伺いを立てること。まだ未熟であると判断されれば茶事の開催は出来ません。
茶事を開催することが出来るということそのものが、ある種のステータスです。
その後も、人選やお道具の種類、お茶、お菓子、お花、お花入れなど、全てにおいて毛筆にて会記をしたため、先生にお伺いを立てます。
人選においてはこの上なく細心の注意を払います。
水面下で様々に動いたのちに、最終的にご招待客に毛筆の書にて招待状をお出しします。
お茶事はお教室にとって、一年を通じて準備に奔走する本当に大変な行事なのです。
お客様も亭主の気持ちに誠心誠意で応えます。
一座建立
みんなでこの場を楽しみ、創り上げるのだという意味の禅語。素晴らしい言葉だと思います。
お茶事にぴったりです。
室町時代から続く茶の湯。
茶事に武士の精神を垣間見るのでした。
よし庵のお茶事では気の合う仲間と共に季節の移ろいを心から楽しんでいただけます。
宗嘉先生が懐石料理と和菓子の師範であること、お教室でありながら、必要な設いを備えていることで生徒さまとの心通うお茶事の機会を数多く持つことが出来ております。
皆さまには日常を離れた別空間にて、ご自身を解放させ、五感を研ぎ澄ませて、新たなるエネルギーを満たしていただきたいと願っております。
幾世を渡ってきた茶道の強さ。
美しさの芯となっています。