講師(宗夜)ブログ

2022-11-20 10:55:00

●私は麻が好き。寒がりさんには綿がオススメ。

美しい着姿に欠かせないのが補正。

私は自分の補正素材は『麻』と決めています。

腰紐も胸紐も麻素材です。

 

麻は丈夫で、水分の蒸散作用にも優れています。長い時間身につけていても、汗を吸った後も、表面はサラリとした冷却感があり、更年期の私にはありがたい存在です。

麻にはキリッとした緊張感があり、何度洗濯を重ねても、ヨレヨレしません。

ここが私の一番好きなところです。

何度洗っても布目がよく通るので摩擦が掛かりやすく、着崩れを防ぎます。

 

麻は3mくらいの背丈の草。

その茎の繊維から麻布は作られています。

水や養分を吸い上げる役目をする繊維ですので、布に形を変えた後も汗をよく吸ってくれるのです。

 

麻の生育には、日本の土壌が適しています。

昔は日本の土地のほとんどが湿地や沼地でした。

麻はこの湿地帯を好みます。

麻と日本人との付き合いは古く、縄文時代から麻素材を身に纏ってきたと言われています。

手もかからず短期間で真っ直ぐに育つその様に、人々は単なる素材という概念を超えて神聖さを感じてきました。

今でも、神事には麻が欠かせないと言います。

着物の柄の『麻の葉』は、健康や繁栄を意味しますし、しめ縄や鈴緒なども麻素材です。

大相撲力士の最高位、横綱だけが締めることを許されている化粧まわしも麻素材です。

 

日本で生まれ育った私たちが、日本の気候に適した麻を好むのはとても自然なことなのでしょう。

 

『麻』に目覚めるまでは、私は綿素材を用いていました。綿100%も悪くないと思っていました。

私が以前通っていた着付け教室でも、綿の晒しや、綿のタオルを補正に用いていました。

 

綿は吸水性と保温性に優れています。

湿気が着物の中でこもって熱に変わるからです。

綿花を撚って糸にしているので、糸自体がふんわりと空気を含んでいます。

その隙間に、汗を溜め込み、糸を大きく膨らませて空気の流れを遮るので、熱も湿気も逃げないのです。

 

綿花の栽培は、熱帯や亜熱帯と言われています。

日本では江戸時代中期ころから栽培が本格化しました。綿の生育には、日本の気候は寒すぎたり、雨が多すぎたりするので、農家はとても苦労したようです。

 

綿の表面はしっとりとしていて肌に優しい。

寒がりさんには心地よい素材でしょう。

 

麻素材と、綿素材。

ご自身の好みに合わせて選んでいただけるといいと思います。