講師(宗夜)ブログ
●火箸の動きに見る文様
火箸の扱い。
美しく流れるような線を描きたいといつも思います。
火箸を尺立てから抜き取り、地板スレスレで尺立てと健水を避けるようにし、胸に寄せて鏡柄杓。
最初は箸先がお道具に当たり、
『チーン🛎️』
といちいち鳴っていました。
厳粛な奥伝のお稽古にて申し訳ないと思いました。
これ…。
この形…。
書道の連綿にも似ていると思いましたが、着物の文様にも似てはいないだろうか?
観世水(かんぜみず)
ではないだろうか?
と思うようになりました。
観世水とは能の流派である観世流の観世太夫が定式文様として使用したことに由来しているとのこと。
渦を巻いた流水文様です。
観世家の人々が水を汲んだ井戸は、常に渦が巻いていて新鮮だったそうです。
湧水だったのでしょうか。
その後、観世水は格調ある古典文様として広く用いられるようになりました。
同朋衆が活躍した時代の文様であるので、影響し合っているように思います。
能、茶道、香道、水墨画、建物、装飾品…。
観阿弥、世阿弥、芸阿弥、相阿弥…。
『阿弥』とは一向宗の門徒に許された称号で、室町時代の将軍に仕えて武士の文化の礎を築いた人々。
観世水のような動きを紙に描けるくらいにきちんと綺麗な形として捉えられていれば、いつかは火箸でも綺麗に描けるようになるのではないかと思いました。
気付きがあれば、美は際限なく繋がって広がっていくのだなぁと思います。
観世水
ポチョンと一雫、水が滴り落ちて、鏡のように平らだった湖が円を描いて波打つ文様。
この文様に私は宇宙を感じます。
宇宙も波で出来ているんじゃないかと最近思っています。
宗嘉先生がしきりに口にする『波動:はどう』。
天文に興味を持って調べると、宇宙は波動だらけです。
観世水は、宇宙をも表しているような気がしています。
流るる水は腐らず
宇宙の星々も常に動いていて留まっていません。
きれいな渦うず、観世水。
このような文様を描いてくれた先人に感謝です。
その文様を火箸を使って空間に描く。
火🔥と水💦
そうか、ここにも風水が…。
深い…