講師(宗夜)ブログ
●逆勝手濃茶・茶筅荘
本日の生徒さまのお稽古は、まず全員で貴人濃茶を行い、その後に宗嘉先生組と工藤組の二手に別れて行いました。
工藤組は、上級生徒さまによる逆勝手濃茶と、初級生徒さまによる茶筅荘でした。
逆勝手のお稽古、楽しいですよねー。
ややこしいけれども。
こういうちょっと複雑なお稽古をも心から楽しんでくださって本当に嬉しいです。
『あれ?あれ?』
と言いながら、お客様も巻き込んで笑顔になり、ほっこりします。
『逆勝手だから全部が逆かと思っていたら、そういう訳でもないんですね。』
大抵の方がこのように仰います。
私自身も同じことを思いました。
きっとお点前が考案された当初も、このような会話が交わされたのだろうなぁと思います。
亭主もお客様も共に同じ気持ちになって、ほっこりするために複雑にしたように思うのです。
子どもが小学生のころ、ゲームをしに友達がよく集まりました。
スーパーマリオ、マリオカート、Wiiなど、ワイワイと楽しんでいました。
大いに盛り上がる瞬間が、もうちょっとクリアできそうなところで惜しくも失敗した時。
『あ゛ーーー!』
『Oh!Noooooo!』
ドッと笑いが起き、みんなで転げ回って喜び、ゲームの当事者も残念がって、それでも笑顔でお菓子を掻き込みます。
あの瞬間の空気は、側で見ていても羨ましいほど温かくて楽しそうでした。
失敗してもムキになったり、ヤケになったりしないし、それを責めないし、ただただ皆んなで心から笑っていました。
当時の子供たちと同じ温かさを本日も感じました。
その後に、初級生徒さまによる茶筅荘。
このお点前も、いつもと違うちょっと面白いところがあります。
総礼の後に、お客様から亭主に問い掛けがあります。
『お茶筅荘とお見受けいたしましたが、どちらに御由緒が?』
『水指に由緒がございます。』
『それでは後ほど拝見しとうございます。』
『かしこまりました。』
そしてお道具拝見の時に、水指を水屋に一旦引き、清めて晒しに巻いてお客様にお持ちします。
『あー、ここで出てくるんですかぁ。一体いつ出すのかと思いましたよ。』
と、お客様。
初級の生徒さまも初めての作法にびっくり😳
そしてお客様役も体験していただきました。
水指をコロコロと回して360度見ていただきました。
『そうだった、そうだった😀』
上級生徒さまも懐かしがりながら楽しんでくださいました。
よし庵では、さまざまな階級の生徒さまが一緒の空間でお稽古をいたします。
そうすることで新しい発見があったり、心の交流が深まったりしていき、人としての成長に繋がると考えています。
人としての成長の一つに『競わない強さ』があるように思います。
この強さを持つ生徒さまは天井知らずで、どこまでも上手になられます。
『道』がつく文化では、目の前の相手と競っても意味がありません。
競う相手を必要としないから強いのです。
上手な人同士は競いません。
その代わりに認め合います。
認め合えた時に、また新しい扉が開き、才能が開花していきます。
あなたのお花、とても綺麗ね。
ありがとう、あなたのお花も綺麗よ。
そんな空気に包まれた、春爛漫を感じたお稽古でした🌸🌸�