講師(宗夜)ブログ
●着物との出会い その2
幼稚園のママ友のお家で、着物教室が開催されました。講師はママ友のお母さま。
着物に興味のあるママ達、5人。
わちゃわちゃ…と鏡の前に行ったり来たり。
うわ、ムリ。
腕が背中まで回らない。
よいしょ、っと。(帯枕を背負う声)
ああ、汗びっしょり。
女性が5人集まると、まー騒がしい。
ちっとも捗らない😅
ママ友達は、お稽古に来たり来なかったり。
わちゃわちゃ楽しいけど、私はもっと本格的に習いたいと思うようになりました。
その頃の私の趣味は、着付け、茶道、ウクレレ、絵本の開き読み、それから英語の勉強でした。
英語の先生になるのは難しいかも…と思いつつ、英語の勉強は好きでした。
結婚しても出産しても勉強を続けていました。
当時、NHKの教育テレビで、日本文化を英語で案内する『トラッド・ジャパン』という番組がありました。私はこの番組の大ファンで、毎週欠かさず見ていました。
この番組のテキストも素晴らしくて、読み物としても面白く、数年間熟読していました。
日本文化を英語で表現するには、本質を捉える力が必要です。日本文化を知らない日本人から見てもとても参考になりました。
これはコレ。あれはアレ。
とりあえず言い切る。
言い切って理解した後で、実は例外もある…と不足分を肉付けしていく。
なんて面白いんだ。
ああ、やっぱり通訳ガイドになりたい。
そして着物を着て日本文化を紹介したい。
それには、もっと着付け技術を上げなければ。
当時の着付け技術では通用しないと思いました。
ママ友との着付け教室は楽しかったのですが、着付け技術は曖昧なところも多くて自信が持てませんでした。
『なんか帯が左側だけブワっと膨らんでるよ』
主人から指摘を度々受けて、
『えー!直して直して💦』
『分かんないよ、どうやんのよ?』
着物ってこういうものなのだろうか?
私、もっとちゃんと着たい。
子どもが小学校を卒業し手が離れるのを待って、横浜の着物の専門学校に通い始めました。
専門学校は、厳しかった…。
厳しかったです…。
様々なテストが年に数回行われました。
卒業テストというものが最後にありました。
審査員の先生方を前にして、長着を羽織った状態から10分で着物を完全に着るというものでした。
ストップウォッチ⏱を片手に、自宅で何度も何度も練習しました。
何とか無事メンバー全員が卒業できました。
終わった後で泣き出すメンバーもいました。
私は涙は出なかったのですが、泣きたくなる気持ちはよく分かりました。
『そんなに練習しないといけないの?』
そう思われるかもしれません。
泣くまで厳しくするのはちょっとどうかな…と私も思うのですが、着付けが難しいのは本当です。
努力が必要だし、明確な答えがないのもその特徴です。
たくさんの着付け講師が、たくさんの動画を上げているのがその証拠です。
たくさんの答えが存在するということは、それだけ難しいからです。
武道と通づるところがあるようです。
理屈ではどうにもならない。
コツを掴んでは練習する、の繰り返しです。
基礎力をつけるのに3年くらい掛かります。
3年も?と思われるかもしれません。
でも一度きりの人生です。
長い人生のうちの3年くらい、一つのことにじっくりと向き合ってもいいんじゃないかなと私は思います。
それが心の余裕なのかな、と思います。
着物と向き合ってきた日々に私は後悔が一つもありません。心はとても爽やかです。
この爽やかさを出来るだけ多くの人に味わっていただきたいと思います。
そして綺麗になって、お出かけとか、お茶会とかを楽しんでいただきたいです。
おしゃれもたくさん楽しめます。
大人のおしゃれ。
楽しいですよ😊